第33話 北軽駅にデキ12型がやってきた



 草軽電気鉄道の北軽井沢駅舎横にあった北軽井沢観光協会の建物が取り壊され、その跡地で工事が始まったのが平成21年の夏頃のことでした。観光協会の建物を立て直すのだろうくらいに思っていましたが秋も終りに近づいた頃その全容が姿を現し始めました。駅舎の横にプラットホームが作られレールが敷設されていました。北軽井沢駅の昔の姿を復元しようということのようでした。
 そして、平成22年初夏には全体が完成し、7月15日北軽井沢駅舎前にて「電車モニュメントお披露目式」が行われました。駅には、デキ12型電気機関車が往時の姿そのままで停車していました。地元の人の手による実物大の木製レプリカですが、プラットホームに停車している姿は本物そっくりで、この機関車無しではこの駅の姿は様になりません。
 草軽電気鉄道は、昭和37年に全線廃止になり、現在残っている駅舎は、北軽井沢駅のみになってしまいました。草軽電気鉄道の思い出として唯一残された北軽井沢駅が北軽井沢のど真ん中に北軽井沢のシンボルとして再現されたことは素晴らしいことだと思います。
 北軽井沢駅に停車中の機関車は、木製のレプリカですが、本物のデキ12型は、軽井沢駅の前に展示されています。軽井沢駅が改築されるに当たって旧駅舎は、新駅舎の隣に移築されその前庭に草軽電鉄のデキ12型が展示されています。

北軽井沢観光協会の跡地で工事が始まっていました。

完成したプラットホームと原寸大デキ12型電気機関車。

軽井沢駅横に資料館として移築された旧軽井沢駅舎の前に展示されているデキ12型電気機関車。後方の赤い屋根が旧軽井沢駅舎。

軽井沢駅デキ12型機関車横にある説明書

北軽井沢ふるさと館正面入口

 現在では、北軽井沢と言う名称は、単なる長野原町北軽井沢と言う狭い地域名を越え嬬恋村南部を含む広大な別荘地の総称として私たちの耳に響いてきます。そして、その広大な広義の北軽井沢の臍が北軽井沢駅ではないでしょうか。この臍を中心に北軽井沢全体が動いていて北軽へ来る度に何か新しい物に出会うことが出来るのは、本当に楽しいことです。
 インターネットサイトで得た情報では、この北軽井沢駅復元の企画は、北軽井沢コンソーシアム協議会によって行われたもので、北軽井沢コンソーシアム協議会とは、北軽井沢観光協会などの地域団体・北軽井沢とゆかりの深い群馬大学・および長野原町という「産・学・官」が連携・協働して、北軽井沢地域が抱えるさまざまな課題の解決や地域活性化について模索していくことを目的として設立された組織だそうです。
 北軽井沢駅の道を挟んだ向側の広場には、「北軽井沢ふるさと館」が新しく建てられ、建物の半分に北軽井沢観光協会が半分が資料の展示スペースになっていました。


2010/07/26