「ねぇクラピカ、貴方はなんでこんな所に住んでいたの?」


朝焼けに染まる情景、横にいるクラピカの顔を赤の光が映し出す

その瞳が赤に見えたのは気のせいだろうか?




朝焼けに染まる森、明るい日差しに包み込まれるセカイ

朝の喜びを伝えるような陽光が、暖かくも熱くわたし達を照らし出す


「なぜそんな事を聞くんだ?」


まだ彼との付き合いは短い、それでも彼のこんな顔を見たのは初めてのような気がする

優しく問いかける彼の顔には、眩く輝く陽光すらも霞むような、一影の憎しみと、一筋の悲しみ


それはほんの一瞬、瞬きをしている間に終わってしまうようなものだったけれど、その表情は酷くわたしの中に刻み込まれる


いつもちょっと不機嫌そうな表情で、キッとしてる顔

そんな顔してると額に皺が寄るよとわたしが言うと、笑ってくれる彼の顔
まるでこの朝の光すらも霞んでしまうような…


「なんとなく…かな、あっ気にしないで!」

そんな彼の顔を、あたしは見ていたくはなかった



それに、別に質問の内容自体に意味があったわけではない

彼と話がしたかった、ただそれだけ…



一瞬揺らいだ空気も、あたしの答えに満足したような、まだ何か考えているようなクラピカの表情と共に
やがて元の暖かなものへと戻り、





再び、朝焼けが広がる森の様子を見やる

それはまるで神秘的な様相を醸し出していて、ああ、これが生命の伊吹なんだなと実感する


「綺麗だね」



ふと彼の方を向くと、なにやら難しそうな顔をして考え込んでいたかのような様子であったが、あたしの事に気づくと
その表情を優しく崩して、「ああ」と笑いかけてくれる


ぽふぽふと撫でられる頭
毀れ落ちている髪を梳くかのような彼の指先

それが優しく、とても暖かく…
あたしの心を暖かくする



きもちいい…




ぽかぽかする陽気、彼が髪を梳く手、柔らかく微笑む彼の顔

暖かな日差しがあたし達を包み込む


まるでそれが泡沫の夢のようで、あたしはこの気持ちいい時間を精一杯堪能しようと、横で座っているクラピカに寄り添う

クラピカから伝わってくる優しい波動、あたたかい彼の温度

触れた先から心まで温かくなっていくような感覚


?」


どうした?とでもいわんばかりの彼の表情

でも、それも、直ぐに消えて再び優しい表情に戻り―

再びあたしの髪を優しく撫で始める


それが溜まらなく気持ちよくて、身体をそっとクラピカのほうへと預け、あたしは目を瞑る









柔らかな安らぎと、彼の体温が、あたしの心を満たしていく



























どうしてこんなに優しい気分になれるのだろう

彼女とは、とは数週間前に知り合ったばかりだと言うのに

過ごした時間は少ない、でも何故かと会うたびに、その花が咲いたかのような表情に見とれてる自分がいる事を
こころのどこかで理解している



肩にかかる髪、そっと手で触れてみると、指の隙間から零れてしまうほど柔らかで、
陽光を含んで暖かく、ふわふわとしている

預けられた身体、小さめの体躯、でもその身体はしっかりと温かい体温に包まれていて、触れた所から彼女のぬくもりが伝わる

大きな瞳、くりくりと動くそれが面白くて、それとともによく代わる彼女の表情が楽しくて、私はいつの間にか笑顔を浮かべている



