さようなら JF2WBG
H.15.03.10

皆さんお元気ですか。
もう三月ですね。まだ寒い朝もありますが、春の兆しが日一日と濃くなってきました。畑でも雑草との戦いが始まりました。

我が家の目印になっていたアンテナタワー

 12月初旬から始まった家の改修は、ほぼ完成に近づいてきましたがまだ今月一杯はかかりそうです。
 ところうで、
「 ―・―・ ――・―  ―・―・ ――・― 
―・・ ・  ・――― ・・―・ ・・――― ・―― ―・・・ ――・ 」
( CQ CQ DE JF2WBG )
と世界に向かって呼びかけてきた無線の鉄塔をついに解体しました。
1980年にアマチュア無線技術士の資格を取り無線局JF2WBGを開局以来アマチュア無線は数々の思い出を私に残してくれました。
当時私には車椅子で生活をしていた病弱な子供がいました。学校へは通っていましたが普通の子供のように外で遊ぶことも出来ず家の中での生活が多く、将来は病院生活も余儀なくされることが予測されていましたので、彼と離れて生活をしなければならなくなった時の連絡手段として、また彼に外部への窓口を開いてやろうと言うのがアマチュア無線局開設のそもそもの動機でした。従って、当然家族全員が無線免許とり開局しました。

小雨の降る中解体作業が始まった

携帯電話の無かった当時、子供は無線を通じて多くの友達との交流ができましたし、家族の間では何時でも連絡を取り合うことが出来ました。特に、子供が入院生活を送るようになってからは病室と常に連絡を取り合うことができ私たち家族にとっては無くてはならない大事な連絡手段となりました。
 もちろん、こうした実用的な利用だけではなく趣味の世界で私の人生を大変豊かなものにしてくれました。ご存知のように電波は、極端な云い方をすれば全宇宙に向かって飛んでゆきます。開局以来百数十カ国、数十万人の人と交信し沢山の友達もできました。
 こうした交信の中から、いまだに私の心に深く残る印象深い出来事や出会や交流もたくさん生まれました。
 しかし、時代は変わり、現在では、連絡手段は携帯電話に、国際的な情報交換や交流手段はインターネットへと大きく変わってしまいました。当然、私の無線機もここ数年全くスイッチを入れることも無く机の上で埃をかぶっていました。ただ長年使い馴染んできた無線機を机の上から片付けるのに忍びずいつか使うこともあるかも知れないと机の上に並べてあったのに過ぎない有様でした。

残された基礎

 当然、こうなると庭の無線塔も無長物と化してしまいました。保守ができず古くなれば錆びて場合によっては倒壊ということも起きかねません。東海大地震が予測される昨今なおさら危険な存在になってしまいました。
 また、家内からも息子はこうした趣味に全く関心がなく管理も出来ないので私が元気なうちに池と鉄塔は処分をしておいてほしいと注文をつけられていました。30坪50トンの水量を擁した鯉池は数年前に壊し現在は芝庭になり、残すところは鉄塔解体のみになりました。
 いつかは壊さなければと思っていた鉄塔のことを、大工さんに話したところ、早速解体を得意とする鉄骨屋さんを紹介してくれました。今までも、いろいろな人に解体をたずねてみましたが、足場を組んでとか、クレーンを使ってとか大げさな話になり、当然費用も法外なものになってしまい踏ん切りがつきませんでした。ところが、今回の鉄骨屋さんの見積もりは、私が予想していたより値打ち。早速壊してもらうことにしました。

トラック一杯分にもならない鉄屑と化したタワー

 解体の当日は朝からあいにくの雨。今日は工事延期かと思っていたところ、電気鋸とロープを持って二人で来訪。流石解体を得意とする業者、慣れたもので足場を組むわけでもなし、クレーンで吊り下げるのでもなし。一人が電気鋸とロープを持ってスルスルスルと塔の天辺まで登ってゆき、上の方から切ってはロープで下に下ろす。実に簡単なもの。延べ時間半日ほどで解体は終わってしまいました。
 最初、私は、鉄塔を切って下ろし、それから運びやすいように細かく切るのかと思っていました。しかし、流石プロの仕事、鉄塔の構造を見極め、最初から再工作の必要が無くトラックに積み易いように切って下ろしてゆく。感心しました。相当の量になるだろうと思っていた鉄屑もトラックの荷台に積み込まれたものを見ると荷台の煽りの高さにも満たない量にまとめられていました。
 残されたのは基部のコンクリート塊。6立米のセメントを流し込んだコンクリート塊は如何ともし難く、当面は家内の花壇にでもしようかと思っています。これで、家内からの宿題は全部完了しました。
 無線局のコールサインJF2WBGは、一度返納すると再度同じコールサインを取得することが困難ですので当分は残しておこうと思っています。ご存知かも知れませんが、無線局のコールサインは、世界中で同じコールサインは二つと無くJF2WBGと聞けば私を特定できるものなのです。
 当分はQRT(閉局)しますが、また開局する時があるかも知れません。その時には、また宜しくお願い致します。
 それでは、
「 ――・―  ・―・ ―
―・・ ・ ・――― ・・―・ ・・――― ・―― ―・・・ ――・ ――・・・ ・・・―― ・ ・ 」
( QRT DE JF2WBG 73 E E )

それでは、また!!!

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