癌宣告
H.13.12.08

 久しくご無沙汰していますが皆さんお元気ですか。
ついこの間お正月を迎えたばかりのような気がしているのに速くも12月、歳月の過ぎ去る速さを痛感しています。
一見平穏な毎日のように見えた私の身辺にも今年は、年の後半に入ってから実にいろいろなことが起きました。既にこの近況報告でお話したように、8月に鼻の手術、10月の初めに記憶喪失、そして、止めを刺すように10月の初めに母が末期膵臓癌の宣告を受けてしまいました。
86歳の高齢とは言え、94歳の父と二人で生活一式を切り回し元気に生活していた母がもう手の施し様のない末期の癌であることを告げられた時には自分で自分の耳を疑ったほどでした。30年程前に膵臓癌で姉を亡くした母は、癌についての知識は豊富で、主治医から直接の宣告はありませんでしたがCT写真を見せられ自分が末期の膵臓癌であることを的確に理解していました。
母の姉が亡くなったのは30数年前のこと、未だ癌の治療が十分確立されておらず苦しみながら息絶えていった姉を看取ってきた母は、ホスピスに付いてもよく勉強しており、検査や治療は一切拒絶し家で過ごす事が無理になった段階でホスピスに入ることを希望しました。主治医の先生も「病院では痛みを押さえる事はできるがケアーの専門家は一人も居ないので十分なケアーはできないがホスピスはケアーの専門家集団だから」とホスピスへの入院を薦めてくれました。
この日から母は、痛みに堪えながら自分の身の回りの整理や残される父の今後のことについての準備に追われていました。しかし、この間も、母の病状は着実に進み、ついには食べることもできなくなり、11月初めに全てを私と家内に託して愛知国際病院ホスピスに入院する事になりました。
私は、母が入院するまでホスピスに付いては大まかな知識しか持っていませんでしたが、母の入院により、ホスピスケアーの素晴らしさを痛感しました。心身両面から密度の高いケアーが行われる事もさることながら、入院前1週間ほど何も咽を通らなかった母が、入院したその日から出てくる食事を美味しい美味しいと言って全て平らげ、今までの痛みも嘘のように消え、見た目には、もうどこも悪くないのではと錯覚を起こすほどです。
母がホスピスに入院して早くも一ヶ月以上が過ぎました。安らかに毎日を過ごしている母を見るとき、こうした日が一日でも長く続いて欲しいと願うのみです。当初は主治医の先生も正月を越す事には悲観的でしたが、現在では、体調も落ち着き正月は家へ帰ってみてはと言われるほどになってきました。
家に残された高齢の父の事も考えてやらなければいけませんし、当分は忙しい日が続きそうです。
年の瀬も押し迫って来ました。これからは寒さも厳しくなってきますので皆さんもお体には十分気を付け過ごされるようお祈りしています。

それでは又!!!


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