カビとは

酵母、キノコを含めて真菌と呼ばれる微生物の一群であり、糸状の菌糸先端から栄養や水分を吸収しながら、伸びていきます。実際に我々がパンや鏡餅の表面にカビが生えたと気づくのは、この菌糸が伸びて菌糸体を作った状態の時です。さらに、成熟した菌糸から胞子を作りますが、この胞子はカビの種類によってさまざまな形があります。カビの種類はいままで約5万種が知られ、その中には有益なカビや有害なカビがあります。

コウジカビ(アスペルギルスAspergillus
コウジカビは、ごく普通に見られる不完全菌の一つである。このうち一部のものが、として味噌や醤油、日本酒を作るために用いられてきたことからこの名が付いた。
アオカビと同じ耐乾性で、中温〜高温性のカビです。日本の家屋内に多く、畳、壁、木材、繊維等を汚染しますコウジカビは醸造等に使用される有用菌も多いのですが、人や動物に病気を起こさせたり、食物を変敗させて有害物質を生産したり、工業製品等を劣化させたりする代表的なカビです。

生物学的特徴

コウジカビは、日本では身近なところにごく普通に出現する不完全菌である。アオカビと同様、放置されたパンや餅などの上によく姿を見せる。
空中から基質上に胞子が落ちると、胞子は発芽して、菌糸は基質に伸びて、コロニーを形成する。コロニーはすぐに胞子形成による無性生殖を始める。コウジカビの胞子は、分生子と呼ばれる外生胞子である。

コウジカビの構造

分生子柄は、大型のものでは1mmくらいまで伸び、基質から立ち上がる。柄の先端は丸くふくらみ、頂のうとよばれる。その表面に分生子形成細胞である紡錘形のフィアライドを一面につける。フィアライドの先端からは分生子が出芽状に形成される。分生子は成熟すると、分生子を押し出すように、新しい分生子がフィアライドから作られ始める。その結果、フィアライドの先に、新しいものから古いものへと続く分生子の鎖ができる。頂のう表面のフィアライド全てから分生子の数珠ができるので、分生子柄全体としては、頂のうを中心に針山のように分生子の数珠がつき、古くなると、それが崩れて何だか分からなくなる。古くならないうちは、分生子の塊は柄の先端に丸くついているので、肉眼で見ると、ごく小さな毛玉か何かが並んでいるように見える。分生子は深緑、褐色、黒などの色をしている。

なお、このような分生子形成型はアオカビと共通であり、両者の類縁関係が近いことを示すとも言える。特に頂のうが小さいコウジカビは、アオカビと紛らわしい場合がある。 (ウィキペディアより)

カビは細長い細胞がつながっているので、細い糸がからまったように見えます。
カビが生えているところには色がついています。例えば、青かびは緑、黒カビは黒く見えます。
この色は胞子の色です。胞子は植物の種のようなもので、カビはこの胞子を飛ばして増えていきます。

カビは分類学的には酵母に近い微生物です。
コウジカビ、クロカビ、クモノスカビ、ケカビなどの種類があります。



カビ
カビの胞子は3〜6ミクロンと非常に小さく目で確認できません。掃除機を使用するとカビの胞子が拡散するのでゆっくりと拭き取ります。
吉川翠(東京都立衛生研究所 主任研究員)


カビの発生条件
ダニは動物なのに対してカビは植物に含まれます。しかし繁殖条件はよく似ています。カビの繁殖条件に必要なのは、温度・湿度・空気(酸素)・養分です。

温度
発生しやすいのは20〜30℃です特に25℃前後で活発に発生します。但し30℃以上になると発生は衰え始め36℃以上では発生が殆ど止まります。この温度範囲はダニと同じです。また、低温度でも生えます。(好冷菌)冷蔵庫の中でもカビが生えるのは常識になっているほどです。この点はダニと少し異なり、ダニは冷蔵庫の中ではせいぜい2週間しか生きられません。

湿度
空気中の水分が多いほどカビは発生します。空気中の相対湿度(RH)が92%以上で生え方が著しくなるカビもありますが、多くは80%(RH)から生えるカビです。
カビには酸素が不可欠です。カビの菌糸や胞子が素材の表面に生えるには酸素が必要だからです。
菌糸を素材内部に伸ばすのは栄養を得るためです。

養分
カビはタンパク質、炭水化物、アミノ酸、脂肪、無機塩類等でできています。これらの物質となる栄養物を外から自力で摂取しなければなりません。また、植物に属しても光合成はできませんので、有機物質を必要とします。但し、ビタミン類は自力で合成できます。

