フリーソフトウェア版親指シフトキーボード対応キーボードドライバについて
2010/5/12 改定(初版 2009/8/2)

NICOLA 日本語入力コンソーシアムからは、Windows95「親指シフトキーボード」対応キー
ボードドライバ Ver 1.0.7 が、また、株式会社サニコンからは、Windows2000/XP「親指
シフトキーボード」対応キーボードドライバ Ver 5.0.1.4 が、それぞれフリーソフトウ
ェアとして公開されています。
これらは、それぞれ富士通製親指シフトキーボード(含むノートパソコン)に対応するフ
リーソフトウェア版のキーボードドライバです。

富士通製OASYSキーボードドライバの親指シフトノートタイプの代わりに、これらのキー
ボードドライバのノートパソコン用のものをPS/2接続の109 OADGキーボードまたはノート
PCのOADGキーボードに組み込み、キー配置変更ソフトウェアと親指シフトキーボードユー
ティリティ oyakey.exe を組み合わせて使用することによって、富士通製キーボードドラ
イバの場合と同様に、OADGキーボードで親指シフト入力が出来ることと、oyakey.exeの各
機能が正常に動作することが確認出来ました。

これらのキーボードドライバは、富士通製OASYSキーボードドライバと違い、ドライバを
組み込んだだけでは、右Ctrlキーは実行キーとして機能しません。
しかし、キー配置変更ソフトウェアでキー割当てを行うことにより、実行キーと取消キー
と英字キーがそれぞれ富士通製OASYSキーボードドライバと同じ様に機能します。
ただし、OASYS使用時にキー割当てを「OASYSキーボード(実行付box型)」または「OASYSキーボー
ド(実行付note型)」にしても、「Print Screen」キーは前頁キーとして働きません。

また、OAK/Japanistを使用し、キーボード指定を「OASYSキーボード(実行付)」とすると、
かなだけで無く、記号等を含めて、富士通製OASYSキーボードドライバと同じ様に入力出
来ます。ただし、MS-IME等の他のIMEでは記号は正しく入力出来ません。これは富士通製
OASYSキーボードドライバも同じです。

さらに、Windows2000/XP用ドライバの場合は、レジストリ変更によるキー配置変更で発生
する制限も富士通製OASYSキーボードドライバと同じであり、oyakey.exeの機能Cを有効
にすることにより、ローマ字かな入力時に後退キーが「:」キーの位置で打てる様になりま
す。

この様に、OASYSを使用する際に前頁キーが機能しないことを除いて、フリーソフトウェ
ア版キーボードドライバと oyakey.exe を組み合わせることにより、富士通製OASYSキー
ボードドライバを使用した場合とほぼ同等の親指シフト入力環境が実現出来ます。
ただし、これはキーボードドライバのサポート外の使用方法となります。

以上のことをご理解頂き、使用者各自の責任において、これらフリーソフトウェア版キー
ボードドライバをご使用される場合は、OASYSまたはJapanistをお持ちで無い方でも、親
指シフトキーボードユーティリティ oyakey.exe をご使用して頂けます。
これにより、MS-IMEやATOK等、OAK/Japanist以外のIMEでも、親指シフト入力環境を実現
することが出来ます。
使用する場合は、以下の説明に従い、設定を行って下さい。


キーボードドライバおよび oyakey.exeの設定および使用方法

・Windows 98/Meの場合
@キーボードドライバの組み込み
 NICOLA 日本語入力コンソーシアムのソフトウェアライブラリのキーボードドライバか
 らダウンロード可能な、Windows95「親指シフトキーボード」対応キーボードドライバ
 Ver 1.0.7を準備する。
 http://nicola.sunicom.co.jp/info3_1.html

 インストール手順に従い、キーボードドライバをインストールする。
 キーボードのモデルは、 「FUJITSU BIBLO DC 13NA3/NU3以後」 を選択する。

