北海道南部から九州まで全国的に自生する落葉小高木。山地に多い、と図鑑にある。
樹勢が強いため、日当たりのいい土地でも、半分日陰の土地でも育ち、茶人が好むという。
写真は、2003年2月14日、愛知県春日井市の弥勒の森で写す。自然歩道沿いに花が咲いているのを
一本だけ見つけた。どういうわけか、まだ葉が残っていた。自生か、植栽されたものか、私には分からない。
周辺ではほかに見かけなかったので、それほど多くある木ではなさそう。早春を彩る花で、
葉が出る脇に固まってつく黄色で、細くねじれた花は、遠目には冴えない。近づいて見ると、なかなか
味のある花である。
語源については「早春、他の花に先駆けてまず咲く」ことから名づけられた。あるいは満作の意味で、
豊作同様、穀物が豊かに実ることをいい、この木が枝いっぱいに花を付ける、ことからという。
この語源説に真っ向から対立するのが、植物学者の中村浩さん。皮ばかりで実がないモミである
シイナから出た、とする。中村さんは静岡県の磐田地方にシイナバナという方言を見つけたことから自論を
展開する。
アシをヨシと呼び、ナシをアリの実という忌み言葉を反対語で呼ぶ“実名敬避”に着目。古くシイナ、
シイナバナと呼ばれていたのが、反対語のマンサク(満作)と改められた、という見解を出している。
私もこの説に賛同する。
(2003年2月14日作成)