絶対湿度と相対湿度
湿度には、絶対湿度と相対湿度があります。乾いた空気1キログラム中に含まれている水蒸気の量を質量、つまりグラム単位で表したものを絶対湿度と呼ぶが、空気中の温度によって含むことのできる水蒸気量が違ってくる。一方、相対湿度とは、ある温度の空気が含むことのできる水蒸気量(飽和水蒸気量)と、実際に含んでいる水蒸気量を比較し、その割合をパーセンテージで表したもので、単に湿度といった場合この相対湿度用いられる場合が多い。つまり、空気に含まれる水蒸気の“量”を示すのが絶対湿度、空気の湿り度合いを示すのが相対湿度なのである。 住環境のカビ
住環境で目に付くカビは限られています。湿った畳にはクロカビ、アオカビ、コウジカビ、ススカビ、アカカビ等が生え、乾いた畳にはカワキコウジカビとアズキイロカビ(ワレミア)が生えます。


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ススカビ(アルタナリア)
黒色のカビで好湿性、中温性で大型のカビです。薬剤やUVに強く、植物病原菌(スス病)になる仲間です。アレルギー症の原因(アレルゲン)にもなります。風呂、台所、結露発生部分等を汚染します。

クロカビ(クラドスポリウム)
本来は土壌のカビで、それが空気中に飛散するので空気中に多いカビです。好湿性で中温性で薬剤にも弱いが、一旦繁殖すると薬剤に対して相当な抵抗性を示しま。畳、壁、台所、プラスチック、皮革等を汚染しますが、一番多い場所は風呂や台所等の水まわりです。

アカカビ(フザリウム)
土壌のカビで農作物の病原菌(アカカビ病)になります。食品類にも寄生して食中毒の原因にもなることがあります。(カビ毒トリコセテン)空気中に分布します。畳、壁、風呂、台所等を汚染します。

アオカビ(ペニシリウム)
耐寒性で中温性のカビで、自然界での分布は広いです。ジュウタン、ベニヤ板、皮革等に多いが、押入れや結露の多い壁、畳にも多く見られます。発生すると真白か緑色に見えます。乾燥に強いので、乾いた場所でも数年は生きられます。アレルギー症のアレルゲンとなります。

コウジカビ(アスペルギルス)
アオカビと同じ耐乾性で、中温〜高温性のカビです。日本の家屋内に多く、畳、壁、木材、繊維等を汚染しますコウジカビは醸造等に使用される有用菌も多いのですが、人や動物に病気を起こさせたり、食物を変敗させて有害物質を生産したり、工業製品等を劣化させたりする代表的なカビです。

カワキコウジカビ(ユーロチウム)
乾燥に強く、数年に渡って生き続けまする。畳、ジュウタンや家の塵(チリ)に多く見られます。また、本、フィルム、ガラス等にも生えます。

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カビの除去法
カビの除去法には物理的に除去する方法と科学的に除去する方法があります。

1)大掃除をする
年に2回は大掃除をすると、カビの予防にもなりますし、また、すでに発生しているカビを早期に見つけ除去することもできます。畳や家具の裏側に風をあてることもできます。

2)室内や押入れにかぜを通す
カビの発生には湿度が大きな役割を果たしています。室内湿度を65%RH(相対湿度)以下にすると、カビの発生は殆ど抑えられます。

3)エアコンのフィルターは定期的に掃除をする
エアコンの断面図を見ますと、フィルターは熱交換機に接して設置されています。熱交換機の両端に結露水を受けるためのドレンパンがあることからも想像できるように、熱交換機の外側の湿度がエアコンの運転停止と同時に上昇し始めます。湿度の高い場所を好むカビは繁殖し始めるのです。ですからエアコンを通過した空気中にはカビのコロニーが検出されるのです。一般の家の空気中のカビ胞子数は約100個/立方メートルですがエアコンの手入れが悪いと空気中の胞子数は10倍にもなります。

4)台所や浴室は換気扇を使用する
台所で調理する際には必ず換気扇をまわし、調理の湿度が他の場所に行かないように処理します。台所のまな板、スポンジ等は時々日光に干して乾燥させます。また、浴室はできればいつも窓を開けておきたいのですが、無理なら入浴後は必ず数時間は窓を開けるか、換気扇をまわします。浴室のスノコ等も日に当てます。

