コヨコヨは心底怯えていた。彼(?)は今、縄で縛られている。異星人であるコヨコヨはUFOに乗ってこの星を調査していた。そしてある時、謎の襲撃に遭い、UFOが破壊されてしまった。修理しようと思ってこの星の住人に助けを求めようとしたところ、あっという間に捕獲されてしまったのだ。そして現在に至る。恐ろしいのは、どうやら自分は食用として捕らえられているらしいことである。ああ、なんということか。調査に赴いた異星の原住民に食べられて生を終えるとは。
見ると数多くの食材が所狭しと並んでいる。ドラゴンに恐竜、亀、魔物。それらが大量に乱獲されている。

スコール「みんな!魔女との戦いに備えてステータス強化だ!」
ゼル「ルブルムドラゴンのステーキ、うめえなあ!パワー全快だぜ!」
アーヴァイン「アルケオダイノスの骨付き肉もいけるぞ。力がつくぜ」
リノア「アダマンタイマイのスープ、美味しいわよ。身体が丈夫になるわ」
セルフィ「見てみて〜!ベヒーモスの丸焼きできたよ〜!頭がスッキリしそう!」
キスティス「みんな見てちょうだい。過去の文献にモルボルの独特の臭みを取る調理法が載っていたわ。これで心おきなく食べられるわよ。気合い十分ね!」

食材とされているのはどれも巨大な生物ばかりである。それらを貪り食っている彼らはどんな邪悪な大魔王より恐ろしいものに感じられた。恐怖に身が凍りつく。震えが止まらない。がたがたと身を震わせて恐怖に慄いていると彼らがこちらを見た。コヨコヨはびくっと縮み上がった。

ゼル「なあ、あれはどうやって食べるんだ?」
スコール「そうだな。他のモンスターと違って1体しかいないレアものだ。調理法もわかっていない」
アーヴァイン「何せ宇宙人だからな」
リノア「なんだか風船みたい。食べたら身体が軽くなりそうね!」
セルフィ「ぺりぺりって皮剥がしてみたらどうなるかな?煮て食べる?焼いて食べる?」
キスティス「たった1体しかいないんだもの。あの身体を6等分してみんなで分けましょう」

食用として見られている恐怖にコヨコヨはぞっとした。ああ、自分はこのまま異星人に食べられてしまうのだろうか?






ラグナ「スコール達、魔女との戦いに向けてがんばってるらしいな――ってなんじゃこりゃあ!?

スコール達の様子を見に来たラグナは驚いた。そこには至る所に骨や皮の残骸が。ぴくぴくと身を震わせているモンスター達が捕獲されている。

ラグナ「こ、これは一体…」

奥の方を見るとモンスター達をさばいて食べているスコール達の世にも恐ろしい光景が。彼らはステータス強化として強力なモンスターを食しているのである。

ラグナ(なっ!?SeeDっていうのはこんな恐ろしいものなのか!?ああ…俺の息子が…やっぱりあの時レインのそばを離れるんじゃなかった…)
コヨコヨ「そ、そこのあなた、た、助けてえ!」
ラグナ「!?君は?」
コヨコヨ「僕はコヨコヨ。他の星から来た宇宙人。だけどあそこにいる人達に食べられそうなんだ。お願い、助けて!」
ラグナ「なっ…なんてことだ。こんな非力で可愛い宇宙人まで、こともあろうに食べようとするなんて。ああ…スコール、おまえは人としての道を踏み外している…さあ、コヨコヨ君、縄はほどいたぞ」
コヨコヨ「ありがとう。それじゃあ、僕、UFOを修理しないと」
ラグナ「何っ?本物のUFOなのか?」
コヨコヨ「うん!直すにはエリクサーが5つ必要なんだ」
ラグナ「エリクサーぐらいいくらでもあげるよ、ほら!」
コヨコヨ「ありがとう!ありがとう!お礼に僕のカードをあげるよ」
ラグナ「おお!なんて貴重な!1枚しかないレアカード!!!!!」
コヨコヨ「ありがとう!ありがとう!このご恩は一生忘れません」
ラグナ「おう!コヨコヨ君、気をつけて帰るんだよ〜」

コヨコヨは繰り返しお礼を言いながら、手を振って帰っていった。





スコール「ラグナ!そんなところで何してるんだ!」
ラグナ「それはこっちのセリフだ!君達こそ一体何をしているのかね?」
スコール「俺達は魔女との戦いに備えてステータス強化を…あの宇宙人はどうした!食べると素早さがUPする貴重なモンスターだったのに!」
ラグナ「食べる!?宇宙人を食べるだって?とんでもない!あんな非力なか弱い無抵抗な宇宙人を――あんなに可愛いのに――いや、そうじゃない!考えてもみろ、宇宙人を食べるなんて、そんなことをしたらお腹壊すぞ!」
スコール「しかしステータスUPの為には…」
ラグナ「得体のしれないものは食べちゃいけません!それにあの宇宙人はもう自分の星に帰ったぞ」
スコール「なんてことをしてくれたんだ!せっかくのレアモンスターを!」
ラグナ「コラ!あんなひ弱な宇宙人を食べようとするなんて、君達に心はないのかい?」
スコール「人数分取り分けるつもりだったのに…」

どこまでも宇宙人コヨコヨを食べることしか頭にないスコールにラグナはキレた。


「スコーーーール!!!!!それに他のみんなも!このラグナおじさん直々にお説教だーーー!!!!!」


セルフィ「えーっ?ラグナ様のお仕置き〜?やったあ!嬉しいな〜」
アーヴァイン「セフィ!」
スコール「何で怒られなければならないんだ?」


「弱い者いじめしちゃいけません!!!!!」


スコール「あれはステータス強化の為の食材だ」


「問答無用!君達まとめて…ピヨピヨグチの刑だーーー!!!!!」


スコール「うわあ!やめろー!それだけは!」

スコールは意地でもピヨピヨグチの刑から逃れようと必死になった。が、そのうちラグナに捕まり、刑を受ける。ちょうどその時ベヒーモスの活け造りを持ってきたリノアと目が合ってしまったのだった。最高にカッコ悪いところを見せてしまったスコールはショックのあまり、しばらく口がきけなかった。



コヨコヨは無事スコール達の魔の手から逃れ、スコール達はラグナに延々と説教をされた。そしてラグナはひそかに、モンスターを食べることで肉体強化をするSeeD達、特に息子のことについて嘆くのであった。





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