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2008年春 なごや環境大学共育講座  B-02

「楽しく」「わかりやすく」「面白く」地球環境の将来を語り合う夕べ



第1回 伊勢湾近辺の水環境の現状及び問題点 ―水質保全のため一般生活者の皆様にできること―



主催 : (社)日本技術士会中部支部 愛知県技術士会

日時 : 2008年4月16日(水) 18:30〜20:00

場所 : なごやボランティア・NPOセンター 12階集会室

会費 : 500円

講師 : 野々部顕治 (技術士(衛生工学部門))


項目 内  容
講座全体のオリエンテーション まずは、"技術士"の紹介をします。そして、6回に渡るこの講座開設のねらいが「一般市民の方々が我々技術士と一緒に地球環境の将来を語り合い理解を深めること」であることを説明します。
伊勢湾近辺の水質の現状は? かつて水質汚濁と言えば水俣病やイタイイタイ病に代表されるような重金属汚染が主体でした。しかし最近ではBOD、CODといった有機汚れ、さらには窒素、りんといった栄養塩類が問題となっています。特に伊勢湾などのような人工集中の著しい内湾部(閉鎖性水域)では、一般家庭からの生活排水に含まれる窒素やりんの流入が多く、環境基準達成率も低い状況です。
何が問題なの? 窒素やりんの流入が多いことによる水質汚濁により、赤潮や苦潮などによる漁業被害も発生します。また生物多様性も悪化します。BOD、CODに比べ、窒素とりんの除去にはひと回り高度な技術が要求されますが、それだけの技術を備えた浄化槽がまだ十分に普及していません。また下水道に接続されていない住宅などがまだ多く存在することも問題です。全体として2割近くの生活排水が処理されていないとのが現状です。
今後の見通しは? 下水道整備やその普及率向上、さらには窒素やりん除去に対応した高度処理合併浄化槽の普及などを進めていますが、その進捗は決して十分ではない状況です。しかも伊勢湾は汚濁物質が蓄積し易い閉鎖性水域であることを考慮すると、水質改善効果が十分見られるようになるのは、まだまだ先になりそうです。
一般生活者の皆様にできることは? 普段の生活の中で気をつけたいことはいくつかあります。食器を洗う前に汚れをよく拭き取ることや、食品を買いすぎたり作りすぎたりしないこと。また洗剤や石けん選びについてもよく考えて商品を選ぶことが大切です。こういった水環境の情報には、常に注意を払うようにしたいものです。