5)洗濯をする
台所のフキンや衣類の汚れはカビの発生源になりますので、洗濯をします。その際、カビを殺すのならば45℃以上の温度をかけます。例えば畳やジュウタンのカビは業務用大型加熱乾燥機で加熱処理をすれば(できれば60℃で10分以上)殺せます。

6)水を含んだ物を沢山置かない
洗濯物を家の中、特に畳やジュウタンの部屋に干したり、観葉植物を多量に家に入れたりすると、室内湿度が高くなりカビが生えやすくなります。

カビが発生したときの対策

カビが生えた場合には防黴剤(ぼうかびざい)を用いるなどで対処をしなければなりません。場所別に処理方法を述べます。


畳表面のカビは消毒用アルコール(70%アルコール)か5%次亜鉛酸ナトリウム(キッチンハイターも可)を布やスポンジにしみ込ませて、カビの胞子が拡散しないように、ゆっくりと拭き取ります。その後、水で洗った雑巾を固く絞り、畳表面の残留薬を取り除きます。余計な水分が畳に残るとダニが繁殖するので、除湿機か扇風機で十分乾燥させます。一方、畳が藁床畳の場合には藁にもカビが出ていることがありますので、畳を日光に干すか、業務用大型乾燥機で加熱乾燥します。畳の中心部が60℃で10分以上かけるようにします。(ダニは50℃20分で死にます)

ジュウタン
置き敷きのジュウタンはかるくアルコールで拭いて(次亜鉛素酸ナトリウムは漂白作用があるにでジュウタンには使用できない)日光に干すか、洗濯をして加熱乾燥します。直張りのジュウタンは剥がしてから上記のような防カビ作業をします。

壁面
新建材による壁面は、普通下地に石膏ボードやベニヤ板等の合板を使用し、その上に各種クロスを貼って仕上げています。ビニールクロスを使用した壁の表面に発生したカビは、漂白剤(次亜鉛素酸ナトリウムを含む)や70%アルコールで拭き取ればある程度は除去できます。布や紙のクロスが使用されている場合には表面のクロスを剥がし(胞子が飛び散らないように)下地部分のカビをアルコールで除去してから、防カビ用接着剤を用いて新しいクロスに張り替えるようにします。

木部
木部表面のカビは漂白剤やアルコールで拭けば除去できます。内部までカビが入り込んだ場合は漂白剤等の防カビ剤の濃度を高くして布にしみ込ませ、木に1時間ぐらい貼りつけておきます。その後アルコールで表面をきれいに拭き取りますが、多少のシミが残ります。

水回り
タイルの目地や浴槽のカビは漂白剤で除去できます。洗濯用の漂白剤でも効果はあります。水で薄めた漂白剤を布やスポンジに染み込ませて、カビの発生部分に塗ります。しばらくするとカビの汚れが漂白されるので、拭き取るようにしてカビを除去します。汚れが落ちにくいときは、タワシや使い古しの歯ブラシでこするとよく取れます。但、金物タワシや金ブラシは目地や素地を痛めるので使用できません。

■カビ

発酵に関わる微生物はおもに「カビ」「酵母」「細菌」の3つです。
微生物は「肉眼では見えない大きさの生物」と定義されますが、この3つの中でもっとも大きいのがカビで、
次いで酵母、細菌の順です。
微生物は地球のあらゆるところに生息しており、例えば、畑の土1グラムには3〜4億個の細菌が
いるといわれています。


ミカンや餅に生えたカビを見たことがある人は多いでしょう。カビはもっとも身近な微生物かもしれません。「肉眼では見えない」という定義に反しているようですが、胞子や菌糸が集まっているから見えるのであって、胞子だけを取り上げると、数ミクロンから数10ミクロン(1ミクロン=1/1000ミリメートル)。発酵によく利用されるコウジカビの胞子は4〜8ミクロンです。

大きさ 胞子 数ミクロンから数10ミクロン(1ミクロン=1/1000ミリメートル)
形状 菌糸から分生子柄という胴部が伸びる。
その頭部に頂嚢(ちょうのう)を基盤に胞子とそれを支える梗子(こうし)をもつ。
増殖方法 胞子→(飛散)→発芽→菌糸が伸びる→
→分生子柄が立ち上がる→先端に頂嚢を形成する→胞子
発酵で活躍する
代表的なカビ
コウジカビ(黄麹菌、黒麹菌、カツオブシ菌など)、アオカビ、クモノスカビ
関係する発酵 日本酒、米酢、黒酢、醤油、味噌、みりん、鰹節、カマンベールチーズ、ペニシリンなど