養老の滝遊季の里
H.16.02.19

 皆さんお元気ですか。まだお正月を迎えたばかりのような気分でいましたがもう二月も半ばを過ぎてしまいました。本当に月日の過ぎるのは早いもの、あっと言う間にひと月が過ぎてゆく感じです。

滝元館遊季の里表玄関にて女将さんにシャッターを切ってもらう。

日々の忙しさに時間の過ぎて行くのを感じる余裕が無かったのかも知れません。
昨年の夏以来、父の体調も安定した状態が続きお正月も無事過ごすことができました。この調子なら数日の旅ならできるかも知れないと一月中旬に予定していた父のショートステイの間を利用して雪の高山へ二泊三日の夫婦旅行を計画しました。もうどれ位以前からでしょうか、雪の季節になると、風呂に浸かってぼんやり湯気に霞んだ天井を見上げている時、湯気の彼方に雪国の温泉の野天風呂にのんびりと浸かり雪景色を眺めている自分の姿が浮かんでくるのです。子供たちがまだ小学生の頃、一緒に風呂へ入りながら「今年は雪の温泉へ行こうか。」と私が言うと「お父さんは何時も口だけ。」とひやかされていましたから、私の夢はもう30年以上も果たされること無く続いている勘定になります。その長年の夢が今年は実現する段取りになったのです。

養老の滝にて

ところが、出発予定日の前日、父が突然発熱、肺炎の可能性ありとの診断で急遽入院することになってしまいました。かくして、私の夢は、又もや夢に終わることになってしまいました。
昔から、年寄りと子供は何事かある時や病院が休みの日に熱を出したり体調を崩したりするもので、父もやはり体調を崩すのは土日が多く随分救急外来の世話になっています。
父は3週間ほどの入院で元気になって帰って来ました。入院中の運動不足のせいで運動機能は大分低下していましたが、2月中旬のショートステイには何の支障も無く出掛けて行きました。
父が外泊となると先月空振りになってしまった旅行の後遺症で腹の虫が疼き始めました。何とか腹の虫を治めないと健康に悪いと、思い付きのように家内と二人で養老の滝で有名な養老温泉へ行くことにしました。温泉へ行くと言っても、養老まで我が家の玄関先から高速道路経由で1時間もかからない所です。日帰りでは何度も行ったことがありますが、泊まるのは初めて。
宿泊は、旅行社のパンフレットやインターネットのサイトで見て一度は泊まってみたいと思っていた滝元館「遊季の里」にしました。

養老駅前にある孝子源丞内(こうしげんじょうない)の石像

養老の滝の直ぐ脇にあり、養老山系を後ろに濃尾平野を見下ろすように山の中腹に建てられた「遊季の里」は、各部屋からは勿論のことロビーや野天風呂からも濃尾平野を一望にでき、特に夜景の美しさはたとえ様の無いものでした。
自慢の京懐石料理もさることながら、「遊季の里」の説明書きの冒頭に「美しい自然の中では、ただ何もしないことが最高の贅沢」と書かれていましたが、最高の贅沢を味わえる環境を提供していてくれるような気がします。お客さんの目に触れる場所に時計は一切置いてありません。従業員の方々も、私たちが呼ばない限り一切私たちの目に触れる場所に姿を見せません。時を忘れ静かに過ごすひと時が私たちの心を癒してくれるのかもしれません。
たった一泊の旅でしたが、また一つ近くに憩いの場所を見つけました。
養老駅の前には、私が小学校のとき遠足できた時と同じ姿で孝子源丞内の石像が立っていました。石像の脇には次のような説明書が立ててありました。

孝子源丞内のお話
 昔 元正天皇の御時 美濃の国に貧しい男がいました。この男は山から薪を取って来て、それを売って年をとった父を養っていました。この父は、大へんお酒が好きだったので、男は「ひょうたん」を腰につけていて帰りにお酒を買って来ては父を喜ばせていました。

昔ながらの門前街が連なるお千代保稲荷

 ある日、山の中でこけの生えた石にすべって、うつむけにころんでしまいました。するとどこからか酒のにおいがするので、ふしぎに思ってあたりを見まわすと、石の間からお酒ににた水がわいていました。
 汲んでなめてみると、たいへんおいしいお酒の味がします。男は喜んで毎日このお酒を汲んで持ち帰り、父を喜ばせていました。
 このことはやがて天正天皇のお耳に入り、わざわざ養老へおこしになりました。そのお酒の出るところをごらんになって「これはこの感心な親孝行を神さまがおほめになり、お酒をおさずけになったにちがいない」とおほめになりました。そして年号を「養老」とお改めになり「養老の瀧」と名付けられ、この男を「美濃の守」という役人におとりたてになりました。

帰りは、養老から程遠くないお千代保稲荷に寄りました。このお千代保稲荷は商売繁盛の神様として有名で何時も賑わっています。一昔前から全く変わらない門前街のたたずまい、並んでいる品物も、スーパーや百貨店ではもう見かけることも無いような物が沢山並んでおり、私は、この街の雰囲気が大好きで度々ここを訪れます。また、私は、今ではここの名物の一つになってしまった感のある味噌に浸けた串カツが大好きで、来る度に食べて帰ることにしています。今回も串カツで昼食をすませ帰途に着いた次第です。
 今日の最高気温は15度との予報。もう完全に春ですね。全ての生き物が活力に満ち息を吹き返す季節。歳と共に春を待ち遠しく感じるようになってきました。「春よこい、早くこい」です。

それでは、また!!!

近況報告目次へ