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2008年春 なごや環境大学共育講座  B-02

「楽しく」「わかりやすく」「面白く」地球環境の将来を語り合う夕べ



第4回 -さびのお話- さびの防止は環境保全、省エネの原点



主催 : (社)日本技術士会中部支部 愛知県技術士会

日時 : 2008年7月16日(水) 18:30〜20:00

場所 : なごやボランティア・NPOセンター 12階集会室

会費 : 500円

講師 : 濱井升平 (技術士(金属部門)、工学博士)


項目 内  容
さびとは? 金属を採取する"鉱石"は主として酸化物、硫化物であり、これを"精錬"と言う還元技術によって「金属」を取り出している。金属が"さびる"のは、使用中に空気や水分等に触れて"酸化"し「もと」の姿に戻ろうとする言わば「自然現象」(自然に返る)である。
さびの功罪 さびの功罪は金属(銅、鉄)器文化発祥(約紀元前6,000年)以来、今日まで続いている。昨年の木曽川大橋の橋桁が破損したのも、コンクリート製の電柱の倒壊も、強度部材の鉄筋などが"さび"により減肉したため強度不足を生じたものである。でも、お寺の銅葺き屋根の緑色(緑青)や銅製品の赤銅色も"さび"であり、鉄瓶などの"茶色や黒色"は我々の生活に潤いをもたらす"さび"である。この"さび"は"寂び"に通じるものであろう。
さびの被害 さびによる被害の正確なデータは無いが現代では何兆円/年とも言われている。我々が日常使用している或いは世話になっているほとんど全て、船舶、航空機、鉄道、道路、自動車、住宅、電気製品、エレクトロニクス部品類は勿論、包丁、はさみ等に至るまで金属が使用されているものには色々な種類の"さび"が生じて、これがもとで使用に耐えなくなっているものが多い。また人身事故を引き起こす場合もある。つまり直接的・間接的に「さびの被害」を被っているのである。
さびとの戦い → 防食技術 (表面処理技術) 人類の歴史は"さび"との戦いである。さびによる被害は甚大であるが、さびを防ぐ方法 −防食技術− は日進月歩であるが、未だ完全なものはない。基本的には、(1)金属の表面が空気や水分に触れないように覆うこと、あるいは、(2)金属が触れ合うものとの間の電位差を"ゼロ"にすることである。この方法として、@塗装、Aめっき、B溶射、Cコ−ティング、D蒸着、E電気防食、などの技術が開発され実用化されている。でも、まだまだ「さびとの戦い」は続く ・・・ そして環境保全・省エネの原点へ!