金色のガッシュベル メカバルカンの来襲感想。


 ※激しくネタバレを含みます。と言うか、構成要素のほとんどはネタバレです。
 まだ観賞なさっていない方はご注意願います。






 行って参りました、メカバルカンの来襲。
 前作を共に観賞した友人Yを引き連れ、劇場へと参りました。
 前回はさほど混雑した様子はなかったのですが、今回は公開2日目。夏休み真っ只中。午前10時。と、お子様が溢れていそうな条件のため、覚悟を決めて参りました。
 …が、前回同様、さしたる混雑もなく、空席も多かったように思います。
 空いているのは嬉しいんですが、人気がないのかと心配になりました。愛知県、金曜夕方四時放映がいけないのだろうか?もっと頑張れよ…。
 まあ、それはいいとして、問題なく入場できたわけですが。
 前回は入手できなかったおまけを無事ゲットできました。私はメカバルカン、友人Yは2代目です。
 実は、映画を観る前は友人のバルカン300が羨ましくて、交換してあげようかという友人の言葉に甘えようかな、と思っていました。
 ですが、映画観賞後は、きっちり自分のメカバルカンを持って帰りましたよ。この子はきっと4代目に違いないって思っています。

 何から始まるって、いきなり清麿の寝顔から始まるわけです。(まあ、Dr.M2のあれこれは無視するとして)
 周囲の純粋な子ども達は清麿のぐーすか寝ている姿に笑い声を洩らしていたわけですが、私はきっちりモエていました。
 ああ、何て可愛いの。食べてしまいたい!
 初っ端から邪視点全開です。でも、あんな可愛い寝顔を見せるほうが悪い。
 そう気持ちよさそうに寝ていたわけですが、本日は臨海学校出発日。母親に起こされた時刻は、予定起床時刻、及び予定出発時刻を大幅にオーバーしたものらしく。
 何で起こしてくれなかったんだよ、と文句を言って、食パンを口に咥えながら…。
 お前、どこの中学生だ。何だ、その漫画にも出てきそうなお約束中学生行動は。可愛らしいとしか言いようがなく、始まって何分も経っていないというのに、私のモエハートはエンジンフル稼働です。
 玄関に用意してあるバッグの真横、お馴染みのバッグにガッシュは身を潜めています。臨海学校にこっそり付いて行こうと。
 本当、ガッシュは清麿の行くところ、何処であろうと付いて行こうとしますね。原作でも、アニメでも、勿論この映画でも、ガッシュのそんなところがすっごく可愛いと思います。
 それは、いちばん大好きな人のいる場所が最も居心地のいい場所で、いちばん大好きな人といる時間が最も楽しい時間だと、そんな気持ちが強いんだと解釈しています。
 そんな純粋なガッシュの気持ちに、清麿は応えてくれる…わけもありません。
 あっさりスルーされ、ガッシュの計画は崩れるわけです。 
 勿論そんなことぐらいで諦めているようなガッシュじゃありません。清麿の後を追い、高嶺家を飛び出します。
 …その前に、一代目、二代目のお墓参りを済ませてから。
 何故か、この時点で目頭がじんわり来ました。お約束な演出なのだろうとは思いつつ、切ないよ。このほのぼのが余計切ないよ。
 お墓参りの後、ガッシュ・清麿のいつもの如くの追いつ追われつの攻防戦。
 ここにOPが入り、朱・黄・橙のシーンなども流れます。
 話題の車に試乗しているらしきサンビームさん、お弁当を持つウマゴン。お父さんと子どもの図に見えます。実は、ウマゴンはサンビームさんをお父さんのように慕っているのではあるまいか。(でも、お父さん何気にウマゴン見てなかったような…)
 OPも終わり、清麿とガッシュの追いかけっこも大詰めを迎えます。
 塀を飛び越したちょうどその場所には川(用水路?)が。空中歩行により川を渡ろうとする赤本二人。
 絶対途中で落下すると思ったんですが、見事に空中を歩ききります。
 「そんな馬鹿な」という小声が聞こえました。隣から。我が友の発言です。うん、あり得ないよねえ。
 渡りきったのはいいのですが、ちょうどそこにあった木に突っ込んでしまいます。
 清麿は地面に落下したのですが、ガッシュは身に纏っていたバッグが枝に引っ掛かって宙吊りに。
 しかも、親友バルカン300が腕を折る大怪我を。
