※これはDC後の話ですが、FF7本編しかプレイされてない方でもなるべくわかるように書いてあります。



ヴィンセントの活躍でオメガとカオスが再び星に還り、世界にはまた平和が訪れた。
そんなある日、ヴィンセントはシドに呼ばれた。久しぶりにロケット村まで行き、シドの元を訪ねる。

シド「よお!ヴィンセント!よく無事に帰ってきたな。ったく、無事なら早く連絡よこして会いに来いってんだ!」
ヴィンセント「ああ…すまなかった…」
シド「今日はよお、おめえと久しぶりに飲もうと思ってよ」
ヴィンセント「ああ。私は構わないが」
シド「ったく、相変わらずだな、おめえはよ。用がなくてもたまには遊びに来いってんだ。シエラも気にかけてたぜ」

シドの家ではシエラに接待を受けた。簡単な料理と酒が出される。シドは愛用の煙草を出し、吸い始めた。

シド「今回は大活躍だったな。まさかおまえが世界を救うヒーローになるとはな」
ヴィンセント「私も意外だ。とてもじゃないがそんな柄じゃないからな」
シド「シェルクから聞いたところでは、おまえの昔の女とも関わりが深かったらしいな」
ヴィンセント「彼女は私の恋人ではない。私の方がひたすら愛していただけだ」
シド「ふーん、そうかあ?」

シドは疑わしそうな目線を向ける。

シド「おまえを生き延びさせたいっていう一心でおまえにカオスを宿らせた。科学者ならではの発想だが、それだけおまえのこと好きだったんじゃねえのか?」
ヴィンセント「彼女には1度ふられているのだ」
シド「なんて言われたんだ」
ヴィンセント「ルクレツィアは私の父、グリモア・ヴァレンタインの助手を務めていた。その後、不慮の事故で父は亡くなったのだが、ルクレツィアは自分のせいだと思い込んでいた。だから私の気持ちには応えられないと」
シド「よくわかんねえ理屈だなあ」

ヴィンセント「私もそんなことは関係ないと思った」
シド「だったらそう言えばよかったじゃねえか。そんなの関係ねえ!俺はおまえが好きなんだ!俺に黙ってついて来い!ってな」
ヴィンセント「いや…それは…」
シド「なんだよ。おめえは、なんというか優しすぎるんだよな。押しが弱い!本当に好きな女を手に入れたかったら多少強引に行くべきだ!」
ヴィンセント「…シドらしいな」

2人はそれぞれの気に入りの酒を飲みながら、自分の愛する女性について語りあった。ヴィンセントはもちろんルクレツィア。シドは――シエラ。

ヴィンセント「ルクレツィアは…昔から一方的だ。それに思い込みも激しい」
シド「俺だったらそんな女はごめんだなあ。シエラみたいな女でさえイラついちまうのに。ま、おまえは優しすぎるぐらいだからそんな女がちょうどいいのかもしれないがな」
ヴィンセント「私は彼女の欠点も全てわかった上で愛しているのだ。そう、彼女の全てを」
シド「おっ!そりゃなかなか言えるセリフじゃねえな。普通は喧嘩になっちまうぜ」
ヴィンセント「フッ…そうかもしれない」

シド「そのルクレツィアって女、元の身体に戻る時はくるのか?」
ヴィンセント「わからない」
シド「シャルアみたいに奇跡でも起こらない限り無理ってわけか」
ヴィンセント「ああ」
シド「なあ、ヴィンセント。もしその女が元に戻ったらよ、もう1度やり直してみな。おめえはとにかく優しい奴だからよ、うまくやってけると思うぜ。好きな女は幸せにしてやりたいだろう?」

ヴィンセント「もちろんだ。彼女が幸せなら私はどうなろうと構わない。私は彼女の笑顔が見たかった」
シド「おめえとそのルクレツィアって女に神さんのご加護がありますように、だな」
ヴィンセント「ありがとう。シドこそシエラさんとお幸せにな」
シド「おうよ!」

2人はその後もずっと語りあった。シドは今回の戦いで墜落してしまったシエラ号をまた修理しようと、今度はもっとより良いアイデアを取り入れようと、またもや飛空挺の設計に夢中になっている。ヴィンセントは常に空や宇宙に対する憧れを忘れないシドが羨ましいと思った。
夜は更けていく。酒の味をたしなみながら、シドの話にひたすら聞き役に回りながら、ヴィンセントは愛する女性へ想いを馳せるのだった。





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