第23話 浅間山噴火



 久しく落ち着いていた浅間山が活動を始め、気象庁の噴火警戒レベルが2に上げられました。浅間山は、過去何度も大噴火を繰り返してきた活火山であり、日本の噴火災害としては、最大の出来事となった天明3年(1783)の大噴火のおりには、私の山荘のある鎌原を火砕流が駆け下り一帯に甚大な被害をもたらしました。浅間山は、現在も活発に活動していて、何時天明の大噴火と同じような大爆発が起きるか分かりません。私が北軽井沢へ来るようになって3年になりますが、そうした危険に対する認識は、全く有りませんでした。浅間山を取り巻く地域に別荘を持っている人達や軽井沢を観光で訪れる人達の認識も恐らく私と似たようなものではないかと思います。中には、浅間山が活火山だという事を知らない人もあるかも知れません。もっとも、大爆発が突然起きるわけではありませんので天明の大爆発の時のような多くの人命が失われるような事態にはならないでしょう。

噴煙を上げる浅間山、8月9日浅間ハイランドパークから撮影。


(気象庁ホームページより転載)

気象庁  噴火予報・警報 第1号

火山名 浅間山 噴火警報(火口周辺)
平成20年8月8日15時00分 気象庁地震火山部

**(見出し)**

<浅間山に火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)を発表>
火口から概ね2kmの範囲に影響を及ぼす噴火の可能性
<噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引上げ>

**(本 文)**
1.活動の状況及び予報警報事項
 浅間山では、7月頃から、火山性地震がやや多い状態で推移しており、8月5日以降、さらに増加しています。
このことから、浅間山では火山活動が高まっていると考えられ、今後、火口周辺に影響を及ぼす小規模な噴火が発生する可能性があります。火口から概ね2kmの範囲では、弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒が必要です。

2.対象市町村等
 群馬県:嬬恋村
 長野県:小諸市、御代田町、軽井沢町

3.防災上の警戒事項等
 火口から概ね2kmの範囲では、弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒
 風下側では、降灰及び風の影響を受ける小さな噴石に注意

<噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引上げ>

**(参考:噴火警戒レベルの説明)**
【レベル5(避難)】:危険な居住地域からの避難等が必要。
【レベル4(避難準備)】:警戒が必要な居住地域での避難の準備、災害時要援護者の避難等が必要。
【レベル3(入山規制)】:登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制等。状況に応じて災害時要援護者の避難準備等。
【レベル2(火口周辺規制)】:火口周辺への立入規制等。
【レベル1(平常)】:火口内等への立入規制。
(注:避難や規制の対象地域は、地域の状況や火山活動状況により異なる)

(補足:平成19年12月1日から噴火予報・噴火警報を発表しています。
 今回の警報は、従来の火山観測情報に相当します)

デイリーの噴火情報詳細は下記気象庁サイトをご覧下さい。
Link to -浅間山噴火予報(気象庁)-


 今回私が北軽を訪れたのは、8月の6日でした。来た時から噴煙の量が何時もより多いことは気付いていましたが唯それだけのことで噴火があったことについては、11日の新聞を見て初めて知りました。


平成20年8月11日中日新聞報道

私のように噴火警戒レベル1の時期しか知らない者にとっては、ほんの少しの活動変化でも敏感に感じますが、ここに住んでいる人たちにとってはこの程度の噴火は気にするほどのことでは無いのかもしれません。事実、今世紀に入ってからの活動を気象庁の「浅間山 記録に残る火山活動」から拾い出してみると

2000(平成12)年 4月17日 地震多発。9月18〜23日 地震多発。10月下旬〜12月地震回数やや多い。11月下旬〜12月 噴煙活動やや活発。
2001(平成13)年
1〜4月 地震回数やや多い。噴煙活動やや活発。
2002(平成14)年
6月20〜24日 地震多発。6〜9月 地震回数やや多い。噴煙活動活発。
2003(平成15)年 微噴火
2月6日、3月30日、4月7、18日 微噴火。2月6日は火口周辺のみ、3月30日は山頂部から山腹にかけて少量の降灰。4回の噴火のいずれかにより、火口付近(火口縁から約300m)に最大4cmの火山礫(れき)が飛散。噴煙活動活発。
2004(平成16)年  9月〜12月 噴火
9月1日に21年ぶりに爆発して活動を再開。9月1日の爆発は、大きい爆発音と空振を伴い、噴石を飛散、山頂の北東6kmまで最大3cmの火山礫が降下、北東方向の群馬県・福島県(最も遠いところは相馬市)の一部で降灰。9月14〜18日 小噴火がしばしば発生、特に16日未明〜17日夕方はほぼ連続的に発生。南東の軽井沢町には多量の降灰があり、群馬県・埼玉県・東京都・神奈川県・千葉県(最も遠いところは勝浦市)の一部でも降灰。この頃火口底に新しい溶岩が出現。9月23日 爆発。中程度の爆発音と空振が発生。爆発地震により軽井沢町追分・御代田町御代田で震度1。山頂の北北東4kmに最大3cmの火山礫が降下、北北東方向の群馬県・新潟県・山形県(最も遠いところは東根市)の一部で降灰。9月29日 爆発。弱い爆発音と空振が発生。爆発地震により軽井沢町追分・御代田町御代田で震度1を観測。山頂の北4kmに最大4cmの火山礫が降下、北から北北東方向の群馬県嬬恋村・長野原町・草津町等の一部で降灰。11月14日 爆発。大きい爆発音と中程度の空振を伴い、山頂の東4kmに直径4〜5cm火山礫(最大は7.5cm)が降下、長野県、群馬県、栃木県の一部で降灰。
2008(平成20)年 現在活動中の噴火
7月頃から、火山性地震がやや多い状態で推移。8月8日浅間山に火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)を発表。8月9日火山性地震は、引き続き多い状態。噴煙は、火口縁上概ね200mで推移。8月10日山頂火口でごく小規模な噴火が発生、噴煙の高さは火口縁上400m。8月11日小規模の噴火が発生、噴煙高度は火口縁上100〜200メートル程度で推移。火山性地震は、引き続きやや多い状態。8月12日山頂火口でごく小規模の噴火が発生、噴煙が火口縁上200メートルまで上がる。火山性地震は、引き続きやや多い状態。

と、毎年のように火山の活動がみられます。2004年にやや規模の大きい活動が見られ私の山荘のある地域にも沢山の灰や石が降ってきたそうです。私が北軽へ来始めたのは、平成18年(2006)ですから、2004年の噴火も治まり噴火警戒レベルも1に下がって一番穏かな時期だったようです。現在、小規模の噴火や火山性地震が続いていますが地元の人たちは全く気にしていない様子です。
 私とこのお山との付き合いも未だ始まって三年目。浅間山が見せてくれるパフォーマンスの全てが私にとっては新しい経験、興味津々たる物があります。私の住んでいる名古屋地方に比べて10度以上低い浅間高原の夏は、快適そのもの。浅間山は、はるばる遠くから涼を求めてやってきた私達に歓迎の意を込めて精一杯のパフォーマンスを演じてくれているのかも知れません。


2008/08/13