第29話 薪割物語



 今年もまた薪の準備をする季節がやってきました。大きい方の薪棚の上段が空になっています。私の薪棚は、大きい方が約二年分、小さい方が一年分保存できる計算になっています。このまま、続けて使っても後二年は大丈夫ですが、快適に薪を焚こうと思うと、二年から三年は乾燥させる必要があり、やはり毎年新しい薪を補充してゆく必要があります。
 薪材は、楢が一番いいのですがなかなか手に入りませんし価格も高い。森林組合で買えは、一番いい材料が手に入りますが、運賃が一車単位なので少しの量では割高になってしまいます。身近な所で調達できないかと思い、以前薪材を届けてもらったことのある便利屋さんに電話をした所、丁度間伐した楢が一本出るからとのこと。早速玉にして届けてもらうことにしました。しかし、これだけでは不足なので、栗の木も混ぜて届けてもらいました。その日の内に玉にして届けてくれましたが、届いた薪材を見てびっくり。直径50センチもある大玉。未だ水分をたっぷり含んだ玉は、私の体重より重いのでは思うほど。持ち上げて1メート動かすのがやっと。当然私の薪割機では、ひびも入りません。斧も弾んでしまって歯が立ちません。そんな折、やはり、薪ストーブ愛好家の友人が以前楔の力は馬鹿にならないよと話してくれたことがあったのを思い出しました。早速、楔を買いに行き実行。しかし、丸太に楔を打ち込んで鉄のハンマーで力一杯打ち込んでも斧の時と同じで先が少し食い込むだけ。割れる気配は全く有りません。一時は、ギブアップ寸前、どうしたものか途方にくれました。割りにくい木は、チェーンソで切り目を入れてから薪割機で割ると割りやすかったのを思い出し、楔でも同じ方法を試してみました。
 結果は、大成功。四つに割れば、後は、薪割機で簡単に処理できます。全部割り終える頃には、楔の使い方も上手になりました。数日かかると思っていた薪割も一日で終わってしまいました。

直径50センチ近くある楢の玉、私の力では台に乗せるのが精一杯。

今回薪割りに使った道具達。

割ろうとする場所に切り込みを入れ楔を打ち込む。
先ずは二つに割れた。

完全には割れていないので反対側に斧を楔にして打ち込む。
これで完全に割れました。

もう半分にして四つ割にする。やっと薪割機で割れるサイズ。
薪棚も満杯になりました。

 楔の使い方、これ結構こつがあります。最初の内は、力任せに打ち込んでいましたが、力を入れればいいと言うものでもなさそうです。チェーンソーの切り込みも、楔を打ち込もうとする端の方に切り目を深く入れるのがこつのようです。インターネットのサイトを見ていると、薪割が趣味と言う方も結構あるようで、続けていると毎年毎年新しい発見があり、結構楽しいかも知れません。


2009/10/21