後書き&創作秘話



このページを見ているということは「世界征服を企む魔王」を全て読んだということですね!ありがとうございまーーーす!!!!!
この話は同じタイトルで別の話が書けそう。っていうか、むしろこれはないだろうと言われそうだけど。
この話を書いたきっかけなんですが、普段連載している大長編のファンタジー小説を書いていてふと思ったこと、

魔王って政治とかできるんだろうか?

これが私が本作を書くきっかけになった事の発端であり、第一話のタイトルも「事の発端」にしました。全てはそこから始まったのです。
で、最初に思い浮かんだのが第一話の内容で、初めからギャグ路線でした。魔王様も配下の魔族達も初めからあんなんでした。でもこれだけでは小説として作品にするにはちょっと……。漫画なら少ないコマでなんとかできたかもしれませんが、私は絵が苦手で漫画は描けないので、なんとか小説として作品にできないかなと。魔王は政治ができるのかという始まりで話を書くのは面白いと思ったので、しばらくネタだけで頭の片隅に置いておいたのですが、なかなかいい案が思い浮かびませんでした。そして、改めて取り組むことを何度かやって、なんとか本作のようになりました。一度プロットが進んだら急にあれこれ決まりましたね。

タイトルが「世界征服を企む魔王」なので、魔王がいるから勇者もいるのではないかと思って新たに勇者を登場させたら本作のようなストーリーになりました。なかなか苦労しましたよ。脳内でプロットを考えても、創作メモに書き出しても、ラストをどうするかが難しくて。全体的にギャグ路線だし、だいたいこの話ネタとしてどうなの?って思ったり。でも、創作メモを見て、頭の中に自然と思い浮かんだ設定や具体的な場面・セリフがこれだけ決まっているのに作品として形にしないのも勿体無いので、現時点で全力を尽くして書くことにしました。今回は場面と場面をつなげるのに苦労しましたね。頭の中に自然と思い浮かんだセリフなどを極力そのまま採用した結果、このような物語になりました。

本作の魔王なんですが、一番最初に私の頭の中に思い浮かんだ時から既に第一話のような感じで、とてもじゃないけど世界を恐怖に陥れるとは思えないキャラでした。その後、プロットが進んで実際に執筆を開始して書き出してからも、とにかくどう転んでもギャグの方向にしか行ってくれないという。魔王は政治ができるのかというのが事の発端で、最初に思い浮かんだのが選挙や演説ネタだったので、物語の舞台は現代社会ということになりました。その後、勇者の名前は勇者だから『ゆうき』に決定、魔王の偽名が太郎、魔王の趣味が写経と盆栽と次々に設定が決まったあたりで、物語の舞台は現代日本ということになりました。まさかこんな形で現代日本の、しかも大学が出てくる話を書くことになるとは思いませんでした。

自然に頭の中に思い浮かんだ設定やセリフを極力そのまま採用していった結果、なんか変なストーリーになっちゃいましたね。いろいろとツッコミどころ満載でこんなはずじゃなかったというか。まさか魔王に太郎という名前を付けることになろうとは。それに、私は現代日本が舞台の話は書かないと思ってたんですよ。登場人物と同じ名前の人が気を悪くするんじゃないかとか余計なことまで考えてしまうので。まあ、でも、多分、勇輝という名前の人が本作を読んでも気を悪くすることはないでしょう。多分。学園ものも書けないと思ってたんですよね、学生時代にいい思い出がないので。本作は学園ものとは言わないけど、まさかこんな形で大学が出てくる話を書くとは完全に予定外でした。

だいたいこの話ってジャンルは何になるの?ファンタジー?これファンタジーっていうの?勇者と魔王が出てくるんだからファンタジーって強引に言い切っていいんだろうか……現代ファンタジー?これ現代ファンタジーっていうの?