 このキーボードドライバを組み込むことにより、親指シフト配列によるかな入力が可能
 となる。

 注意
 キーボードのモデルに 「FUJITSU BIBLO LIFEBOOKシリーズ」 を選択すると、infファイルの
 記述ミスにより、キーボードドライバが正しく組み込まれない。
 キーボードドライバに含まれる nicolakb.inf をテキストエディタで開いて、以下の様
 に変更すると、「FUJITSU BIBLO LIFEBOOKシリーズ」 も選択が可能である。(組み込まれる
 ドライバは 「FUJITSU BIBLO DC 13NA3/NU3以後」 と同じ)

 [List]
 ...
 %TypeNewNoteBookOyayubi2%=installNewNoteBookOyayubi2, ([List]以下の5行目)
  ↓
 %TypeNewNoteBookOyayubi2%=installNewNoteBookOyayubi,
 (末尾の2を削除)

AWindows 95用キー入れ替えドライバ SwapScan.386を使用して、キー配置の入れ替えと
 OASYSキーボード特有のキーの割り当てを行う。
 ・配置の入れ替えと割り当て内容は以下の通り。

   「@」   -> 「:」
   「:」   -> 「BS」
   「BS」  -> 「]」
   「]」   -> 「@」
  「右Alt」 -> 「取消」
  「左Win」 -> 「右Alt」
  「左Alt」 -> 「TAB」
   「TAB」  -> 「英字」
  「右Ctrl」 -> 「実行」

 ・SYSTEM.INIの記述は以下の通り。

   [386Enh]
   device=SwapScan.386
   ...
   [SwapScan.386]
   SwapLCtrlCaps=no
   SwapHanzenEsc=no
   MapScan=1a 28
   MapScan=28 0e
   MapScan=0e 2b
   MapScan=2b 1a
   MapScan=e038 e064
   MapScan=e05b e038
   MapScan=38 0f
   MapScan=0f 63
   MapScan=e01d e067

B上記@,Aの組み込みを完了後、解凍したoyakey.exeとoyakhook.dllを適当なフォルダ
 (C:\oyakey など)に置き、oyakey.exeを実行する。
 実行後、oyakey.exeのアイコンがタスクトレイに格納される。
 設定変更する場合やプログラムを終了する場合には、タスクトレイのアイコンを右クリ
 ックして表示されるメニューから行う。
 また、Windows起動時に自動的に実行する場合は、oyakey.exeのショートカットをプロ
 グラムメニューのスタートアップに登録する。

・Windows 2000/XPの場合
@キーボードドライバの組み込み
 株式会社サニコンのダウンロードコーナーからダウンロード可能な、Windows2000/XP
 「親指シフトキーボード」対応キーボードドライバ Ver 5.0.1.4を準備する。
 http://www.sunicom.co.jp/

 インストール手順に従い、キーボードドライバをインストールする。
 キーボードのモデルは、「FUJITSU FMV-BIBLO」 を選択する。

 このキーボードドライバを組み込むことにより、親指シフト配列によるかな入力が可能
 となる。

AWindows NT/2000/XPのレジストリ書き換えによるキー配置変更を行うソフトウェア
 Change Key v1.40を使用して、キー配置の入れ替えとOASYSキーボード特有のキーの割
 り当てを行う。
 ・配置の入れ替えと割り当ては以下の通り。

   「@」   -> 「:」
   「:」   -> 「BS」
   「BS」  -> 「]」
   「]」   -> 「@」
  「右Alt」 -> 「取消」(スキャンコード 0xe064)
  「左Win」 -> 「左Alt」
  「左Alt」 -> 「TAB」
   「TAB」  -> 「英字」(スキャンコード 0x0063)
  「右Ctrl」 -> 「実行」(スキャンコード 0xe067)

 Change Keyでは、ソフトウェアの画面上で入れ替えるキーを設定する。ただし、取消キ
 ーと英字キーと実行キーはスキャンコードで設定する。登録後、再起動を行うと、キー
 配置変更が有効となる。

