※管理人はSFC版FFWしかプレイしていません。これはエンディング後の話です。
世界が平和になった後、エブラーナでは以下のような会話が繰り返されていた。
じい「若!毎日娘達の尻など追いかけずに、少しは王位継承者としての自覚を持ってくだされ!」
エッジ「ああ、わかってるって」
そう答えながらエッジはいつも頭の中で1人の少女の姿を思い描いていた。
エッジ(リディア…お前ほどいい女はいねーよ…)
このような日々が続いたある日のことである。
久しぶりにエッジは現バロン国王であるセシルに会いに行った。過去の思い出話を続けるうちにリディアの話が出てきた。
エッジ「じゃあセシルが最初にリディアに会った時、あいつはまだ7歳だったのか?」
セシル「ああ。幻界は僕達人間界とは時間の流れが違うんだ。しばらく経ってから会った時、すっかり成長していたよ」
エッジ「……ちょ、ちょっと待てよ!だったらこのままリディアが幻界にいれば俺達より年上になっちまうんじゃねえのか?」
セシル「そういうことになるな」
セシルはあっさりと言った。見るとエッジの表情は完全に固まってしまっている。
セシル「どうした、エッジ?」
エッジはしばらく放心していた。
エッジ(ってことは――ってことはだな――このままいけばリディアはあっという間に年をとって――しまいにゃ――)
年をとったリディアを想像する前にエッジは自らの思考を封じた。
エッジ「嫌だああああーーーーー!!!!!そんなの絶対に嫌だああああーーーーー!!!!!」
エッジは絶叫した。
セシル「どうかしたのか?」
セシルはあいかわらず平然としている。
エッジ「じょ、冗談じゃねえぜ!こうしちゃいられるかあー!俺は幻界に行くぜ!リディアを説得して人間界に連れ戻してやる!うおおおおおお!!!!!」
エッジはいてもたってもいられず飛び出していった。
エブラーナ城に戻るとさっそくエッジはゼロムスと戦った時の最強装備を取り出し、旅の準備をした。
じい「若!急に何事ですか!」
エッジ「うるせえ!俺は決めたぜ!もうこうして毎日あいつのことばっかり考えてるのはやめた!ちょっくら行ってくるぜ!」
じい「若!どこへ――」
じいがそう言った時には既にエッジの姿はなかった。
マサムネ、ムラサメ、ガラスのマスク、アダマンアーマー、クリスタルリングの最強装備を揃え、風魔手裏剣、エクスポーションやエリクサーをたっぷりと用意し、単身幻獣の洞窟へと向かうエッジ。今回はローザがいないのでレビテトが使えない。ダメージ床を疾風の如く走り去り、ダメージを最小限に抑えながら、襲いかかるモンスターを次々と倒していく。あれからエッジも忍びの者としての訓練を怠らず、より素早い行動が可能になっていたのだ。しかし、頭に血がのぼっている為、よく道を間違え壁に衝突する。敵に混乱させられ、自らを攻撃して傷を負うこともしばしば。しかし、彼の頭の中にはリディアのことしかなかった。二刀流や飛び道具を駆使して、忍術も使いながら、ありとあらゆる方法で敵を倒していくエッジ。
エッジ「くそっ!俺は負けねえぜ!なんとしてでもリディアを幻界から連れ戻すんだあああーーー!!!」
そして、傷を負いながらも後一歩で幻界というところで、モンスターの群れに遭遇。雷竜の稲妻攻撃に遭い、ベルフェゴールからトルネドを受け、瀕死の状態でアルケニーから地震を喰らう。
エッジ「くっ!リディアの為なら俺は何だってやるぜ!喰らえー!必殺――!?」
アルケニーの地震によって地面が揺れる。次の瞬間、エッジは足を滑らせ地割れの中に落下していった。
エッジ「おわっ!?ちょ、やべえ――ぎゃああああああーーーーー!!!!!」
エッジの頭の中は完全にブラックアウトした。
エッジ「………う………」
エッジが意識を取り戻すと、そこは幻界だった。どうやら部屋の一室に運ばれ、丁重に手当てをされているようである。
「気がついた?」