 「バルカンと臨海学校どっちが大切なのだ!?」の問い掛けに、清麿は爽やかに返答します。
 その妙な巻き舌に劇場に笑いが洩れました。私としましては、その発音の可愛さにモエモエでございましたが。
 この劇場中で最も邪な気を放っているのは自分だという自覚が私を責め苛みます。
 ああ、でもどうでもいいや。私は邪だよ。とにかく、清麿ファンは必聴のことです。


 ガッシュとバルカンを見捨てた清麿は、何とかバスに追い付きそうだったんですが、そこをメカバルカンに拉致されます。
 それにしても、スズメ・金山・山中・岩島の清麿ラブ具合が尋常じゃないです。涙ながらに窓に張り付いて、海ほたるに海底人に日焼け対決にスイカ割り、と恐らく勝手に取り付けた約束を口にしています。
 クラスメイトに疎外されていたはずの高嶺清麿が、今では彼らのアイドルと化しています。この四人は言わば清麿ファンクラブ会員だと思います。
 拉致された清麿はDr.M2の元へと届けられます。両手を抱えられ、お約束に従って気を失った色っぽい顔を晒してくれています。
 清麿の誘拐を企んだのは、未来の魔界から来たというDr.M2という魔物。
 清麿を未来の魔界へと連れて行き、自分のパートナーにしようという心算だそうです。
 それはいいんですが、Dr.M2の清麿ラブ具合は尋常じゃなかった。前述の清麿ファンクラブ名誉会員になれる勢いです。
 突然飛び付いた挙句、むちゅむちゅとキッスを仕掛けたり(実際には為されていませんので、ご安心を)、清麿ちゃん呼ばわりです。
 清麿をパートナーにするという事前情報を得た時点では、清麿を利用するという意味合いだと思っていたもので、この熱愛ぶりには驚きました。
 単に清麿が大好きってわけじゃなくて、ちゃんと清麿を連れて行こうとするには正当な(?)理由があるのです。
 近未来の清麿の作ったトイバルカン…機械化されたバルカン…を手にする機会があり、清麿に興味を持ったと言うのです。
 これを作った奴は天才だ、と。今では誰も知ることのない魔科学をもって、清麿と共に魔界を支配しようと企んでいるのです。
 それにしても、どれくらい未来かはわかりませんが、未来の科学者にトイバルカンというぐらいだからおもちゃなんだろう物を評価されるとは、やっぱり清麿は天才なんですね。
 単行本の四コマでもガッシュロボット作ってましたしね。声を録音するものかと思ったんですが、問題を解くあたりちゃんと知能を持っているようですし。見た目が紙コップと割り箸の癖にすごいです。
 まあ、そのトイバルカンは長い年月が経っていたためにバグがあり、どうしても直すことができないので、新たに作ったメカバルカンに記憶装置をそのまま移行したというのです。
 わざわざトイバルカンのプログラムを使うあたり、清麿ラブ具合が激しいなあと思います。
 

 一方、清麿に見捨てられたガッシュは負傷したバルカンに労わりの言葉を掛けつつ、家に帰る道を進んでいます。
 清麿は「帰ったら新しいのを作ってやる」と言ってさっさと臨海学校に行ってしまいました。ガッシュにとって、新しいのとか代わりとかはあり得ないというのに、清麿はそれを全くわかっていなかったのです。
 思わず、「清麿の馬鹿者!」と声に出して叫びます。
 …運の悪いことに、その声を聞いていた者が。ガッシュの天敵とも言える存在、いじわるなナオミちゃんがジュテーム・ベーゼ号に乗ってガッシュの進路を塞いでいたのです。
 ガッシュを拘束した挙句、ただでさえ負傷中のバルカン三代目に攻撃を仕掛けます。
 三代目の危機を救ったのは、上空より飛来した巨大なバルカン型のメカ。見事にナオミちゃんを追っ払った上、三代目の修理も施してくれます。
 あんなメカニックが直すというのだからどんなハイテクを駆使した修理を見せてくれるのかと思えば、ただ潰れを戻して絆創膏を貼り付けた程度。何か笑えましたが。
 ガッシュはバルカンがバルカンを助けてくれるなんてすごいのだ、と大喜びです。
 メカバルカンはDr.M2の命令に従い、ガッシュを近付けさせないよう適当に遊んでやれ、の言葉を実行していただけです。
 そのはずが、メカバルカンの記憶装置がガッシュの言葉に反応します。
