World > Latin America > Caribe > Dominica Rep. | ||||||||||||||||
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Artist | ||||||||||||||||
WILFRIDO VARGAS |
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Title | ||||||||||||||||
ANIMATION |
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Review |
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「メレンゲとは身体性である」と考えるひとたちがいる。だとすれば、このアルバムはその対極にあり、もっともメレンゲ的でないということになる。つまり「実験室のように冷たい感触」だと。 わたしはテクノロジーと身体性は両立しうると思うし、このアルバムにも生々しい身体性を感じる。また、旬とみればいいも悪いもすかさず飛びついてしまうかれの無節操は、メレンゲをもっともメレンゲたらしめている特性であると思っている。つまり、メレンゲからハミ出していくことも、かれがメレンゲ的であることの証明なのだ。 メレンゲではもっとも早い84年の"EL JARDINERO"からシンセサイザーを使うようになったウィルフリードが、テクノロジーを極限までに駆使して仕上げたのが本盤。ここにあるのは「実験室のように冷たい感触」ではなく、ガラクタを寄せ集めて作ったダダイストのコラージュ作品のような不思議な温かみだ。80年代半ばごろにドイツのデア・プランにいたピロレーターが作った'NIPPON SAMBA'のおもちゃ箱をひっくり返したような無国籍的ガジェット・ミュージックを想像してしまった。 冒頭から全速力で全10曲を一気に駆け抜ける爽快感。シンセ、打ちこみ、スクラッチなど、ありとあらゆるテクノロジーをチープに使いまくって、ズーク、サルサ、ソカ、コンパといったカリビアンのおいしいところを食い散らかしながら去っていく無節操なメレンゲ野郎。メレンゲの醍醐味のひとつといえたスリリングなサックスのアンサンブルが後退しているのは残念だが、全編にアコーディオンが効果的に使われ、最先端を装いながら古い部分にもしっかり目を向けているウィルフリードの抜け目のなさよ。 難点をいえば、サウンドづくりに凝りすぎたぶん、ヴォーカルが少しかすんでしまったことだろうか。 最後にいい忘れたが、本盤は89年度グラミー賞にノミネートされた。 |
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(8.25.02) |
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