はっきりと目を覚ますと、そこには前に会った時より一段と美しくなったリディアの姿があった。
リディア「もう、エッジったら。幻界の入り口で傷だらけになって倒れているんだもの。びっくりしちゃったわよ」
エッジ「リディア!おおおおまえ、今何歳だ?」
リディア「久しぶりに会っていきなり何よ?私は今26歳になったところよ」
エッジ「…ふう…ギリギリセーフか…」
リディア「何のこと?」
エッジ「い、いや!何でもねえ!それよりリディア!俺と結――結――結――結っけけけけけ――」
リディア「頭を打っているから当分安静にしてた方がいいわよ。じゃあね」
リディアはドアをばたんと閉めて部屋を出て行った。
エッジ「………結――婚――………」
いきなりプロポーズしようとした挙句、舌が回らずわけのわからない発言になってしまったと、我ながら呆れて呆然としてしまう。
美しく大人の女性に成長したリディア。このまま幻界で唯一人人間として、一生独り身にさせておくのはもったいない。いや、エッジの心はそれでは納得がいかないのだ。自分の想いをこのまま心の中に納めたまま、リディアを独り身にして年老いてゆくことなど、絶対に認められない。
しかし、リディアは自らの意志で幻界に戻ることを決めたのだ。どうすれば説得することができるだろう。エッジの思考は乱れ、なかなか落ち着いて物事を考えることができない。とりあえず、一旦心を落ち着かせようと思い、幻界に来たのだから幻獣王にも挨拶をしておくべきだと考え、王の間へ向かう。
しばらく後、幻界の王の間にて――
エッジ「幻獣王リヴァイアサン!リディアお嬢さんを俺に下さい!是非下さい!」
幻獣王「お前なんぞに大事なリディアをやれるかあーっ!大津波!」
ざっばーん
…………………………
エッジは土下座して幻獣界の王であるリヴァイアサンにリディアとの結婚を認めてもらおうとしていた。津波でずぶ濡れになりながらもひたすら頼み続ける。
エッジ「げ、幻獣王――」
幻獣王「ぬう、粘るのう。どうやら本気のようじゃな」
エッジ「俺はリディアを幸せにする為ならなんだってやります!お嬢さんは俺の全てです!」
幻獣王(…本気なのはわかったが、どこかプッツンしとるように見えるのは気のせいかのう…?)
エッジ「何か?」
幻獣王「いや、何でもない。しかし、リディアはわしにとって実の娘の様なものじゃ。そう簡単にはやれんぞい」
エッジ「それではどうすれば?」
幻獣王「ふぉふぉふぉ、簡単じゃ。お主の力量を見せてもらおう。わしと1対1で勝てるかな?」
エクスポーションで回復後、エッジは幻獣王リバイアサンと対決することになった。
バトル:エッジvsリヴァイアサン
エッジ「雷迅!雷迅!雷迅!」
幻獣王「ブリザラ!ブリザラ!ブリザラ!」
エッジ「へっ、そんなもん、アダマンアーマーとクリスタルリングを装備した俺様には効かねえぜ!おりゃあああああ!喰らえ風魔手裏剣乱発!」
幻獣王「ぬうっ、小癪な!大津波!」
エッジ「煙玉!」
幻獣王「!? どこへ行きおった?」
エッジ「フフフフフ、あれから修業を積んだ俺様を舐めるんじゃねえぜ!分身!」
幻獣王「おおっ、分身の術か。しかしわしの大津波をよけられるかな?」
エッジ「影縛り!」
幻獣王「!? う、動けん!」
エッジ「フッフフフフフ、行くぜ!二刀流乱れ打ち8回攻撃!!!!!」
幻獣王「ぬおおおお!負けてたまるかあああーーー!!!」
エッジと幻獣王リヴァイアサンは忍術と津波攻撃を交互に繰り返す。お互い相手の攻撃をよけながらもなんとか止めを刺そうとする。しばらく戦闘を続けるうちに、エッジの執拗な攻撃に幻獣王は参ってきた。このままでは負ける。そう確信した幻獣王は一気に勝負をつけようとする。
幻獣王「ううう、こうなったら散り際カウンターじゃ!ハイパースペシャル大津波!!!!!」
今までとは想像もつかない程の巨大な津波がエッジに襲いかかる!
