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Artist

JOAO GILBERTO

Title

THE LEGENDARY JOAO GILBERTO VOL.1


legendary1
Japanese Title ジョアン・ジルベルトの伝説
Date 1958 - 1961
Label WORLD PACIFIC/BLUE NOTE no suffix(EP)
CD Release 1997
Rating ★★★
Availability ◆◆◆


Review

 ボサノヴァ第1号といわれる「想いあふれて」'CHEGA DE SAUDADE'を含むジョアン・ジルベルトが58年から61年にかけてブラジル、オデオンにレコーディングした3枚のアルバムをCD復刻したのが"THE LEGENDARY JOAO GILBERTO"。わたしが買った日本盤は何年も前にだれかに貸したっきりどっかへいってしまった。そうこうするうちにジルベルト本人の意向により廃盤となり、いまやオークションで数万円で取り引きされる超レア盤になってしまった。特別思い入れがあるアルバムではなかったのだけれど、時価数万円と聞いて、急に惜しくなりなんとか手に入れたのがこのスペイン盤。オリジナルのワールド・パシフィック盤はジャケットがたしかペパーミント・グリーンだったと記憶しているが、ジャズの名門レーベル、ブルーノート・コレクションの一環として発売されたこのスペイン盤は見てのとおりブルー。ワールド・パシフィック盤では38曲入りだったのが、ここではVOL.1とVOL.2に分けてそれぞれ19曲入り。だが、正規盤だし値段もクソみたいに安かった(1枚5.95ユーロ)。
 
 じつに7、8年ぶりに聴いてみた感想はというと、以前とまったく変わらず。ひとこと「飽きる!」。思えば、1枚38曲入りのときは最後までとおして聴いたことがあまりなかった。そういう意味では、わたしみたいに忍耐力がない人間には2枚に分かれているほうが都合がよかった。コンゴの音楽を論じたときも似たようなことを書いたが、ブラジル音楽をこよなく愛するひとたちと、「ワールド・ミュージック」のひとつとしてブラジル音楽を聴くわたしとのあいだには「ふかくて暗い河がある」(by 野坂昭如)。カルトーラのすばらしさは認めよう。しかし、ジルベルト、ジョビン、カエターノ・ヴェローゾにいたっては「オメエ、なにをエエかっこうしとるんじゃい!」の世界である。この「エエかっこう」がエエんだろうが、わたしならここに勝新を乱入させる。
 
 なんでもジルベルトのギター・プレイには、ボサノヴァが排除したアフロ系サンバのポリリズムと複雑なシンコペーションが内在しているのだそうだが、不勉強なわたしには小野リサとのちがいさえわからない。第一、この女性的で繊細な声が気にくわん。ボサノヴァ・ファンのみなみなさまよ。なぜにこの音楽が魅力なのか、なにとぞ教えてくだされ。


(5.27.03)



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by Tatsushi Tsukahara