草模様




昭和四十年
小学校 低学年の頃まで
さとちゃんは
祖母と一緒に寝ていた。

祖母は
ふとんに 入ると
いつものように

「わーっ、ごくらく、ごくらく。」

言ってから
眠るのだった。

その当時の
さとちゃんには

何故、祖母が、
「ごくらく、ごくらく

言うのか わからなかった。

あたり 前田の クラッカー。

遊び盛りの少年にとって
ふとんに入るのが
楽しいはずがない。



しかし、さとちゃんも
だんだん歳をとってきたようで

ふとんの中に
もぐりこむと

「ごくらく、ごくらく。」

という言葉というか、
呪文を

何時の間にか 唱えるように
なっていました。





昭和四十年頃の冬は
今より ずっと ずっと
寒かったように思う。

霜柱を ザクッ ザクッと
踏みつけながら

水溜りに張った氷の上を
滑りながら

少年さとちゃんは 小学校へ通っていた。

その頃
道路は ほとんど
舗装されていなかった。


高い建物が少なかったので
春日井市でも
白い雪を被った連山を
眺めることができました。



西には 伊吹山

遠く北には 霊峰 御嶽

冷たく強い 伊吹おろしが吹くと
家中のガラス窓は
ガタン、ガタ、ガタタンと
音をたてた。

頬にできた
ひびわれに
オロナイン軟膏を
擦り込んでいた冬。

さとちゃんの少年時代。




昭和四十年頃の暖房用品


  
ただの火鉢        練炭火鉢           練炭    



   
あんか              画期的だった豆炭あんか        



       
湯たんぽ                      懐炉                


寒い冬の楽しみは
ー電気敷き毛布で暖められた
ふとんに入ること。ー

だけかも 知れない。


最近使い出した
軽くて やわらかな
羽毛のふとんは 快適だ。

羽毛ふとんに くるまっていると

自分が 鳥になって

空を飛ぶ夢を

見られるような

 気がするのです。


「う〜ん、ごくらく、ごくらく。」



さとちゃんでした。

それでは またなー。



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