2008年8月29日(土)に開催された「見学会」の報告 | ||||
(1) 行事内容 (見学会&納涼懇親会) 2008年8月29日(金) 14時30分〜16時30分 2時間の乗船中、田村伴次氏(中日本建設コンサルタント株式会社l顧問、元名港管理組合トップ、技術士(建設、総合技術監理部門)による説明 見学会終了後、17時〜19時に、名古屋港水族館南館2階レストラン アリダバにて納涼懇親会を開催 (2) 参加者 見学会 : 48名 懇親会 : 45名 (3) 報 告 「東海各地、猛烈な雨。深夜の名古屋水浸し」 これはある新聞の8月29日付朝刊の見出しである。本州付近に停滞する前線の影響で8月28日、東海地方や関東地方で記録的な激しい雨が降った。本見学会が予定通り実施できるかどうか? 見学会担当幹事はもちろん、参加者にとっても8月28日は誠に気がもめる1日であった。しかし、8月29日は明け方から雨が止み、7時ごろには雲が切れ始め、昼ごろは一時薄日もさす状態となった。14時、集合場所の名古屋港ポートビル待合室で受付を開始する。出足順調。結局、申込みしていて参加されなかったのは、蒲郡在住の方1名のみで、同氏からは電話で「蒲郡駅に出てこられない」との電話があった。雨が最も激しかったのが、豊橋−蒲郡−岡崎であった。会員の皆様の熱意に感心する。 14時30分に名古屋港ポートピアの船着場から、港務艇「ぽーと おぶ なごや2」に乗船する。船は港内を左回りに巡航を始める。動き出して直ぐに、名古屋港の歴史、貨物の取扱状況について田村氏による説明が始まる【写真1】。
名古屋港は、昨年(2007年)に開港100周年を迎えた。現在貿易額、取扱貨物量ともに日本一である。名古屋港の特色のひとつは、輸入量は多いが(日本一)、金額ベースの輸入額/輸出額では主要5港のなかで最も低いことである。これは物つくりのための原材料の輸入が多いためである。原材料の輸入が多いということは、名古屋港の背後(名古屋圏)産業が活発に活動していることである。なかでも、名古屋圏の製造部門が強いことを示しており、事実、産業構造から三大都市圏の製造業の割合をみると、名古屋圏31.7%、東京圏15.8%、大阪圏20.3%となっている(2002年度)。船は伊勢湾岸自動車道の下をくぐり、金城埠頭、飛島埠頭とゆっくり進む。曇ってはいるが、視界良好で波もない。埠頭には自動車専用運搬船、コンテナ運搬船が停泊している。田村氏の説明に、所々で「ここは水深何m」という言葉が入る。「水深12m」の声に、「それは港としては深い方ですか? 浅い方ですか?」という質問が出る。「中位です」と答える田村氏の声に、いささか無念の響きがこもっていると見るのはこちらの思い過ごしか? 名古屋港の開発は、一面浚渫の歴史であったという。さもありなん、たづ(田鶴)鳴きわたるあゆち潟は遠浅で有名であったのだから。説明は眼前に現れる船、陸地の施設に適宜触れながら、港開発のエピソードも交えて、船の動きに合わせるように、ゆるやかに、歯切れ良く続く。 名古屋港は、貿易額、取扱貨物量とも日本一である(それぞれ連続6年、5年)が、世界の港と比べるとどうであろうか? 港湾の主要貨物はコンテナ貨物であるが、2005年における世界の港湾のコンテナ扱い量の順は、1.シンガポール、2.香港、3.上海、4.深せん、5.釜山であり、名古屋港は30位を下回っているという。ちなみに、約30年前の1980年の順番は、1.ニューヨーク、2.ロッテルダム、3.香港、4.神戸、5.高雄であった。世界におけるアジアの躍進を如実に示すものではあるが、我々にとっては、どこか寂しいものがありはしないだろうか? 名古屋圏の特色は、名古屋港の取扱貨物量が示すように、製造部門が強いことであり、それを牽引車として建築業を始め、その他の産業も、日本の中では活動的であるが、それで良しとはできないであろう。技術士法を持ち出すまでもなく、技術士は科学技術の向上と国民経済の発展に資することが期待されており、その責務がある。地道な企業支援が一層求められているのではないか? そんなことも考えさせられる田村氏の説明ではあった。 湾の中に相当突き出ている高潮防波堤の先を通る。日曜日などは釣り人で賑わうという。今日も一人最先端で、合羽を着て釣っていた。熱心なものである。船はさらに進んだところで左に旋回し、反対側の岸に沿って進む。出光興産愛知製油所、ジャパンエナジー知多製油所、日清製粉、IHI、新日本製鐵、トヨタ・日産などの自動車関係の企業、三菱重工業など日本を代表する企業の工場・施設が次々と現れ、田村氏の的確な説明を聞きながら裏庭から覗いてゆく。16時20分、船は出発した船着場に着く。見学終了。雨はついに降らなかった。いや、船を下りたときは、傘はいらない程度の霧雨が降っていたけれども、海からの視界は巡航の間ずっと良く、風も波もなく、港湾を見学するには全く支障がなかった。 天の配慮と博識溢れた素晴らしい説明をして下さった田村氏に、改めて謝謝。 船を降り、再び待合室の集合した所で記念撮影となった【写真2】。17時から、見学会参加者の殆どが参加して懇親会が行われた。代表幹事の開会の辞で始まり、約2時間技術情報の交換と懇親が行われ、大変な盛会であった。
なお、翌8月30日、東海地方は朝から、再び激しい雨降りとなった。 (4) 担当幹事 愛知県技術士会 : 木村正彦、中西利美、澤井 巌 中部建設部会 : 横山芳昌 中部シニア技術士会 : 吉村元一 土木技術者女性の会 : 中西利美 (文責 澤井 巌) |