 反応したその音声が…清麿?まさか清麿ですか?いや、ただ単にサクライ氏が当ててるだけって可能性もあるじゃないか。気のせいだ、期待するな自分。
 という具合に激しく動揺してしまいました。
 だって、トイバルカンのプログラムを移行したメカバルカンの記憶装置が清麿の音声を持っているなんて、そんな可能性はひとつしかないじゃないですか。
 清麿が、ガッシュにありがとうって…。
 清麿の声っていうのは結局確信は持てなかったんですが。しかし、いい声だったなあ…。
 Dr.M2の指示通り、メカバルカンはガッシュと遊びます。ここら辺はほのぼのとしたいいシーンでした。
 ブリ貰ったり、ちちもげ踊り狂ったり。
 トンネルを通る際に放置されているペンキを見付け、絵を描いていい場所だと考えたガッシュはメカバルカンを誘い落書きをし始めます。
 ここの落書きが赤本とか朱本とか黄本とか橙本とかに見えたんですが、清麿の姿を確認できませんでした。
 あれかなあというのはあったんですが、何分短くて…。もう一回行って確認しようと思います。
 (公式ファンブックの設定資料で確認。鬼のような形相ですが、朝のことをまだ根に持っているようです)
 そのペンキをうっかり取り落としてしまうガッシュ。青いペンキがメカバルカンにべったりと付いてしまいます。
 それを見て思い付き、メカバルカンにペンキで空(海?)の絵を塗り描き、仕上げに四代目と記します。
 四代目襲名です。
 (友達言、「ガッシュって漢字書けたっけ?」、私応「……。三代目って書いたとき、覚えたんじゃない?」)
 その後、ティオ、キャンチョメ、ウマゴンが合流します。
 ティオは清麿に電話で頼まれ、ガッシュと遊ぶために来たのです。
 この、「清麿の頼みじゃあ、断れないわねー」と超・笑顔で答えるティオが物凄く可愛かった。
 普通の人はティオってばガッシュと遊ぶのが本当は嬉しいのに、そんな天邪鬼な台詞はいてるんだからっ。って思うところでしょうが、私には清麿に頼みごとをされて喜んでいるティオにしか見えませんでした。
 ティオ→清だと思う。
 ティオ達も四代目と打ち解け、5人で仲良く遊びます。
 と、突然巨大な黒い雲が発生し、その中に魔界のシンボルが浮かんでいるのをキャンチョメが見咎めます。
 そこへ向かおうとしますが、今は魔物の子は皆、パートナーがいません。
 四代目にそちらへ行ってくれるよう頼みますが、メカバルカンはDr.M2の命令でガッシュをそこへ近付けさせるわけにはいきません。逆にガッシュを抱えそこから遠ざけようとします。
 ガッシュは縋るように言います。
 「一緒に行ってはくれぬのか?」
 …いつしょ…ありがとう…いつしょ…
 「一緒だ」
 その声が明瞭な形を結んだとき、四代目の目が緑色に光ります。
 今まで、清麿の声であっても、どこかデジタル処理されたような音声だったのが、声になったのがわかりました。
 ガッシュ、ティオ、ウマゴン、キャンチョメを乗せ、翼を大きく広げると飛び立ちました。
 余談ですが、00Fのおまけの映像では、この翼を広げるところでOPのサビが流れましたよね。その音楽と歌詞も合っていてすごく好きでした。
 
 モニターに映った四代目に乗るガッシュ達を見て、清麿はゴム鞠(公式ファンブック曰く、電磁フィールド)をぶち破ろうとします。
「ガッシュがいりゃ、なんとかなる」
「俺はあいつとこの時代を生きる!たとえいつか別れることになったとしてもだ!!」
 たとえいつか別れることになったとしても、原作中、清麿もガッシュもこの言葉を口にしたことはなかったんじゃないでしょうか。
 強敵を相手に本を燃やされる恐怖を味わうのとも、…最近のように己の死を意識してのことでもなく、単純に、例え勝ち残ったとしてもいずれかは訪れる別離。
 それに対する覚悟。それを清麿が初めて示してくれたように思えました。
 いずれ別れるということを、清麿は全く意識していなかったわけじゃない。いつかは別れる。それは、清麿にも重々承知の上のこと。
 いつかは別れるけど、たとえいつか別れることになったとしても、清麿はガッシュとこの時代を生きようとしている。