エッジ「こっちこそ残りのMPでスーパーウルトラ雷じ――!?」
津波の水と雷迅の術の雷が接触し、エッジは感電した。
………バタッ………
リヴァイアサンも体力を使い果たしたのか、ぐったりと倒れてしまった。
エッジとリヴァイアサンの乱闘が外に聞こえないはずもなく、不審に思ったアスラはリディアを連れて王の間にやってきた。
アスラ「なんだかさっきから騒がしいわねえ。あなた、一体何やってるの?」
リディア「あら?」
そこには手裏剣が散乱し、津波で水浸しになった王の間に伸びているエッジと海竜の姿に変身したままのリヴァイアサンの姿があった。
幻獣王「ぬうう、若造の癖にやりおるのう」
エッジ「うぐ…リディア…」
リディア「エッジ!?」
リディアは思わずエッジに駆け寄る。
幻獣王「エッジとやら、お主の根気には負けた。願いを叶えてやろう。しかし、肝心の本人からOKはもらっとるのかの?」
エッジ「…はっ!そ、それは…」
リディア「何の話?ねえ、一体何が起こったの?」
エッジはボロボロになった姿で居住まいを正すと、片膝をつき、リディアの手を握った。
エッジ「リディア!俺の一生のお願いだ!どうか聞いてくれ!幻獣王にはもう許しをもらった。どうか俺と――結婚してくれ!!!!!頼む!」
リディア「――え?」
エッジ「俺はお前ほどいい女は他にいないと思ってる!ここで一生独身で暮すなんてやめてくれ!俺はお前にマジで惚れてんだよ!今までは言いだせなかった。だけどこれ以上このままでいるのは嫌だ!どうか俺と結婚してくれ!お前の為なら何でもするから!お前の為なら何でも――!?」
エッジは急に眩暈が起きてぐらついた。
リディア「エ、エッジ!?大丈夫?」
幻獣王「最強装備をして魔法防御を上げていたとはいえ、どうやらさっきの感電がキツかったようじゃの」
アスラ「まあ、あなた達ったらリディアの結婚の為にこんなにお互いボロボロになって…しょうがない人達ねえ。エッジさんの手当てもしなきゃ」
エッジが目を覚ますと身体は完全に手当てされていた。どうやらアスラがケアルダをたくさんかけてくれたようである。そして傍にはリディアの姿が。
リディア「エッジ、話は幻獣王様から聞いたわ。全くしょうがない人ねえ。私の為にこんなに無茶をするなんて」
エッジ「リ、リディア…」
リディア「……………本当にしょうがないわねえ……………いいわ、結婚したげる!」
はにかみながらリディアはエッジの頬にキスをした。
エッジ「リディアーーーーー!!!!!」
エッジは天にも舞い上がる気持ちだった。これ以上の幸せは考えられなかった。思わずがばと起き上がり、リディアをひしと抱きしめる。
リディア「もう、少しは落ち着きなさいよ。エッジったら」
晴れてエッジとリディアは結婚することになったのだった。
結婚式当日、エッジは完全に浮かれていた。幸せすぎて他のことは完全に心あらずといった状態である。
じい「若!せっかく想う方と結ばれるのですから、これからは王位継承者としての自覚をですな…若!聞いていらっしゃるのですか?」
リディア「これからは私がちゃんと面倒見てあげるから安心して」
じい「おお…これはしっかりとした奥方をもらって、このじい、嬉しすぎて涙が止まりませんじゃ…ううっ…」
召使い「若様、カインと名乗るお方がお祝いにいらっしゃいました」
エッジ「カイン?久しぶりだな。随分早いじゃねえか。式には来ないんじゃないかと思ってたぞ」
カイン「一応お前達は共に戦った戦友だからな。これは祝いの品だ」
カインは幸せそうなエッジと輝くばかりに美しく着飾ったリディアの花嫁姿を見比べた。
カイン「…フッ…幸せにな」
それだけ言うとカインは背を向けて去ろうとする。
エッジ「何だよ?もう帰るのか?」
カイン「セシル達とは顔を会わせたくないんでな」
召使い「若様、バロン国王夫妻がお越しになりました」
カイン「じゃあな」
カインは目立たない場所から去って行った。
エッジとリディアの結婚式はセシルとローザの式に勝るとも劣らぬ程華やかに、壮大に行われた。以降、エッジは侍女達にちょっかいを出すことは一切しなくなり、王国の再建に努めながらひたすらリディアのみを愛し続けた。リディアはエッジの妃として、時にはエッジを窘めながらも楽しく、幸せに暮らしていった。
Happy End
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