B上記@,Aの組み込みを完了後、解凍したoyakey.exeとoyakhook.dllを適当なフォルダ
 (C:\oyakey など)に置き、oyakey.exeを実行する。
 実行後、oyakey.exeのアイコンがタスクトレイに格納される。
 設定変更する場合やプログラムを終了する場合には、タスクトレイのアイコンを右クリ
 ックして表示されるメニューから行う。
 また、Windows起動時に自動的に実行する場合は、oyakey.exeのショートカットをプロ
 グラムメニューのスタートアップに登録する。

oyakey.exeの機能その他については、oyakey.exeの説明書を確認して下さい。


IMEの環境設定

OAK/Japanist以外のIMEを使用する場合は、oyakey.exeと組み合わせて期待通りの動作を
させるためには、IME側のキー設定をいくつか変更する必要があります。
以下の例を参考にしてIMEの環境設定を行って下さい。

・MS-IMEを使用する場合の環境設定(MS-IME2000の例)
@IMEツールバーのプロパティをクリックして、[Microsoft IME 2000 のプロパティ] ダ
 イアログボックスを表示する。
A[全般] タブをクリックする。
B入力設定の「ローマ字入力/かな入力」を「かな入力」に設定。
Cキー/ローマ字/色の設定の「キー設定」を「MS-IME2000」に設定後、その右側の四角い
 ボタンをクリックして、[Microsoft IME 2000 詳細プロパティ] ダイアログボックスを
 表示する。
D[キー設定] タブをクリックする。
E以下のキーについて設定変更を行う。
 キー設定の変更を1項目でも行うと、選択されているキー設定は 「ユーザー定義」 に自
 動的に切り替わる。

 半角/全角:全ての項目を「IME-オン/オフ」から「字幅切替」に変更。
       「字幅切替」が選択出来ない項目は「-」とする。
 英数:全ての項目を「かな英数」から「英数キー」に変更。
 SPACE:全ての項目を「空白」または「全角空白」に変更。
 無変換:入力/変換済み文字なしを「かな切替」から「ひらがなキー」に変更。
     入力文字のみを「かな変換」から「ひらがな」(ひらがな変換)に変更。
 Ctrl+無変換:Shift+変換を選択し、キー追加でCtrl+無変換を設定。
        (Shift+変換の設定をCtrl+無変換にコピー)
        変換済みと候補一覧表示中が「前候補」に、その他の項目は「-」に設定
        される。

F[Microsoft IME 2000 詳細プロパティ] ダイアログボックスの [OK] ボタンをクリック
 して、キー設定の変更を終了する。
G[Microsoft IME 2000 のプロパティ] ダイアログボックスの [OK] ボタンをクリックし
 て、全ての設定を終了する。

※Office IME 2007/2010の場合は、[全般] タブの「編集操作」にある「直接入力モード
 を使用しない」のチェックを外すか、「キー設定」を一旦、「IME Standard」に変更し
 てから、キー設定の変更を行って下さい。

・ATOKを使用する場合の環境設定(ATOK14の例)
@ATOKパレット上で右クリックして表示されるメニューから「プロパティ(環境設定)」
 を選択して、[ATOK14プロパティ] ダイアログボックスを表示する。
A[入力・変換] タブをクリックする。
B設定項目の基本を選択し、入力方法を「カナ入力」に設定する。
C[キー・ローマ字・色] タブをクリックする。
Bスタイル一覧から「OAK/Win(106キーボード用)」を選択する。
C[スタイルの選択] ボタンをクリックして、スタイル選択を確定する。(スタイルの先
 頭に赤い印が付く。)
D[キーカスタマイズ] ボタンをクリックすると、[ATOK14キーカスタマイズ] ダイアログ
 ボックスが表示される。
E以下のキーについて設定変更を行う。