 別離を恐れるのではなく、それを先へ伸ばそうというのでもなく、限りある時間を力強く生きようとしている姿に、ああやっぱり清麿だなって思いました。
 いや、別に、密かに別離を恐れる清麿っていうのも、それはそれでモエますが(話の腰を折る発言)。
 ええ、まあ、それはともかくとして、ゴム鞠を破った清麿は床にある方陣を踏みまくり、外部モニターのスイッチを入れます。(私はそのことに気付かず、何清麿走りまくってるの?軟禁されておかしくなった?と大概失礼なことを考えていました。)
 そこでガッシュに自らがDr.M2とかいうおっさんに捕まっていることを告げます…が、ガッシュは清麿を偽者だと断言しました。
 清麿は今頃臨海学校でブリを釣っているのだ、騙そうたってそうはいかないのだ、と。
 清麿はブリなど釣らない、ガッシュは本物の清麿ならぜぇ〜ったい釣ってくれるのだ、と言い合います。
 その冷たさに、ガッシュは清麿が本物だと漸く気付きます。
 そのとき、Dr.M2がスイッチを入れ、城を形成していたものたちが次々と舞い振ります。DS軍団です。
 ガッシュたちが攻撃されるのを見て、清麿はひまわりマイクを手に取ると、例のCMシーンですね。マイク捌きがとても素人とは思えません。
 しかし、マイクからの音声でも術は発動するんですね。てことは、パートナー不在でも携帯通じて術使ったりできるのでは。そうなると、本がないから燃やされる心配もゼロ!
 …しかし、それは洒落にならないので、魔科学製のマイクだから発動できたということで納得しておきます。
 ザケルで清麿の床が抜け、無事脱出。だが、落下。
 何とか救出されますが、清麿顔面擦っています。もうちょっとその可愛い顔を大切にして貰いたいものです。
 ガッシュは本気顔で清麿に駆け寄りますが、清麿の怒りの拳骨が頭頂にヒットします。偽者と断定されたことを何気に根に持っています。
 ですが、ここで頭をぽんとしてお礼を言います。清麿の顔が切れているところがよい演出です。
 原作でも清麿はよく顔を伏せ表情を誤魔化そうとしますね。意外と顔に出るタイプのようです。
 清麿は赤い本を開きDS軍団に向かおうとしますが、それをガッシュは止めます。バルカンと戦うことなどできない、と。
 清麿の手から赤い本を奪い、バルカン達を必死に止めようとします。殴られ、払われても。
 清麿はその姿を見ていられず、四代目に捕らわれながらそいつはバルカンじゃない、本を寄越すんだ、何度も叫びます。
 ガッシュのバルカンへの思いも必死だったけど、清麿のガッシュへの呼び掛けも必死でした。
 友達を攻撃なんてできないけど、清麿を連れて行かせるわけにもいかない。
 だけど、清麿だって…親友が無抵抗で立ち向かう姿を見てはいられなかったと思います。
 四代目の中から手を伸ばす清麿は、ガッシュと同じくらい必死でした。体勢は間抜けでも。
 ティオがバルカンに殴られそうになったとき、危ういところでガッシュに助けられました。
 しかし、この身体が同じぐらいの大きさだからこそできる助け方に、ちょっとジェラってました。うう、ここだけヒロイン交代?とハンケチーフを噛み締めました。
 体格差があるからこそのシーンだってあるんだからー。(無駄な対抗意識)
 中々清麿を取り戻すことができず、Dr.M2はDS軍団を集めて合体させ、巨大なメカバルカンで一気に決めてしまおうとします。
 緑だった瞳に赤が灯り、四代目もそれに続こうとします。前に立ち塞がり、行ってはいけないと食い止めようとするガッシュ。
「お主との友情を信じていたいのだ」
 友情…ありがとう…
「友情をありがとう。ずっと一緒だ」
 四代目はガッシュを打ち払い、飛行体型になり飛んで行ってしまいます。
 その場にへたり込むガッシュに向けて、M2キャノンが放たれます。
 寸でのところで清麿が助けますが、巨大メカバルカンは清麿に向けて手を伸ばします。
 その手を弾いたのが、ティオのマ・セシルド。赤い車に乗ってパートナー達の登場です。
 ティオのギガ・ラ・セウシルでダメージを受ける巨大メカバルカンを見て、ガッシュはそれを庇うように両手を広げます。
 四代目があの中にいる。四代目も三代目と同じ友達なのだ、と。
