World > Africa > Senegal | ||||||||||||||||
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Artist | ||||||||||||||||
ETOILE 2000 |
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Title | ||||||||||||||||
ETOILE 2000 |
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Review |
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ダカール・サウンドDAKAR SOUNDは、オランダに拠点を構えるアフリカ専門のレーベル。レーベル名が示すとおり、なかでも、70年代から80年前半にかけて、ラテン音楽一辺倒から独自のンバラ・ポップを花開かせていくセネガルのポップ・シーンを記録した音源の復刻に力を注いでいる。1993年にレーベル発足第1弾としてリリースされた本盤は、70年代、自動車やラジカセのディーラーをしていたマス・ジオカーネがセネガルの若い才能を発掘しようと立ち上げたレーベル、TOUBA AUTO K7の音源からの復刻。 TOUBA AUTO K7は、若きユッスー・ンドゥールがリード・シンガーをつとめていたエトワール・ドゥ・ダカール(現在のシュペール・エトワールの前身)の録音を多数残したことで知られる。79年から82年にかけて記録されたこれらの音源は、イギリスのSTERN'Sから、現在まで4集にわたってCD化され、国内では、3集までがヴァケーションから配給されている(持っていないけど)。 エトワール2000は、ジオカーネの求めに応じて、エトワール・ドゥ・ダカールから、ヴォーカルのエル・ハジ・ファイとエリック・ムバッケ・ンデイ、ギターのバドゥ・ンデイが参加して結成されたバンド。 ライナーノーツによると、ジオカーネが所有するガレージでかれらがリハーサルしているところへ、テープデッキを持参して1発録りしたのが、1曲目の'BOUBOU N'GARY'だそうだ。翌日、ジオカーネはこのテープをセネガル国営ラジオ局へ送った。グループ名もそのさいジオカーネが命名したもので、いってみれば、ジャム・セッションのつもりが、本人たちの知らぬまに正規なバンドになっていたというのが真相だろうか。 このような経緯からか、演奏内容は基本的にはエトワール・ドゥ・ダカール直系のハイ・テンポなンバラだが、かなりラフでワイルドな仕上がりになっている。録音バランスもよくない。 聴きはじめのころは、もやのかかったような不自然なエコーが立ちこめるなか、エル・ハジ・ファイの、ユッスーと同系統のキンキンしたハイ・トーン・ヴォイスが耳ざわりだし、演奏者たちもみんな好き勝手なことをやって、まとまりが感じられず、好きにはなれなかった。だが、同時期の他のバンドの演奏を聴く機会が増えてくるにしたがって、エトワール2000が抜きんでて個性的でラディカルなサウンドをクリエイトしていたことを知った。 エトワール2000のよさが知るには、まず、ンバラは軽やかで躍動感あふれる健康的なビートという先入観は捨てたほうがよい。 タマやサバールほかのパーカッション隊は、ドラム・キットがないにもかかわらず、マシンガンのようにヘヴィで、謙虚さのかけらもない圧倒的なビートを生みだしている。ここでのタマは、トーキング・ドラムというより、“シャウティング”・ドラムといったほうがふさわしい。サックスは、アフリカのプレイヤーに多いビブラートを用いないストレートなプレイで、目立たないがひとつひとつのフレーズがなかなか気が利いている。 しかし、最大の聴きどころは、なんといってもバドゥ・ンデイのファズがたっぷりとかかったリード・ギターの妙味である。かれの魔手は、ヴォーカル・パートであろうが、他人のソロ・パートであろうが、容赦なく覆いかぶさってきてサイケデリックでクレイジーな世界に染め抜いていく。 3曲目の'EL CARRETERO'は、すこし趣が変わってラテン色の濃い演奏が展開されるが、ここでもバドゥ・ンデイはスペーシーなギター・リフを執拗に繰り返し、パンキッシュなパーカッション隊と共謀して、ラテン系音楽特有のセンティメントを台なしにしてしまう暴挙に出る(ホメ言葉です)。 くれぐれも疲れているときに聴くのだけはよそう。 |
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(2.19.02) |
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