ある時、レディパールと蛍姫とディアナの3人で、煌めきの都市が復活した祝いの宴を開こうという話が出た。もちろん、珠魅の為に泣いてくれた『YOU』も招いて。
そうと決まれば話は早かった。煌めきの都市の珠魅達は一斉にパーティーの準備をした。そして、舞踏会を催そうということになった。
それぞれの珠魅達はいつにも増してお洒落をして、美しく着飾った。男の珠魅も、正装で立派に見える服装を用意し始めた。





そして舞踏会当日。
ディアナの挨拶が終わると、舞踏会が始まった。『YOU』は特別な招待客であったが、ダンスに誘われると、何人かの珠魅と共に踊った。
ディアナはルーベンスと。瑠璃は真珠姫と。他の男女のペアの珠魅達も踊り、それから他の異性の珠魅と踊り始めた。瑠璃はエメロードをはじめとする何人かの女の珠魅と踊っていたが、ふと、真珠姫の姿が見当たらなくなっていることに気付いた。

瑠璃「真珠!?」

見ると、蛍姫の傍らにレディパールが控えていた。それを見て、瑠璃は委縮してしまった。真珠姫はレディパールとしてもこの舞踏会に出席するつもりだったのだ。そしてレディパールは珠魅一族の指導者の1人。ああして玉石の騎士として立っている様はどんな男も顔負けなほど凛々しい。コンプレックスに悩まされた瑠璃はダンスからパーティーの食事へと手を伸ばそうとした。

その時だった。女の珠魅がレディパールに近寄った。

「パール様、もし、よろしければ私と1曲踊ってはいただけませんか?」
レディパール「私もダンスに参加しろと…それではまず、蛍姫様と踊らねばな。あなたとはその次にしよう」
「ありがとうございます。パール様」
レディパール「蛍姫様、さあ」
蛍姫「パール…」

蛍姫は頬を赤く染めながらレディパールにエスコートされ、ダンスを始めた。なんとレディパールは女性でありながら男性のステップを踏んでいた。

瑠璃「・・・・・・・・・・」

瑠璃は呆然として開いた口が塞がらなかった。
その後、レディパールと踊りたがる女の珠魅が殺到し、レディパールは息つく暇もなく踊り続けた。
瑠璃は完全に拗ねてしまい、パーティーの食事をやけ食いしていた。すると――

ある男の珠魅がレディパールに近寄った。

「パール様、もし、よろしければ私と1曲踊ってはいただけませんか?」

するとレディパールは丁重に断った。

レディパール「すまないな。私は心に決めた男性としか踊らない」

彼女がそう言うと、場内はざわついた。そんな中、レディパールは瑠璃の元へと近づいてきた。

レディパール「私の騎士瑠璃よ、私は男性のステップしかできないが、あなたが相手なら女のステップを踏んでもいい。どうか私と踊ってはくれまいか?」

場内はさらにざわついた。皆、瑠璃と真珠姫の間柄は知っていたが、レディパールの時は全く別だと思っていたのである。
皆の注目を浴びながら、瑠璃はひどく戸惑い、ダンスの申し込みを承諾した。

レディパールは女性のステップもうまかった。そして瑠璃は緊張のあまりステップを間違えないように必死だった。ここで誤って彼女の足でも踏みつけようものなら大失態である。

その後、2人は何曲も何曲も踊り続けた。いつの間にか他の珠魅達はダンスを終え、2人の踊りに見入っていた。

最後の曲が終わると、その場にいた全員から大喝采を浴びた。瑠璃は真っ赤になってしまった。

レディパール「どうだ、皆の者。私と私の騎士瑠璃とのダンスは。これを機に皆にははっきりと伝えておこう。私は心に決めた相手――私の騎士瑠璃としか踊らぬと。蛍姫、誠に申し訳ないが、今後あなた様と踊ることはできませぬ。もちろん、他の女性の珠魅とも」
蛍姫「パール、あなたの気持ちはよくわかりました。私は今度舞踏会が催されるまでにアレクサンドルが戻ってくるのを待つとしましょう」





それ以来、珠魅達は瑠璃と真珠姫の間柄だけではなく、瑠璃とレディパールの間柄も意識するようになった。
レディパールにとっても瑠璃は特別な存在であり、『珠魅の騎士』なのだと。





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