そういえば魔王の趣味が写経と盆栽になっていて、自然と頭の中に思い浮かんだんですけど、これってどっから出てきたのかなあと考えていたんですが、プロットを練っている時期に生け花や書道が展示されている場所に行く機会がありまして、その影響ではないかと思われます。他に心当たりはないです。おかげで世界征服を企んでいる魔王なのに習字が得意という変な設定になってしまいました。

魔王に名前を付けるべきかどうかは迷ったんですけどね、既に『太郎』という偽名があるので、シンプルにこのままでいくことにしました。勇者の名前が『ゆうき』というのは覚えやすいと思うし、太郎も覚えやすいし、登場人物も少ないので、登場人物の把握ができるかどうか、読者が誰のセリフか区別ができるかどうかはおそらく大丈夫と思われます。
物語中、第二話の悪の組織や第七話の悪に目覚めた魔王の話なんですが、魔王のキャラとラストを考えると、あまり残酷な表現は使わないことにしました。
それにしても本作の勇者と魔王は、ボケとツッコミでいうなら魔王がボケで勇者がツッコミですね。

簡単なストーリー解説

一、事の発端
一番最初に頭の中に思い浮かんだギャグネタの連続。魔王は自分では世界一いい男だと思っている。配下の魔族達も魔王様はいい男だと思っている。というわけで魔族の世界では魔王様はいい男のようです。魔王様のカラオケの持ち歌は演歌。人間でいうとかなりの年配と思われます。自称も『わし』だし。

二、悪の組織のボスを支配下に
ストーリー展開を考えていて途中で詰まったんですよねえ。その後、魔王様が火炎放射器の攻撃を受け、「あちゃーちゃちゃちゃちゃっ!」ってなりました。とことんギャグの方向にしか行ってくれない魔王様。大学の大きな教室では出席を取らないのは本当ですが、皆さんくれぐれも真似しないように。っていうか、それくらいで政治経済法律マスターできるほど甘くないです(笑)。

三、勇者
勇者みたいないわゆる正義の味方が義理人情の廃れた現代社会にいても鬱病になっちゃうかも。魔王様が大学に潜入するので勇者も大学生ということに。魔王様が『家から近い』という理由で最寄りの大学へ行ったらそこは勇者が通っている大学でしたとさ。意外と世間は狭かった。

四、勇者との対峙
勇者と魔王、お互いの正体を知った時の場面とセリフは思い浮かんだのにそこに至るまでが抜けていて、しばらく頭を悩ますことに。魔王様は人口の少ない国から世界征服をすることにしました。現実世界ではオセアニアの島国諸国が人口の少ない国々のようです。勇者と魔王、お互いの問いかけに答えに詰まってしまう。ちょっと上手く書けなくて苦心しました。互いの正体を知った後も今まで通り大学で一緒に授業を受けてる二人。魔王は勇輝に勉強を教えてもらわないと授業についていけないので一旦身を引いたのです。

いろいろと自分が思い浮かんだストーリーに自分でツッコミ入れたい気分になりました。勇者と魔王が一緒に大学の授業受けてるって何このストーリー!?勇者に勉強を教えてもらわないと授業についていけない魔王って何なんだこのストーリーは!?だいたいこの二人敵対してるって言わないし。早い話、『お友達』じゃないか!

五、魔王城
魔王の趣味が写経と盆栽に決まってから一体どんな魔王城なんだと思ったので話を書いて自分で想像してみました。和風の魔王城というのは今までゲームで見たことがないので和洋折衷という更にメチャクチャな設定に。魔王様は習字が得意なので掛け軸の字も直筆です。魔王の部屋に仏壇があるというのもメチャクチャだけど。仏様ではなくて不動明王が飾ってあります。魔王達は勇輝が『遊びに来た』と思っているので素直に歓迎したのでありました。
勇輝の進路は警察官ということに。警察の世界もいろいろあるとは思うんですが、『おまわりさん』と言われてガクッと脱力するネタだったので警察を目指すことに決定。

六、優秀な人材を確保せよ!
世界征服に必要な優秀な人材確保というわけで魔王達なりに求人票を作ることに。連絡先が携帯の番号だけとか、その辺の電信柱にペタッと貼るとか、なんか一時期よく見かけた怪しい金貸しの広告を思い出します。これにより、勇輝に携帯の番号を知られることに。

