の手記3〜
「よっ・・と。これで終わりっ!」
地面に散らばった薪を集め、並べていく
私がリア親子の家にお世話になってから二週間の日々が過ぎていた
立つことすら困難だった私だが、彼女らの献身的な看護とゆっくりとした休息をとることで5日程で生活に支障がない程度に動けるようになったが、魔法力だけはまだ回復していないみたいで、アコライトの初級技能であるヒールすら操れない状態だ
「こんなのじゃ町に溢れ返っているノービスさん以下だわ〜・・はぁ」
空を見上げながらふと溜息などつく

プリーストだけではなく、冒険者の女性は一定の周期で力が弱まることがある
つまり女性特有の月に一度の物
その日の前後数日だけは気力・精神力・体力等が衰えてしまい、女性の冒険者は大人しくしているか 魔法術式による強化を行い凌いでいる

極限まで生命力・精神力を使い体の回復にすべての力を使っていたため、今の私はその時の状態と一緒で魔法力だけが回復していないのだろう
さん〜、御昼の用意ができましたよぉ」
ふっと、女性の声で意識が戻る
リアの母親、アリスのほんわかとした口調が今がお昼だということを告げている
「あ、はい。すぐ行きます〜」
あまり待たせるのも悪いし、何より私自身がかなりの空腹。そそくさと薪と道具を片付け家の中へ
「おねーちゃんっ、おーそいよ〜」
リアが待ちかねたように言い、にまっ、と口を綻ばせる
「それじゃあ、ご飯にしましょうか」
アリスが音頭を取り昼食
「天にまします我等が神よ。今日もまた食べ物に困ることなく食にありつけること感謝致します。Amen..」
アイリスの教会から抜けたとはいえ、プリーストとしての習慣からか食事前の神への賛辞は忘れない ある種の癖のようなものだ
彼女らも私とは少し違う賛辞だが神への感謝の言葉を口にする
さんに力のいる仕事等をやって頂いているので、とても助かりますぅ なにぶん私もリアも力仕事はからっきしで・・」
アリスが食事の手を休め言う
「いえ〜、私もたいしたことできませんが、少しでもお役に立っているなら幸いです^^」
「そういって頂けると助かりますぅ」

そう、彼女らには男手がない
リアの父親は、私が来る数ヶ月前にフレイヤ世界で起きた謎の隆起現象の調査中に行方不明となっていた・・

もともと体が強いほうでなかったアリスは、この知らせを聞いて支えを失ってしまい寝込みがちとなった
近所の人が時々様子を見に来てくれたが、彼女の具合は悪くなるばかりで、まだ医療技術が進んでいないフレイヤ世界では医者もお手上げの状態だったらしい
最後の頼みとリアがプロンテラ教会へ出向いたところ、司祭から近々異世界であるアイリス世界から多くの冒険者たちが訪れること
その中にプリーストと呼ばれる医者には治せない病さえ癒すことができる力を持つ人がいることを聞き方々を探して歩いたそうだ
そこで偶然街中に転送されてきた私を見つけて声をかけてきたっということであった
アリスの病の本質的なものは精神的なものであったため、私の力だけでは彼女は救えなかった。 リアが・・娘が最後にかけた彼女への言葉が 思いが 彼女に通じアリスの気力を取り戻したのであろう。
私は彼女たちの間の触媒になっただけ・・ ただそれだけのこと
今は彼女らの幸せそうな様子を見ているだけで心が温まる
それが私の最大の御褒美♪

「ごちそうさま〜っとぉ」
ふと、食器を運んでいるリアの腕に目がとまる
「あら、手怪我してるじゃない」
「あ〜、さっきちょっと転んじゃったときにできたのかもっ でも痛くないから大丈夫〜♪」
リアの姿に昔の私の姿がかぶさって見えた
「ダメダメ、ちゃんと治療しないと悪くなっちゃうんだから はい見せなさい〜」
「わかったよぅ よい・・しょっと〜」
リアが椅子に座り傷口を見せる
うん 擦り傷だけかな ちょっと傷を観察し意識を視線の先に集中する
「神よ・・ 我が非力な力を哀れみ 我に力をっ! 癒し給え!」
ほうっ・・っと私の手が輝き傷口を包む
「わあ・・きれ〜」
リアが無邪気に微笑む
光が消えた後には傷口は綺麗に消えていた
「よしっと〜 成功♪」
「おねーちゃんありがとう〜☆」
リアは椅子から飛び降りると、たたたっと廊下の奥へ消えていった