彼女の全てが愛しいと思う、この感情に明確に私は名前をつけることができない
たとえ過ごした時間は少なくても、彼女の存在は私を明るくさせる






私が髪を梳く手がくすぐったかったのか、もそっと身を捩るその様子が可愛くて、動くたびに彼女の身体と接する部分から
暖かなものが流れ込んできて…



それが酷く私の心を揺さぶる



暖かいこの空気、彼女の存在

だが、こんなにも心が揺さぶられるのは何故だろう









横を見るとまるで猫のように、じっと目を瞑っている






しっとりと潤いを携えているかのようなの唇

ツンと突き出た、彼女のくちびるは妙になまめかしく見え、途端に私の意識が奪われる




強調されているかのような彼女の唇






とめることもなく、私は引き込まれるようにの唇に唇をそっと落とした







この感情は一体なんだったのだろうか

すっかり無くしてしまったと思っていたのに…

























唇に柔らかく暖かい感触

鼻先をくすぐる柔らかい、金の髪



それが一瞬なんなのかわからなく、あたしは目を見開いたが、同時にそれは安心と安らぎへと変わる


唇から伝わるぬくもり

しっとりと濡れているかのような彼の唇は、まるで女性のソレのように柔らかく、あたしの心をときめかせる


決して深いキスではなく、唇と唇を重ねるだけのソフトキス






それでも、唇から伝わるお互いのぬくもりを交換するように、あたし達は唇を合わせ続ける







「んふっ…」

漏れる吐息


荒い息遣い


全てが艶かしく感じる一瞬





「…ッ!」



だけど、それに気づいたかクラピカが唇を離し…



お互い眼前にある顔を見合う

耳元まで真っ赤とはこういうことをいうのだろう、それほどまでに真っ赤なクラピカの顔

多分あたしも同じような顔




決して今までこういうことがなかったわけじゃないけれど…、それでも顔の火照りはさめる事はない




















ふわふわと漂う浮遊感にも似た体験

心が身体から離れてどこかへ飛んでいってしまいそう


胸のどきどきが止まらない



























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うみ様リクのクラピカ夢ですー
なんか短くてすいません;

あえて甘甘な展開を目指してみたのですが…
ストーリーがないですねorz

甘甘って難しい

にぼし
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―――――
補足

以下、続きというか、謎の文章が続いたりします
甘甘な展開どころか、うわーって感じの展開になってます

甘甘好きの方、上記みたいな感じのクラピカラブな方は進まない事をお勧め致します


上記の事項が大丈夫で、見たいという方だけ、下にスクロールをしてみてください
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「…私たちの一族の掟だ」


「え…?」

どれほどの時がたったのだろう

それは、永遠にも似た刹那の時だったのだろうか?



