World > Latin America > Caribe > Cuba | ||||||||||||||||
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Artist | ||||||||||||||||
MIGUELITO CUNI |
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Title | ||||||||||||||||
Y EL CONJUNTO CHAPPOTTIN CON SUS ESTRELLAS |
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Review |
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キューバは数えきれないほど多くの名歌手を輩出しているが、いちばんのお気に入りをあえて挙げるならミゲリート・クニーということになろうか。ソン・モントゥーノやグァグァンコーといった黒っぽいファンキーな曲を歌わせれば、おそらくクニーの右に出る者はいまい。キューバ最高のヴォーカリストのひとりベニー・モレーのソン・モントゥーノもスゴイけれども、ゴージャスなモレーにたいし、クニーのそれにはもっとストリート感覚がある。 ところで、黒人系のフォークロアであったグァグァンコーをポピュラー音楽に仕立てたのはアルセニオ・ロドリゲスであるが、それを定着させたのはクニーとその盟友フェリックス・チャポティーンの功績である。グァグァンコーとは、そのままクニーとチャポティーンといってもいいすぎでないぐらい。クニーとチャポティーンの音楽にはアルセニオにはない底抜けの陽気さがあった。クニーのちょっとトボけた飄々とした味はまさにグァグァンコーにうってつけ。 また、ベニー・モレーやミゲリート・バルデースがそうであったように、いい歌い手は決まってボレーロのようなバラード調の曲を歌わせても超一流。われらがクニーもそのひとり。本盤でもその実力をいかんなく発揮。じつはこのアルバムが、クニーとチャポティーンのコンビによるほかのアルバムときわだっているのは、収録曲にボレーロが多いことである。 スペイン・ヴァージン傘下のレーベル、ソノーラ・クバーナは、キューバの国営レーベル、エグレムに保存されているマスター・テープをもとに復刻している。そのため、59年のキューバ革命以降にレコーディングされたものが中心になっている。 本盤は、前半の12曲が65年、後半の6曲が13年後の78年の録音である。以前に日本のテイクオフから出ていた『フェリックス・チャポティーン&ミゲリート・クニー』(テイクオフ TKF-CD-12)との重複も何曲かある。テイクオフ盤も悪い出来ではないが、致命的なのはボレーロが選ばれていないところ。そのため、全体の流れが単調に感じられてしまう。この点、本盤は、前述したように、ソン・モントゥーノやグァグァンコー系のアップ・テンポの曲とボレーロ系のしっとりした曲とがほぼ均等に配置されているためメリハリが感じられる。 65年というと、チャポティーン58歳、クニー45歳。チャポティーンはすでに盛りが過ぎた感があるが、クニーのほうはボレーロを歌うにはもっとも脂ののった時期。ピアノと編曲を担当しているのは、アルセニオ楽団出身のリリー・マルティネス・グリニャンとある。チャノ・ポソなど、偉大なルンベーロたちを讃えたグァグァンコー'GUAGUANCO DE LOS RUMBEROS' での濃厚な演奏、50年代なかばの一時期、クニーが活動を共にしたベニー・モレーに捧げたボレーロ'A BENNY MORE' での熱唱など、文句の付けようのないすばらしい内容。 驚くべきは13年後の78年の録音でも、クニーの声はいっこうに衰えが感じられないことだ。チャポティーンのトランペットはさすがにヘタレてまって見る影もないが、これはご愛敬といったところか。リリー・マルティネスが書いたチャポティーン楽団往年のヒット曲'MI SON, MI SON, MI SON' 「おれのソン、ソン、ソン」や'OYE EL CARBONERO'「炭売り」の再演など、聴きどころもあるが、年のせいか脂が抜けてしまって、音が軽くなってしまっている。とくにサルサから悪影響された軽薄なピアノが許せない。 クニーとチャポティーンは、1年後、エグレムに所属するスター・ミュージシャンが一同に介したエストレージャス・デ・アレイートによる歴史的なデスカルガ(ジャム・セッション)に参加する。老骨にムチ打ちながら。 |
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(8.10.02) |
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