2012年8月25日(土)に開催された「講演会」の報告 | ||||
1.講演会の概要 2012年8月25日(土)の14時から17時30分まで、名古屋市中村区名駅の花車ビル北館で愛知県技術士会の2012年度第2回例会「講演会」を開催し、27名の参加がありました。 代表幹事による挨拶のあと、三菱UFJリサーチ&コンサルテイング株式会社コンサルテイング事業本部経営戦略部(名古屋)所属でコンサルタントの松田理恵様による講演があり、演題は「環境ビジネス 〜エコで稼ぐ〜」でした。その後に技術交流会が開催され約20名の参加があり、講演会の内容などについて議論が活発に行われ、懇親を深めました。
2.講演会の内容 以下講演会の概要を報告します。構成は以下の5部構成です。 (1)環境ビジネスとは (2)注目度の高い地球温暖化関連ビジネス (3)消費者の「エコ意識」の高まり (4)ライフサイクルで環境ビジネスを考える (5)環境ビジネス成功へのヒント (1)環境ビジネスとは 環境ビジネスについての明確な定義はないが、環境省は以下のように定義している。 環境省の定義 : 「産業活動を通じて、環境保全に資する製品やサービス(エコプロダクツ)を提供したり、社会経済活動を環境配慮型のものに変えていく上で役立つ技術やシステム等を提供するもの」その構成内容として、OECDの環境ビジネスの3つ分類があり以下のとおりである。 @環境装置産業などの公害防止装置産業 A環境負荷低減に係る産業 (バイオテクノロジーなど) B資源有効活用 (2)注目度の高い地球温暖化関連ビジネス @環境政策と企業活動 ・規制的手法 ・・・・ 水質汚濁防止法による排出基準、廃棄物処理清掃法による事業許可制度、省エネ法 ・企業の自主的取り組みを促進する手法 ・・・・ ISO14000、エコアクション、エコステージ ・情報的手法 ・・・・ カーボンオフセット、カーボンフットプリント、トップランナー基準、省エネラベル ・経済的手法 ・・・ ・排出量取引制度(京都メカニズム・国内クレジット、J-VER制度など)、環境格付けによる利子補給制度、環境税、エコポイント制度、エコカー補助金、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT) カーボンオフセットとは : 自らの温室効果ガスの排出について、削減努力してもどうしても削減できない排出量を削減・吸収量(クレジット)を購入し自らの温室効果ガス排出量を埋め合わせる事である。 (3)消費者エコ意識の高まり @日常生活で省エネに努める人が年々増加 A増加する家庭の温室効果ガスと電力消費量 B家庭部門のエネルギー消費量は給湯、暖房が多くを占める C2008年の日本のエネルギー自給率は約4%(原子力含むと18%) D東日本大震災をきっかけとしたエネルギーミックスの再考(2030年目標、原子力:0〜25%、再生可能エネルギー:25〜35% 環境省中央環境審議会地球環境部会) (4)ライフサイクルで環境ビジネスを考える @生産財の調達、資本財等による生、産耐久消費材の使用、消費材の廃棄段階において、耐久消費材の使用段階が最もエネルギー消費が多い。 A環境ビジネスの着眼点 ・生産財 (鉄・プラスチック・部品) BtoB : 原材料調達の持続性確保、生物多様性への配慮、新規・代替物の素材・技術開発 ・資本財 (工作機械) BtoB : 使用時の材料エネルギーの省資源、省エネ、資本財を使用する顧客の製造コストメリット ・中間財 (廃プラ原材料製造) BtoB : 法規制の確実な遵守、顧客の品質・環境基準のクリア、省CO2量を顧客に提示、CO2見える化サービス ・耐久消費材 (家電・自動車) BtoC : 使用時の省エネ・省コスト・省CO2,使用ブランドからくる製品性能 ・耐久消費材 (家具・衣類) BtoC : 耐久性、天然材、廃棄時に環境負荷が低い ・サービス (パッケージ旅行など) BtoC : 自然なイメージ(癒し、エコツーリズム)、省コスト、省CO2(カーボンオフセット付きクーポン券) (5)環境ビジネス成功へのヒント @環境ビジネスのアイデア出し(新・旧市場×製品・サービス)市場浸透・新市場開拓・新製品サービス開発・多角化 A同上(新市場×コア技術×インフラ)成長市場環境 (省エネ・資源循環・負荷物質削減×コア技術(例えば混ぜる・焼く・貼るなど) B5フオース (仕入先・競合先・顧客・新規参入・代替品・サービス)
担当幹事 : 石川君雄、岡本利朗 |