World > Africa > Guinea | ||||||||||||||||
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VARIOUS ARTISTS |
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Title | ||||||||||||||||
DISCOTHEQUE 73 |
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Review |
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シリーズ全7枚中、あえて1枚を選べというなら、まずオススメしたいのが本盤。このシリーズは、メタカンパニーが国内配給(帯を付けただけ)しているので入手は比較的容易なのだが、レコード店の在庫リストを見るとなぜか本盤だけが抜けている。それぐらい人気があるということなのだろう。だから、わたしは直輸入盤で手に入れた。5組全6曲。 なによりもベンベヤ・ジャズの2曲が出色。'SUPER TENTEMBA'は、71年のコナクリ人民公会堂でのライブ(BOLIBANA 42024-2)でもオープニングに演奏されたかれらの代表曲。そのときの倍近い15分の演奏時間にもかかわらず、サウンドにグッと締まりが出て、長さをまったく感じさせない。トランペット、テナーサックス、ギターと続くソロはいずれものびやかで力づよく、デンバ・カマラのヴォーカルも最高に熱い。曲の後半はカマラの即興的なヴォーカルで演奏をグイグイと引っぱていく。かっこよすぎて吐き気を催すほど。歴史的名演といってもいいぐらい。ただ、取って付けたような喚声が時折りはいる擬似ライブ仕立てにはちょっと興ざめ。 ゆったりしたノリの'MAMI WATA'は、曲の構成がシンプルなぶんだけ、カマラのアーシーでイマジネイティブなヴォーカルを心ゆくまで堪能できる。アフリカで一番好きなヴォーカルはと問われれば、わたしは迷うことなくデンバ・カマラの名を挙げたい。いうまでもないがセク・ジャバテの緩急自在のギター・プレイも文句のつけようがない。このすごさがわからないようであれば、ギニアの音楽に縁はなかったとあきらめたほうがよい。 ホロヤ・バンドのヒット曲'WERE WERE'は、ダカール・サウンドから発売されている唯一の単独アルバムにも収録されていた軽快なギニアン・ルンバ。一点の翳りもないギターとソプラノ・サックスのソロがバンドの陽気な体質をよくあらわしている。リーダーのメトゥーラ・トラオレがサックス・プレイヤーだったことによるのか、ホーン・アンサンブルのバランスがいい。 ホロヤ・バンドとともに本シリーズ初お目見えの新人バンドがシュペール・ボワロ・バンド。サウンドの要は、ワスルを思わせるブッキラボウな女性ヴォーカルと背後で滔々と流れるハモンド・オルガン。内容はさほど悪くないが、いかんせんその他のラインナップが強力すぎた。 南ア出身の女性歌手ミリアム・マケーバは、59年のミュージカル"KING KONG"の大成功をきっかけにアメリカ合衆国へ活動拠点を移すと、67年には'PATA PATA'を大ヒットさせて世界的スターの座をつかんだ。ところが、急進的な黒人運動家、ストークリー・カーマイケルとの結婚がもとで合衆国で音楽活動をつづけていくのがむずかしい状況に陥った。そんな彼女に手をさしのべたのが、ギニア大統領セク・トゥーレであった。 ギニア滞在中、ミリアムは元バラダンのメンバーたちからなるギニア・クインテットをしたがえてSYLIPHONEにアルバムを残している。'MALOUYAME'は、ポップでハイセンスなミリアムのイメージからは想像もつかない伝統色の濃い内容。コラと東アフリカ、ザンジバルのターラブを思わせるストリングスが印象的なこの曲は、おそらくギニアの伝統音楽を題材にしたのだろう。コブシを効かせて悠揚と歌うミリアムもなかなか堂に入ったもの。 ライヴァルのバラ・オノボギが自分のバンド、バラダンの主要メンバーをミリアム・マケーバに引き抜かれて活動休止状態に陥っていたのを尻目に、ベテラン、ケレチギ率いるタンブリーニは絶好調。 ラテン色濃厚なスタイルが信条のケレチギだったが、ここでは後輩ベンベヤ・ジャズから影響されたタイトでスピーディなギニアン・ポップを展開。気合いの入ったヴォーカルは、あきらかにデンバ・カマラのマネだし、ハモンド・オルガンやギターのソロはブルース・ロック的な感覚にあふれている。また、アルト・サックスのソロにはアラブっぽいフレーズもちらほらして、全体にものすごく熱い演奏。こんなにモダンでファンキーなケレチギははじめて聴いた。 このように本盤は、ベンベヤ・ジャズを頂点として新旧世代が入り乱れせめぎ合うことで、新しい要素と古い要素とが絶妙にブレンドされた刺激的な内容に仕上がったといえるだろう。この時代のギニア・ポピュラー音楽の質の高さを物語ってあまりある傑作。 |
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(5.19.03) |
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