2007年春 なごや環境大学共育講座 B-32
「楽しく」「わかりやすく」「面白く」地球環境の将来を語り合う夕べ
第6回 技術市民からの発信 ―流域環境修復モノサシ技術紹介―
主催 : (社)日本技術士会中部支部 愛知県技術士会
日時 : 2007年9月19日(水) 18:30〜20:00
場所 : なごやボランティア・NPOセンター 12階集会室
会費 : 500円
講師 : 井上祥一郎 (技術士(森林・上下水道・衛生工学・農業・水産・建設・環境・応用理学部門)
項目 | 内 容 |
本講座のオリエンテーション | 技術者はもっと環境問題について市民と協働するべきだと思っています。その時の留意点は、自分の技術を客観視すること、そうでないと周りの市民が辟易して協働が難しくなります。失敗は成功の母と言われるように、技術情報は失敗も含めて公にすることが環境改善に繋がると思っています。それらをモノサシ技術と定義して、その提供者を技術市民と呼ぶことにしました。技術市民を名乗る私の、山、里、海でのモノサシ技術をご紹介します。 |
山からは人工林問題−私が選んだ木だらけの家 | スギ、ヒノキの人工林の中が真っ暗という状況が各地に見られ、そこでは本来地中に張る根が露出しています。本数にして半分から2/3に減らしてやると天が覗き、太陽が差し込んで草や潅木が芽吹き、地表を覆って表土を押さえ水を貯め浸透しやすくします。切った木の使い道の確保が大切です。ここでは堀尾式柱版壁床工法をご紹介します。25坪の家で10cm角長さ3m材を1000から1500本使用する間伐材超多用住宅です。 |
里からは水循環問題−耕さない田んぼを夢見て | 熊本市では上流の田んぼの減反で地下水の減少に悩み、また、代掻き・田植え時期には田んぼから泥水が流れ出ることが珍しくなくなりました。田んぼは下流域に大きな影響を与えます。これまで田んぼは耕すものと教えられてきましたが、もっと大きな効果が耕さないことで得られることが分かってきました。 美味しいお米が、1反当り8.5〜9俵が得られています。 |
海からはヘドロ・青潮問題−河口・内湾の幸を取り戻す手立ては温故知新的技術で | 青潮は海の幸を激減させる毒素です。大元は生活が豊かになり、何もかも海に流すようになって起きた富栄養化です。特に水底の浚渫跡や航路・泊地といった地先の人工的な深場に有機物が落ち込んで、そこで貧酸素化が進み、更に硫酸イオンを使う状態になると青潮の基になる硫化水素が発生します。稲作の秋落ち現象に似ています。秋落ちが起きるとお米が穫れなくなるので研究が進みました。この研究成果が今、役に立ちます。 |