今私が使ったのは、アコライトの初級技能であるヒール。しかしその詠唱は普通のヒールとはちょっと違い、神の力を多々借りて行う基礎のヒール
今の私の力だけでは「癒し給え!」の祝詞だけでは術式が安定しないのだ。
それでも、少しは力が戻ってきていることに喜びを感じる
(もっとたくさんの人を笑顔にしてあげたい!)

そんな日々がまた数日続き、私が来てから一月の時間が流れた
力もほぼ回復し、アリスの体調もかなりいいものとなった
私自身も近所の人々の怪我を癒したり、薬の配合等を行い有意義な時間をおくっていた
でも、この生活もそろそろ終わらなければいけない
アリスとリアはずっと住んでいて欲しいといっているが、そこまでお世話をかけるわけには行かないし、まだこの世界には怪我や病気などで困っている人たちはいっぱいいる
私はその人たちの力に少しでもなりたい・・

一ヶ月目の朝、私はアリスとリアに別れを告げた
アリスは微笑みながら
「ここはあなたの家でもあるのよ かわいい娘なんだもん いつでも戻っていらっしゃい^^」
と言ってくれた
リアはかなり駄々をこねていたが、
「おねーちゃん!ちゃんと戻ってきてねっ 待ってる! 私待ってるから!」
っと泣きながら送り出してくれた
「ありがとうございますっ・・」
目から涙が溢れてくるのを我慢して、それでも我慢し切れなかった雫が溢れ出し 最後は笑顔で言葉を紡ぎ、
「絶対に戻ってくるからねっ!」
私は新しい旅路へと行く
の手記3〜
「よっ・・と。これで終わりっ!」
地面に散らばった薪を集め、並べていく
私がリア親子の家にお世話になってから二週間の日々が過ぎていた
立つことすら困難だった私だが、彼女らの献身的な看護とゆっくりとした休息をとることで5日程で生活に支障がない程度に動けるようになったが、魔法力だけはまだ回復していないみたいで、アコライトの初級技能であるヒールすら操れない状態だ
「こんなのじゃ町に溢れ返っているノービスさん以下だわ〜・・はぁ」
空を見上げながらふと溜息などつく

プリーストだけではなく、冒険者の女性は一定の周期で力が弱まることがある
つまり女性特有の月に一度の物
その日の前後数日だけは気力・精神力・体力等が衰えてしまい、女性の冒険者は大人しくしているか 魔法術式による強化を行い凌いでいる

極限まで生命力・精神力を使い体の回復にすべての力を使っていたため、今の私はその時の状態と一緒で魔法力だけが回復していないのだろう
さん〜、御昼の用意ができましたよぉ」
ふっと、女性の声で意識が戻る
リアの母親、アリスのほんわかとした口調が今がお昼だということを告げている
「あ、はい。すぐ行きます〜」
あまり待たせるのも悪いし、何より私自身がかなりの空腹。そそくさと薪と道具を片付け家の中へ
「おねーちゃんっ、おーそいよ〜」
リアが待ちかねたように言い、にまっ、と口を綻ばせる
「それじゃあ、ご飯にしましょうか」
アリスが音頭を取り昼食
「天にまします我等が神よ。今日もまた食べ物に困ることなく食にありつけること感謝致します。Amen..」
アイリスの教会から抜けたとはいえ、プリーストとしての習慣からか食事前の神への賛辞は忘れない ある種の癖のようなものだ
彼女らも私とは少し違う賛辞だが神への感謝の言葉を口にする
さんに力のいる仕事等をやって頂いているので、とても助かりますぅ なにぶん私もリアも力仕事はからっきしで・・」
アリスが食事の手を休め言う
「いえ〜、私もたいしたことできませんが、少しでもお役に立っているなら幸いです^^」
「そういって頂けると助かりますぅ」