クラピカの先程の表情が頭から離れないあたしに、突然かけられた言葉

それが何を意味しているかわからなく…

しばし考え込むが、やがてその言葉が何を意味するか結論に至る


つまり、あたしが最初に投げかけた質問の答え

なぜこんな森の奥にいたのか





どうしてだろう、目の前にいるクラピカのいった言葉の意味が理解できても、それが何を指すのかがわからなく
あたしはクラピカの次の言葉を待つ





先程までの暖かい空気も既に残滓となって消え、
何もわからず、霧の中暗雲の下にいるような不安感


胸騒ぎがする、これ以上聞いていてはいけないような

それでいて聞く事をやめる事ができない妙な胸の疼き





なぜこんな気持ちを抱いてしまうのだろうか
先程まで彼と接していた時間はとても暖かいものだったというのに



それは既視感に似た、わからないはずなのに、

何もわからないはずなのに、ただ心だけが否定と焦燥を繰り返す








やがて、ゆっくりと開いた彼の口

紡がれる言の葉



その一言に彼はどのくらいの思いを込めたのだろう

彼から発せられた一言は、まるで重い真言をこめたかのように深く響く





「掟…?」



私にはわからない、このよくわからない不安の正体が

ただ、言い知れない不安を打ち消して欲しいと言う願いを込めて、

この心の不安感が偽りであって欲しいと願いを込めて、クラピカの答えを復唱する

















「私はクルタ族だ」




















こんなにも愛しいのに、どうして運命は刻として非情な者となるのだろうか





あの優しかった時間が、刹那にもかかわらず永遠を願ったあの時が

儚く、砕け散る…















「どうした?気分でも悪いか?」



黙って俯いたあたしに、優しくかけられるクラピカの声

そんな彼の優しい言葉がまたあたしの心を揺れ動かして、いっそう俯いた顔を上げることができなくなってしまう



「ううん、…なんでもっ…ない……」


そう答え返したあたしの声は震えていて…

ただ今はこの涙が溢れる顔を見られたくなくて…

あたしは駆け出す、静止を呼びかけるクラピカの声すらも振りほどいて




















残酷な現実

叩きつけられた心ノ死

砕け散るあたしのココロ

















それが偽りであったなら、どれだけ楽だっただろう

出会わなければ、あたしはこんな思いを抱えなくてすんだのだろうか?

いや、出会った事が罪だったのだろうか





アア、神ヨ

彼と出会わせてくれた幸運と、その非情さを…





あたしは…憎む








否、この世に、神ナド、イナイ…






















燃え盛る業火

それは人の悲鳴すらも進みこんで全てを焼き払っていく


血に濡れたあたしの掌



あたりには真っ暗な空洞を両の目に湛える数多の死体





手の中ニハ、紅に輝く数多の瞳…







撤収するぞ」






かけられた団長の声



地に臥した金髪赤眼の少年





もう交差することのない、あたしと彼の運命の糸













でもあたしは、武器を振り下ろす事ができず…


例えこの先の事を憂いようとも、彼がこの先味わっていく苦痛をが予想できても









あたしに彼を殺せない









「団長、ACEが来るよ」







動けないあたし






「ああ、撤収だ」








再び告げられる団長の声

まるで糸の切れた操り人形のような不確かな動きで、あたしは団長の後を追う






恐らく昏倒させる前、見られたあたしの顔

眼前に会った彼の紅蓮の瞳が、驚きと共に見開かれるのをあたしは見ている







これから彼が生きる道は地獄

恐らく生き残るのは彼一人




同胞達の無念と、自分達を殺した者たちへの憎悪に苛まされるであろう彼のココロ






壊したのはあたし

数時間前紛れもなく、彼と蜜月の刻を過ごしていたあたし








それでも生きていて欲しい


たとえ、それがあたし達への、否、あたしへの憎悪の感情だとしても…






愛しい貴方に生きていて欲しい……















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ここまで読んでくださってありがとうございます
一応補足といった感じで、ストーリ性を持たせてみました

あいも変わらず甘甘じゃなくてゴメンナサイ


この話は、ちょうど蜘蛛がクルタ族を襲う頃のお話だったりします

蜘蛛にいたさんが、たまたま集合地点の森を散歩していた時に出会ったのがきっかけだったりします

ちなみにヒロインは蜘蛛の仕事内容をあまり気にしない人なので、クルタ族の詳細を知りません

あと、具体的にどのあたりに住んでいるとか知りませんでした

だからクラピカのことも出会った当初は、森の中で出会ったちょっと変わった人くらいにしか考えてません


ちなみにヒロインさん、異世界トリップといった話も合ったりなかったり

stray worldの世界観と似ていますが、並列世界の事だったり、stray worldの世界に関わっていたり

実際こんな感じのストーリーをstrayで組みこもうかなーと思いつつ、
組み込んだらクラピカと分かり合う事は不可能に近いナァと考えていたりします

だって同胞を直接手を下した人と…、完全には割り切れませんよネェ

といいつつ、この夢だと続きを書いたらクラピカ夢になりそうな気配ですががが


ちなみに当初は、ハンターになったあと森の中で出会った(念の修行中)という設定

ちょうど甘甘な所まで区切りで書いてから…、なにかぴったり来ないナァと思って
クルタ族襲撃の頃にしたら、なんかキャラがよく動いてくれるようになりました

でもそうすると、年齢の割りにキスが激しすぎるんだよなぁ…(ぉぃ


☆うみ様リクエストクラピカ夢

にぼし
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