想い/オモイ?おまけ






 本日のおやつのミルクプリンを口に運びながら、清麿はぽつりと呟いた。
「ふと思ったんだけど」
「ウヌ。どうした?」
 清麿の声に、ガッシュは首をぐりんと回し彼に向き直る。全身で清麿の話を聞く姿勢を取るガッシュだが、清麿はミルクプリンを食べる手を止めることはしなかった。
「ジェムとかエリー、思い出したんだけど」
「ウヌ」
 ガッシュの頭に、夏休みイギリスで出会ったヨポポの本の持ち主ジェム、最近バオウを消すと言って現れたアースの本の持ち主エリーの姿が浮かぶ。ジェムは清麿よりほんの少しだけ年上、エリーは清麿と変わらない年齢だろう。
「本、持ててたよな」
 2人とも、本を両手でしっかり抱えていた。
 清麿は戦闘時以外はガッシュに預けてある赤い本を見遣り、どこか遠い目をする。
「俺って、特別弱い?」
 ガッシュはミルクプリンの容器をテーブルに下ろした。そうして、清麿の手にある容器も奪い取り、同じ場所に置く。
 今まで見詰めていたミルクプリンが消えてしまったため、清麿は仕方なく犯人であるガッシュに目を遣った。ガッシュはその目を真正面から見詰め返す。
「ウヌ。そこが清麿の可愛いところなのだっ」
 愛しくて堪らないという目をして、ガッシュは清麿に飛び付いた。勢いでカーペットに押し倒し、さらに上から圧し掛かって頬を擦り寄せた
 清麿はカーペットに倒されたまま、手を伸ばした。いつも必ず側に置いてあるもの。それを掴み、力任せにガッシュの頭に振り下ろした。

 がんっ。

「ウヌアァァァ―――ッ!!」
 衝撃に悶え、その場を転がるガッシュを視界の端に入れながら、清麿は何だやればできるんだと薄笑いを浮かべた。
 ガッシュに振り下ろした、持つのが困難なはずの赤いハードカバーを見詰めて。






END


イロモノ部屋