 仲間を危険な目に合わせてまで、と激昂しガッシュからバルカンを奪い取る清麿。
 手を振り上げたときガッシュがぶたれるのだと思ってどきどきしました。平手?平手打ちなの?平手打ちをするのは女の子でしょう。でも、清麿はヒロインだからいいのか?とか。
「忘れたのか、清麿。バルカンは清麿が初めて私にくれた友達ではないか!」
 あれは、しつこく纏わり付くガッシュを追い払うための、その場凌ぎだったはずなのに。清麿が五分で作った、のりづけもされていないお菓子の箱と割り箸のおもちゃなのに。
 もしかしたら、バルカンはコルルのティーナと対比させるための存在だったのかもしれないけど、あれからバルカンはいつもガッシュの傍にいました。
 亡くなってしまった一代目、二代目のお墓を作って、ちゃんと供養までしています。
 バルカンは本当にガッシュの友達なのだと思います。
 だって、清麿が初めてくれた友達だから。
 ガッシュのバルカンへの思いは、清麿への思いと比例する、そう考えると納得できました。
 初めてのプレゼントが友達なんて凄いことだとガッシュは言ったけど、ガッシュが清麿に最初に与えたものだって友達です。
 だからこそ、清麿は友達と過ごす臨海学校にどうしても行きたがっていたのですから。
 まだ俺を信じられるかと問います。赤い本を手渡し、ウヌと答えるガッシュ。
 答えてから渡すのではなく、渡してから答えるあたりがいいですね。赤い本を渡せば、清麿が呪文を唱えればガッシュの意思とは関係なく術は発動します。赤い本を渡すことこそ、何よりの信頼の証なのです。
 赤い本をガッシュに奪われたとき、清麿は自分の手を見て絶望的な顔をしました。攻撃の手段を失くすだけでなく、一時的にガッシュの信頼をも失くしたと思ったからでは…なーんて妄想。
 清麿は、ガッシュにお前の大切な友達を守ってやると約束します。勿論、皆も。友達の友達の友達はみな友達、ですからね。
 清麿とガッシュは動力炉を破壊するため、仲間の援護を受け、M2キャノンの発射口を目指します。
 清麿は手から離れた赤い本を取り戻そうと手を伸ばしたところ、メカバルカンの手に回収されてしまいます。ガッシュは赤い本を拾いそれを追い掛けます。
 手の内に閉じ込められてしまった清麿は、それでも絶対に諦めないといい、何とか脱出を試みます。
 ふと、光を放つ存在があります。よく見てみると、それは腹に四代目の文字を持つ、バルカン四代目でした。
 四代目はガッシュの言葉を聞いたとき目を緑色に変えて、ガッシュとの友情を取り戻していたのです。
 いざというとき、ガッシュ達を助けられるように、あえて巨大メカバルカンに取り込まれたのでした。
 四代目のお陰で脱出が叶い、キャンチョメのディカポルクに驚きM2キャノンを放つために開かれた発射口に、ガッシュのザケルガが発動し、動力炉を貫きます。
 巨大メカバルカンが倒れる中から、四代目だけが姿を現します。その胸に飛び付き、泣いて喜ぶガッシュ。
 清麿に、四代目を守ってくれてありがとうとお礼を言いますが、清麿は逆だと言います。四代目が自分達を守ってくれたのだと。
 このときの清麿が何があったのかってほど可愛らしい表情を晒してくれています。
 何、その、好きな子に相対しているときめき★中学生みたいな顔は。いとかわゆらし。頬とか染めちゃってますよ、この子。
 惜しむらくは、何故公式ファンブックちゃんはこの素敵清麿をセレクトしてくださらなかったのかということです。
 パンフレットにはありますが、これもいいけどこの前、ちょっと目を細めた感じの顔が一番いい仕事してたのよ〜と訴え。(パンフレットと公式ファンブックに)
 
 全てが収束したと安心したのも束の間、何と動力炉で制御していたタイムゲートが暴走し、人間界も、魔界をも呑み込もうとし始めました。
 混乱するDr.M2を清麿は一喝。
 魔科学とは特性の違う魔力を掛け合わすことで強大な力を生むもの。ここにいる魔物たちの魔力は皆異なる特性を持っています。
 頭を冷やし考えると、Dr.M2は四人の力を掛け合わし、動力炉を直す策を考え出します。