 無変換:文字未入力を「-----」から「入力文字種全角ひらがな(あ)」に変更。
     次候補表示中を「変換/前候補」から「順次カタカナ後変換」に変更。
 Ctrl+無変換:変換中と次候補表示中を「-----」から「変換/前候補」に変更。
 ローマ字:文字未入力を「-----」から「漢字モード順次切替」に変更。
 Ctrl+BackSpace:入力中を「-----」から「カーソル後移動」に変更。(*)

 (*)の変更の代わりに、以下の変更を行っても良い。
 BackSpace:入力中を「カーソル前移動」から「前文字削除」に変更。

F[ATOK14キーカスタマイズ] ダイアログボックスの [OK] ボタンをクリックして、キー
 設定の変更を終了する。
G新規スタイルのダイアログボックスが表示されるので、スタイル名を入力して [OK] ボ
 タンをクリックする。スタイル一覧に新規のスタイルが選択された状態となる。
H[ATOK14プロパティ] ダイアログボックスの [OK] ボタンをクリックして、全ての設定
 を終了する。


MS-IMEやATOKを使用する場合の注意点
・Office XP/2003のWordやExcelなどのアプリケーションと詳細なテキストサービスが有
 効なMS-IME2002/2003およびそれ以降のバージョンの組み合わせでは、oyakey.exeの機
 能のいくつかは正常に動作しません。
 MS-IME2002/2003およびそれ以降のバージョンを使用して、Office XP/2003などのアプ
 リケーションで正常に動作させるためには、詳細なテキストサービスをオフにする必要
 があります。

・oyakey.exeの機能Eは、MS-IME98/2000/2002等、MS-IME98以降では、動作しません。

・MS-IMEやATOKには、半角かな入力モードはありません。

・MS-IMEやATOKでは、富士通製親指シフトキーボートに刻印されている記号は入力出来ま
 せん。

・MS-IMEの無変換キーによるかな変換とATOKの無変換キーによる順次カタカナ後変換は、
 OAK/Japanistの無変換キーの動作に似ていますが、これらのMS-IMEやATOKの動作は、変
 換結果を学習するひらがな変換やカタカナ変換であり、OAK/Japanistの無変換に相当す
 る動作はありません。
 このため、一度ひらがな変換を行った後、次に同じ言葉を変換キーで変換すると、ひら
 がなの候補が一番初めに表示されます。カタカナ変換を行った場合も同じです。
 OAK/Japanistの無変換と同じ動作をさせる場合は、ひらがなを入力した後、Enterキー
 でそのまま確定する必要があります。
 ただし、ATOKの場合は、ひらがな後変換やカタカナ後変換の変換結果を学習しない設定
 に出来ますので、この設定をしておけば、OAK/Japanistの無変換とほぼ同等の動作とし
 て扱えます。MS-IMEの場合は、ひらがなやカタカナの変換結果のみを学習しない設定に
 は出来ません。OAK/Japanistの無変換の動作に近付けるためには、学習のレベルをなし
 にするか、その1つ右隣のレベルに設定して下さい。(Office IME 2007/2010には、学
 習レベルの設定項目がありません。)

・MS-IMEやATOKでは、句読点や記号、カタカナや英字、文字変換後の空白等が直接確定が
 出来ないため、Enterキーで確定する必要があります。
 また、OAK/Japanistでは、Enterキーを押せば、確定と同時に改行も出来ますが、MS-
 IMEやATOKでは確定動作だけなので、改行をするためにはもう一度Enterキーを押す必要
 があります。
 さらに、OAK/Japanistでは、タブなどの機能キーでも確定と同時に機能キーの動作が実
 行されますが、MS-IMEやATOKではそれが出来ません。
 ただし、oyakey.exe V1.08で追加されたOASYS風の確定動作の機能やV1.09で追加された
 直接確定入力の機能を使えば、MS-IMEやATOKでも、Enterキーで確定と同時に改行した
 り、タブキーで確定と同時にタブ移動を行ったり、句読点や記号や英字などを直接確定
 入力することが出来ます。


以上