World > Latin America > Caribe > Cuba | ||||||||||||||||
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Artist | ||||||||||||||||
BOLA DE NIEVE |
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Title | ||||||||||||||||
BOLA DE NIEVE |
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Review |
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スペイン語で「雪のボール」を意味するけったいな芸名を持つボラ・デ・ニエベは、キューバ音楽と聞いてふつうわたしたちがイメージするソンやルンバやマンボとは異質な“カンシォーン”と呼ばれるタイプの音楽を、おもにピアノの弾き語りでおこなったユニークな人物。もっともカンシォーンというのは「あえていえば」の話であって、ボラ・デ・ニエベの音楽はボラ・デ・ニエベの音楽というほかない。 ヨーロッパのポピュラー音楽にはうといのでいい加減なことはいえないが、はじめてボラの歌と演奏を聴いたとき「シャンソンみたいだな」と感じた。要は「失敗した」と思ったのである。 だが、中村とうようさんがもっとも好きなラテンの歌手に挙げていたぐらいだから、「このよさがわからんようじゃあ、キューバ音楽通とはいえまい」などと自分にいい聞かせながら、無理して聴き続けた。この間、最高傑作とされるモンティーリャ盤'CON SU PIANO'(MONTILLA/ORFEON CDL-13094(Mexico))と、60年録音のアレイート音源を日本独自に編集した『いつまでも…』(DISCO CARAMBA CRACD-203(JP))の2枚を手に入れた。でも、やっぱりいまひとつなじめなかった。なのに、なぜか今夜のようにふっと聴きたくなるときがある。ふしぎな魅力を持った音楽だ。 かつて劇団「黒テント」の俳優、斉藤晴彦がクラシックのメロディを早口の日本語にのせて歌って話題になったことがあったが、ボラの歌い方はそれに似ているような気がする。クラシック的な格調高さと民衆的な下世話さとが共存している違和感とも快感ともつかぬ感覚がそうなのである。 そういえば、ボラが好んでとりあげる楽曲には、エリセオ・グレネー、ゴンサーロ・ロイグ、ジルベルト・バルデースなど白人作曲家は、“サルスェーラ”と呼ばれるスペイン風オペレッタの音楽を多く書いている。かれら白人作曲家たちが劇場向けに黒人の伝統を誇張解釈した偽アフロ音楽には、当然、演劇的なワザとらしさがつきまとうわけで、この点にこそボラと斉藤との共通点が見出されるのではないだろうか。 |
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(4.30.03) |
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