【No.38】 「三種の神器」 技術士(応用理学部門) 納谷俊美 |
三種の神器(さんしゅのじんぎ)とは、天皇という皇位の標識(この日本の帝がその正統なる支配者という証)として代々受け継いできた3種類の宝物。具体的には次のものを指す。 ・ 八咫鏡 (ヤタノカガミ) ・ 八尺瓊勾玉 (ヤサカニノマガタマ) ・ 天叢雲剣 (アメノムラクモノツルギ) (草薙の剣) 日本神話では、前者二つは天の岩屋戸に隠れた天照大神を再び外界に連れ出すための呪術に使われたといわれ、草薙の剣(天叢雲剣)は後に天照大神に奉り、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の東国征服にも大いに役立ったといわれている。三種の神器は現在、別々に安置され、その実体は決して見ることのできない呪術的な神器である。 日本書紀ではこれらを三種宝物と記している。神器という言い方が一般化したのは南北朝時代ごろからと言われている。八咫鏡と八尺瓊勾玉は伊勢神宮、天叢雲剣は熱田神宮に神体として奉られている。 話替わって、我が国の高度経済成長時代にはテレビ、洗濯機、冷蔵庫の三種家電を三種の神器といった。また、2003年頃には、デジタル家電であるデジカメ、DVDプレーヤー、ハイビジョンテレビを三種の神器と言っている。 さて、私の専門分野である分析屋の三種の神器はGC-MS、FT-IR、EPMAと言われており、これは永い間、いまだに変わっていない。幸いに当社(ユニケミー)は20年前に順次備えることができた。各神器の概要は下記のようである。 ・GC-MS (ガスマス) : ガスクロと質量分析装置が合体。分析対象は気体化可能有機物 高分解能GC-MS ; ダイオキシン、PCB、環境ホルモン 低分解能GC-MS ; VOC、油脂、鉱油、溶剤等 ・FT-IR (フーリエ変換赤外線分析計) : 分析対象は固体、液体有機物、プラスチック、油脂、鉱油、糖類、微量付着物の構造解析等<BR> ・EPMA(電子線マイクロアナライザー) : 電顕観察、元素分析,面分析、線分析、定性定量等) 金属類の破壊解析、腐食原因解析、カラーマップ、トラブル解析 上記三種の神器といえども広範囲の分析調査依頼に応えるには万能ではない。人間が五臓六腑を持ってはじめて一人前の人間になるのに似て、分析屋もあと二臓六腑と脳を持てば一人前となれる。その例を示せば、X線回折、蛍光X線分析計(ROHS指令対応可能)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、熱分析装置、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)、核磁気共鳴(NMR)、元素分析装置(C、H、N,、S等)、無炎原子吸光計… 専門外の方には初めて聴く名前が多くて大変失礼を申し上げることをお詫びします。 これまで技術士会会員をはじめ、多くの企業の皆様から多数の調査分析のご依頼を戴き誠に感謝申上げ奉ります。今後も裏方に徹しお役に立ちたいと考えております。 |