2011年10月8日(土)に開催された「講演会」の報告 | |||||||
2011年10月8日(土)の15時より、東桜会館5階の多目的ホールにて、会員を含む約30名の出席によって「2011年度第2回例会 講演会」が開催されました。 代表幹事の挨拶、環境カウンセラー・消費生活アドバイザーである浅野智恵美様より「海のエコラベルと消費者の役割 −食卓から考える生物多様性―」の講演を始いただきました。
浅野様からは「地球上の様々な生物を保護し、生物多様性の喪失を食い止めよう」との趣旨で、COP10の名古屋での開催の状況を参加者の立場でご紹介された上で、生物多様性条約の3つの目的、名古屋議定書 愛知ターゲット(ボスト2010年目標)の概要、それらを踏まえた上での消費者として行うべき行動について、お話をいただきました。 講演では、「一般に個体数が500を下回ると、その生物の多様性が急速に失われてしまい、絶滅に近づく。種が絶滅すると、長い年月をかけてバランスを保ってきた食物連鎖などの自然界の多様で絶妙なシステムが脆弱になる。種の絶滅を防ぐことは人間を含めた動植物の生存を支え、生物多様性保全につながる」ことを説明され、世界の水産資源の現状として、FAO(国際食糧農業機関)が「主要な漁業資源の内、52%は緊急に管理が必要であることを紹介されました。また、このままでは2048年までに天然の魚介類がいなくなる恐れがある」との論文を2006年11月に米サイエンス誌が掲載したことを紹介されました。「漁は魚あってこそ」であり、再生可能な「新しい漁業への挑戦」が必要であること、世界中で取り組みが始まっていることの事例を紹介され、それを消費者の責任として後押しする義務があることより、「水産資源と海にやさしい漁業を応援するラベル」を説明いただきました。「水産資源と海にやさしい漁業を応援するラベル」は、消費者がそれを選ぶことで漁業管理をしていこうという漁業者を増やすことを狙いとしており、消費者がエコラベルの水産物を選ぶことは海と食卓の未来を救うことにつながることを強調されました。ラベルは、MSC(海洋管理協議会)が認証している「マリン・エコラベル」と、日本独自のラベルとして「マリン・エコラベル・ジャパン」があること、各々の特徴について説明いただきました。なお、これらのエコラベルの認証状況、消費者への情報伝達については、欧米にくらべ日本では遅れているようです。 浅野様は、生物多様性を食卓から守るために「私たちにできること」として、以下のことを提案されました。 ○漁業資源の減少や海の現状を知り、魚を買う時に気をつけるようにする。 ○食料や木材、生きた動植物の多くを他国に依存していることを踏まえ、産出国の生物多様性保全や、生物資源の持続可能な利用に配慮されている商品(MSC:水産品認証制度)、(FSC:森林認証制度)を選択的に購入する。 ○「MEL-J、MSC など海のエコラベルの付いた魚は売っていますか?」とお店の人やレジで尋ねてみる。 また、「おさかなガイドブック」も資料として紹介いただきました。
講演後、活発な質疑応答が行われました。 (参考) 浅野様のホームページより、最近発表された論文等、最新の情報を入手できます。 講演会の後、同会場の別室て、講師の浅野様もご同席いただき、技術交流会を行いました。
(担当幹事 : 岡本利朗(文責)、森澤千春、木村正彦、森澤千春) |