 まず、ウマゴンの力のエレメント、ティオの力を守り増幅する守りのエレメント、強く洗練し完全なものへと変える変化のエレメント、みんなの力に光を与え導く伝導のエレメント、バオウ・ザケルガが動力炉を呑み込みます。
 ここでエレメントエレメント連発されたため、ガッシュをよく知らない友人はエレメント=ガッシュの専門用語だと認識し、「エレメントって何」て問われました。
 よくわからない言葉を連発しないで頂きたい。辞書で調べたところ要素とか出ましたが、その意味なのでしょうか。
 安定したかに見えたタイムゲートは、しかしパワー不足で再び暴走を始めます。
 何か方法はないのかと惑う中、四代目が腕を伸ばし動力炉の中に手を突っ込みます。
 Dr.M2は四代目に組み込まれた小型の動力炉にバオウ・ザケルガを撃ち、その力を本体の動力炉に送るしかない、と言います。
 そんなことできるわけがないと拒むガッシュ。
 ですが、清麿の声でなく、自身の声で四代目は言いました。
「撃って、ガッシュ」
 スパークがトイバルカンにあたり、バグプログラムが直ったようで、音声を紡ぎ出します。
 丁度四代目とトイバルカンの声が重なるように。
「ガッシュ、四代目バルカンにお前へのメッセージを託す」
「友情をありがとう」
「離れ離れになっても、俺たちの心はいつも一緒だ」
 重なった思い。でも、これは音声ではなく、声でもなく、四代目自身の言葉です。
 清麿からガッシュへのメッセージではなく、四代目からガッシュへの言葉なのです。
「やれるか、ガッシュ」
「やれるのではない、やりきるのだ!」
 宣言します。やれるかと言われたら、ガッシュはできるわけがない。でも、命を懸ける四代目の想いに応えるため、やりきらなければならないのです。
 バオウ・ザケルガが四代目の動力炉を呑み込み、本体の動力炉へと突き進みます。その力を受け、タイムゲートの暴走は止まりました。
 ガッシュは、また四代目に会えるかと問います。清麿が俺が作ってやると答えます。
「俺は天才清麿様だぜ」
「ウヌ!」
 そうして、生まれたのがトイバルカン――四代目なんですね。
 約束を果たすため、あえて五代目ではなくトイバルカンは四代目になったんですね。
 清麿が託したメッセージをガッシュも清麿も知らないけれど、いずれ清麿はあのメッセージを言うときが来ます。
 天邪鬼な清麿のことだから、直らなかったバグというのはバグではなく、何かの条件が揃わないと聞くことができないとかそういう仕掛けだったのではないかと考えてます。
 

 四代目って何かということを私なりに解釈してみますと、もうひとりの清麿っていうのが一番しっくり来る気がします。
 あのメッセージは、清麿のガッシュへの想いの全てを託したもの。
 つまり、ガッシュに対する清麿自身だったのではないかと。
 その記憶装置を受け継いだ四代目は、トイバルカンを作った未来の清麿の代弁者だったように思えます。
 ガッシュの言葉に反応したのは、単に記憶装置にあるメッセージと一致したからではなく、ガッシュの言葉が一致したからではないでしょうか。
 ティオやキャンチョメやウマゴンが同じ言葉を言っても、きっと反応はなかったと思います。
 ガッシュのためのメッセージを持つからこそ、「ガッシュ」と「メッセージの言葉」ふたつ揃ったとき、初めて反応した、と。
 でも、単に代弁者だっただけでなく、四代目はもうひとりの清麿として人格を形成していったのだとも思います。
 ただの代弁者だったら、きっと最後の言葉も清麿の声でなされました。
 四代目自身の声と言葉を使ってガッシュに話し掛けたこと、それが四代目という存在自体を肯定しているのではないかと。
 こう考えると、様々な思いが交錯して…。
 つまり、
 四代目→←ガッシュ→←清麿
 という図式に。ガッシュっては二股ですか。最近の幼児は進んでいますね。
 まあ、そんなこんなで長々と失礼致しました。
 本気で長すぎて、途中何度も止めたくなりましたが。計5時間掛けて(かけすぎ)作成した映画感想も、これにて幕を下ろさせて頂きます。 

 ※誤字脱字は見逃してください。
 公式ファンブックだって高峰清麿でしたし。
 
 
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