江戸時代(宝永年間)、春日井、小牧、犬山一帯で狼が大暴れ、2年間で人が食い殺された。尾張藩は、御林奉行を中心に狼退治に乗り出す。美濃・板取村(現在の岐阜県関市)からも猟師を呼び寄せ、結局、大暴れをした狼をはじめ4匹の狼が射殺される。しかし、狼が暴れたのは、人間が狼の子や連れ合いを殺したのが発端。むしろ、加害者は人間だったといえるような事件である。
同書には、このほか、「泥棒を生業にしていた兄弟が、盗みに入った先で殺された」「飲みに行った友人同士が帰りに泥酔状態で斬り合った」「仕事は出来るが、けちなため妻と娘に逃げられた」「竜泉寺開帳の帰り、庄内川で船が転覆、母親とその子ら3人が水死。そこは33年前の開帳の際、母親の兄が水死した場所だった」などの事件・事故29編、合わせて30編が収録されている。
B6判、128頁。新家猷佑著。2005年5月25日、新風舎刊。定価1200円。
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