夏の花木・草花

クサギ

 クマツヅラ科の落葉小高木。葉はトランプのスペード形で、向かい合って付く。花は5弁で、少しピンクを 帯びた白色で、枝の先にたくさん付ける。おしべ、めしべが花びらから長く突き出している。

   写真は2002年8月21日、愛知県瀬戸市の定光寺で写す。葉や枝に臭気があることからクサギ(臭木)と 名づけられたようだ。臭気は確認していない。実は球形で、青色に熟し、染料になるという。

 2003年6月7日の同県春日井市少年自然の家自然観察会で、クサギの葉をもんで、においをかいだ。 青臭い感じはしたが、特に臭いとは感じなかった。鼻が悪いのかもしれないが…。

 そこで考えた。クザギの葉は、草のように柔らかく食べられる。草に似た青臭いにおいがする。それで、 草のような木だからクサギと名付けられたのではないか。自画自賛の私説だが、一考の価値はある。

 『精進料理の極意』(梶浦逸外著)によると、正眼寺(岐阜県美濃加茂市)にクサギの葉を利用した 「常山」という御馳走がある。開山の関山国師が調理法を発見した、という。常山とはクサギの異名。

 「常山」の作り方は、春蚕の三眠のころ(梅雨期)、クサギの葉をむしって釜でゆでる。 ゆでた葉を水にさらし、毎日水を何回も替えて、1週間ぐらい水にさらすと臭気が消える。

 好天の日を選んで水から揚げて絞り、1日で干しあげる。雨に降られたら、また水に戻し、 必ず1日で干しあげる。必要に応じて水で戻し、油で炒って、大豆と一緒に煮る。

 梶浦師は、同書の中で「世間の嫌われものの臭木の葉を、関山国師は成仏させてやるために、 おいしく食べる方法を発見し、村人に教えられた」と書いている。 ■実
(2002年9月1日作成)(10月24日改)(2003年2月11日改)(6月10日改)


©2002−2003 Yuusuke Niinomi

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