そう、彼女らには男手がない
リアの父親は、私が来る数ヶ月前にフレイヤ世界で起きた謎の隆起現象の調査中に行方不明となっていた・・

もともと体が強いほうでなかったアリスは、この知らせを聞いて支えを失ってしまい寝込みがちとなった
近所の人が時々様子を見に来てくれたが、彼女の具合は悪くなるばかりで、まだ医療技術が進んでいないフレイヤ世界では医者もお手上げの状態だったらしい
最後の頼みとリアがプロンテラ教会へ出向いたところ、司祭から近々異世界であるアイリス世界から多くの冒険者たちが訪れること
その中にプリーストと呼ばれる医者には治せない病さえ癒すことができる力を持つ人がいることを聞き方々を探して歩いたそうだ
そこで偶然街中に転送されてきた私を見つけて声をかけてきたっということであった
アリスの病の本質的なものは精神的なものであったため、私の力だけでは彼女は救えなかった。 リアが・・娘が最後にかけた彼女への言葉が 思いが 彼女に通じアリスの気力を取り戻したのであろう。
私は彼女たちの間の触媒になっただけ・・ ただそれだけのこと
今は彼女らの幸せそうな様子を見ているだけで心が温まる
それが私の最大の御褒美♪

「ごちそうさま〜っとぉ」
ふと、食器を運んでいるリアの腕に目がとまる
「あら、手怪我してるじゃない」
「あ〜、さっきちょっと転んじゃったときにできたのかもっ でも痛くないから大丈夫〜♪」
リアの姿に昔の私の姿がかぶさって見えた
「ダメダメ、ちゃんと治療しないと悪くなっちゃうんだから はい見せなさい〜」
「わかったよぅ よい・・しょっと〜」
リアが椅子に座り傷口を見せる
うん 擦り傷だけかな ちょっと傷を観察し意識を視線の先に集中する
「神よ・・ 我が非力な力を哀れみ 我に力をっ! 癒し給え!」
ほうっ・・っと私の手が輝き傷口を包む
「わあ・・きれ〜」
リアが無邪気に微笑む
光が消えた後には傷口は綺麗に消えていた
「よしっと〜 成功♪」
「おねーちゃんありがとう〜☆」
リアは椅子から飛び降りると、たたたっと廊下の奥へ消えていった

今私が使ったのは、アコライトの初級技能であるヒール。しかしその詠唱は普通のヒールとはちょっと違い、神の力を多々借りて行う基礎のヒール
今の私の力だけでは「癒し給え!」の祝詞だけでは術式が安定しないのだ。
それでも、少しは力が戻ってきていることに喜びを感じる
(もっとたくさんの人を笑顔にしてあげたい!)

そんな日々がまた数日続き、私が来てから一月の時間が流れた
力もほぼ回復し、アリスの体調もかなりいいものとなった
私自身も近所の人々の怪我を癒したり、薬の配合等を行い有意義な時間をおくっていた
でも、この生活もそろそろ終わらなければいけない
アリスとリアはずっと住んでいて欲しいといっているが、そこまでお世話をかけるわけには行かないし、まだこの世界には怪我や病気などで困っている人たちはいっぱいいる
私はその人たちの力に少しでもなりたい・・

一ヶ月目の朝、私はアリスとリアに別れを告げた
アリスは微笑みながら
「ここはあなたの家でもあるのよ かわいい娘なんだもん いつでも戻っていらっしゃい^^」
と言ってくれた
リアはかなり駄々をこねていたが、
「おねーちゃん!ちゃんと戻ってきてねっ 待ってる! 私待ってるから!」
っと泣きながら送り出してくれた
「ありがとうございますっ・・」
目から涙が溢れてくるのを我慢して、それでも我慢し切れなかった雫が溢れ出し 最後は笑顔で言葉を紡ぎ、
「絶対に戻ってくるからねっ!」
私は新しい旅路へと行く