キク科の越年草。紅、すなわち赤色染料の原料となるところから名付けれれた。原産地はヨ−ロッパ、
小アジア方面といわれ、日本では栽培種。産地としては山形県が有名。筒状花で、咲き始めは黄色。
オレンジ色になり、最後は赤くなる。
古くは「紅(くれなゐ)」「末摘花(すえつむはな)」といわれ、万葉集にも出てくるから、奈良時代
以前に渡来した。岐阜薬科大で聞いた話では、原産地はペルシャで、渤海から今の北朝鮮を経て日本に入った
という。
おそらく、匈奴によって草原のシルクロードでもたらされたのであろう。日本では、緯度の高い東北地方で
栽培されるから、中国経由ではないようだ。写真は2003年6月25日、岐阜市の岐阜薬科大薬草園で写す。
「くれなゐ」は「呉藍」とも書くので、細川末雄著「古典の植物を探る」は“呉”を中国の「呉」と
解しているが間違い。「“呉”は“暮れ”のことで、日が沈む西の方を漠然と指す」と故喜田貞吉博士が
「尾三遠郷土史論」の中で話している。
(2003年6月29日作成、7月10日改)