七、本性を現した魔王
いつの間にか携帯持ってる魔王様。っていうか、求人票の携帯の番号は魔王様の携帯直通だったという。魔王様は非通知でかけても、非通知でかけたことについて文句を言う為に電話に出てくれます。皆さん、くれぐれもいたずら電話はしないように。魔王様がガラケーかスマホかまでは決めてないですが、勇輝は多分スマホでしょう。せっかくの勇者と魔王の設定なんだから一度くらいちゃんと戦わせようと思って話を考えたんですが、戦わせたら勇者の方が強いということに。あれ?自分より相手の方が強いんだとわかった魔王はだんだん逃げ腰に

――って、ダメじゃん! それ!

昔ながらの王道的な展開だったら、まだ未熟な勇者が魔王に敗北して、今のおまえでは魔王に勝てないとか言われて試練を受けて強くなってから魔王に再び挑んで見事倒してエンディングとかいうことになりそうなんだけど……
悪に目覚めてもノートのコピーごときに動揺する魔王様でありました。作者の脳内でノートのコピーは欲しそうにしていたので、最終話で勇輝に見せてもらえることにしてやりました。そして配下の魔族達がとんでもないことを言ったせいでストーリーが思いもよらぬ方向に。

八、新たな世界征服へ
本当にラストはどうしようかと頭を悩ましましたよ。とにかく配下の魔族達がとんでもないことを言ったせいで本来の意味の世界征服は正式に終了してしまいました。勇輝の平和についての考え方は、登場人物に物語中で言わせるとどうしても作者自身の考えとはズレが出てきてしまうのですが、この物語の勇者、勇輝君はあんな風に考えていると思って頂ければと思います。いろいろと変わったストーリーになってしまいましたが、最後まで読んで下さってありがとうございました。



魔王と勇輝のルックスですが、この話は挿絵入れた時点でギャグだとバレるので、挿絵なしが望ましいかなと思っています。読むまで読者には秘密にしておきたいです。なのでキャラデザは必要なしと思っているんですが……魔王の外見的イメージは、ドラクエ1の人の姿の竜王やドラクエ3の魔王ゾーマ辺りを想像して頂ければと思います。おっさん学生太郎バージョンは完全にご想像にお任せします。勇輝は、私の頭の中のぼんやりとしたイメージではそれなりにカッコいいお兄さんです。



・本作について自分で気になること
他の作品と似たり寄ったりになってないか:なってない
主人公が他の作品の主人公と似ているか:似てない
主人公が作者である自分と似ているか:似てない。作者に似ているのは勇輝の方
読者の印象に残る話になっているか:変わった話として印象に残ると思う
作品に個性が出ているか:ていうか他の人はこんな話書かない

私は今まで主人公キャラって作者の私の分身だと思ってたんですよね。他のアマチュアの物書きさんの小説を読んでも作者さんと主人公が似ている人は時々見かけます。だけど本作の場合、作者の私に似ているのは魔王様じゃなくて勇輝の方なんですよね。これは意外な結果になりました。勇輝の設定の一部は作者の私自身そっくりそのままになっているところもあります。



本作のプロットを家で親に聞いてもらうということをやっていたら言われたこと
「ねえ、一つ聞いていい?その話って元ネタあるの?」
えー元ネタなんてないよー。これ全部私の頭の中で思い浮かんだ話だよー。
というわけで元ネタは特にありません。

書き終わった後で気づいたこと
魔王様のキャラとか、な~んか全然悪じゃないというか、書いていて思い出したのが、

なんか『ひょっこりひょうたん島』のおじさんキャラや悪役キャラに似ているものを感じる……

ひょうたん島は子供の頃に見てたんですが、自分でも気づかないうちに影響を受けていたのかもしれませんね。



『世界征服を企む魔王』、タイトルを見て読者が想像するのとは確実に違ったストーリーだと思いますが、ここまで読んで下さった方、どうもありがとうございました!!!!!



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