2010年、開府四百年を迎える名古屋に関心を持ってもらう狙いで、
執筆した。元禄時代の名古屋を舞台に、目明し・庄三郎の活躍ぶりを描いた中編「騎馬目明し
庄三郎」のほかに短編6編を収録。いずれも事実に基づいたフィクションである。
目明し庄三郎は、実在の人物である。歴とした名古屋町奉行所の役人である。目明しという
と、同心が私的に雇ったように思われがちだが、そうした固定観念を破るのも書いた目的の
一つである。目明しもいろいろである。
題材は、朝日重章が付けた日記「鸚鵡籠中記」から採った。馬に乗って探索する場面がある
ので、騎馬目明しと命名した。庄三郎は天野孫作、蜷川善左衛門の両町奉行に取り立てられ、
給与も得ていたことから、元は武士と考た。
白艪舎が募集した「事実を基にした小説」に応募した作品を大幅に手直しした。従って、
著名な人物は不在だが、歴史小説である。外の短編5編は、元禄時代の名古屋で起こった
事件を基に小説化したものである。
四六判、ハードカバー、229ページ。1600円。白艪舎発行。