魔法少女GASHつ〜(2)
〜前回までのあらすじ〜
何やらかんやらで、魔法の国からやって来た、愛と正義の魔法少女(性別:男)ガッシュと共に、悪と戦うことになった清麿。
例のバトルこすちゅ〜む(ミニスカート)は断固拒否しつつ、モチノキ銀行を襲った悪者を退治するため、魔法少女KIYOMAROとなり、早速銀行に潜入するが…。
「我が名はGASH!お主ら悪党を退治しに参った!!」
「アホ―――!!」
潜入:こっそり入り込むこと。
という言葉の意味を無視し、わざわざカウンターによじ登り、仁王立ちで自己紹介するガッシュを、清麿はステッキで殴り倒した。先端の真っ赤なハートは意外と硬いらしく、がごんっとかなり鈍い音を立てた。
派手な主張と突っ込みの声と大きな音(清麿がガッシュをぶん殴ったときのもの)に、銃を装備した銀行強盗が振り返る。
確かにガッシュの行為は無謀だったが、清麿も清麿である。根っからの突っ込み属性であるからとは言え、清麿まで姿を見せてどうするのか。
「何だ、貴様らは!?」
「ウヌウ。正義の魔法少女GASHだと言ったであろう。そして、こっちが魔法少女KIYOMARO…」
「その名を呼ぶなっ!!」
ステッキが再び走り、ガッシュの後頭部を直撃する。断っておくが、ステッキは物理攻撃用にできてはいない。
何度も味方を殴り倒し、魔法少女だと名乗る明らかに男である怪しい二人組みに、銀行強盗犯は幾らか怯んだ。
だが、相手の持つ武器と言えば、先端にハートや星の付いたステッキ。対する自分達は殺傷能力の高い銃。そのことが銀行強盗犯の男達を強気にさせた。
「漫才を疲労したいって言うんなら、悪いが後にしてくれねぇか?こっちはのんびりしてられねぇんでな」
清麿とガッシュに銃口を向けながら、銀行強盗犯の1人が皮肉げに口角を上げる。残りの者達は、人質である銀行員や客達を銃で脅している。
ガッシュは銃を向ける男に指先を突き付けた。
「ウヌウ。お主、ここまで言っても改心せぬか!」
お前が何を言った。清麿は呟いたが、聞き咎めた者はいなかった。
「ならば、仕方ない!清麿、例の必殺技だ!!」
ガッシュは己のステッキを頭上に掲げる。指名された清麿だが、例の、と言われても事前の打ち合わせは一切なかったため、さっぱりわからない。
「こすちゅ〜む、ちぇ〜んじっ!!」
呪文(?)を唱えると、ガッシュのステッキ、その先端に付いた星が眩い光を放つ。金色の光に呼応して、清麿のステッキのハートも、赤い光を放つ。特に頭上に掲げ持つ必要はないらしい。
やがて2つの光が互いを包み込み、溶け合う。溶融した光はより強い輝きを放ち、周囲の人間の視界を一色に染め上げた。
次に目を開いたとき。
ガッシュが纏っていたマントは、目に痛いほどのパッション・ピンクへと色を変えており。
清麿の装いは、同色のワンピース(※夢のミニスカート。ふりる付き)に変化していた。
「必殺・GASH&KIYOMAROのらぶらぶらぶりん・らぶあた〜っく★」
呪文と共に、ガッシュは放心状態(自分の服装があまりにアレだったため)の清麿のステッキに、己の物をクロスさせた。
その合わせ目から、巨大なハートが出現した。それは、周囲に星を撒き散らしながら、ふわふわと浮遊している 。
想像を絶するファンシーさに、ガッシュと清麿(放心状態)を除く一同の目は点になった。
「ウヌウ、行くのだ!」
ガッシュの掛け声に反応し、巨大ハートは弾かれたように突撃した。銀行強盗犯の元、へ。
見た目を裏切るスピードで突進した巨大ハートは、清麿達に銃を向けていた男の顔面にぶち当たった。ぱーんっと張り手を食らったような音が響く。
その音に我を取り戻しかけた残りの強盗犯の頭上から、タイミングよく星が降った。がごんっと拳骨を落とされたような音が響く。
ファンシーさを全面否定するような物理攻撃に、強盗犯は全滅した。
「ウヌウ、正義は勝つのだ!!」
「…おい」
一件落着とばかりに胸を張るガッシュの首根っこを、清麿はぐいと掴んだ。
「ウ、ウヌ。どうした、清麿」
「この格好に意味はあるのか…?」
問われて、ガッシュは清麿の衣装を見遣った。
ほわほわ素材でできたピンクのワンピースには、ふんだんにフリルが用いられ、全体的にふわっと感を演出している。
短い髪を無理矢理結った、大きなリボン。
剥き出しの二の腕。
スカートから伸びた、すらりと長い脚。
腿。
うっとりと見詰め、ガッシュは溜息を零した。
「ウヌ。ビジュアル的においしいという利点が…」
「こんの、変態幼児!!」
ガッシュの頭は真っ赤なハートによりかっ飛ばされた。
えんど
あとがき
始まりは日記(11月28日)の魔法少女GASHをご覧下さい。いくら『イロモノ』だからってやりすぎじゃない?っていうことは、わかってるんです。
でも、楽しいんだからしょうがないんです!
いいな〜魔法少女…(黙)