2010年春 なごや環境大学共育講座 B-02
「楽しく」「わかりやすく」「面白く」地球環境の将来を語り合う夕べ
第1回 「昭和48年、全国のソーダ企業に波及した水銀公害の実態 <或る工場の例>」
主催 : (社)日本技術士会中部支部 愛知県技術士会
日時 : 2010年4月21日(水) 18:30〜20:00
場所 : なごやボランティア・NPOセンター 12階集会室
会費 : 500円
講師 : 藤野弘二 (技術士(化学部門))
項目 | 内 容 |
概要 | 昭和48年6月28日、国内のマスコミ全紙は国内の水銀汚染水域を発表しました。その中に四国坂出湾も載っていました。私は工場長でしたので、先ず坂出市役所に押し掛けている漁民に対応しました。その後約1年間瀬戸内海の20数漁協と補償交渉を行い、3月後にほぼ解決し、完全に解決するには1年かかりました。 |
真相 | そのため漁民の方や料亭及び一般市民には迷惑をかけましたが、その後真相がわかりました。この原因は県が4年ごとに実施している水銀の測定データーのうち前年実施したデーターを本省に送っていなかったため、4年前のデーターが悪く、汚染水域という刻印を押されたのです。 |
成り行き | あわててその日夜行列車で上京、本省に説明しましたが、1度マスコミに出ると訂正しても一般には伝わらず、大きな問題になりました。そのため、県は無害であることを証明すべく再度坂出湾の魚の分析値を発表しましたが、マスコミの記者が無知のため、坂出湾の全魚種に水銀ありと大きく報道し県の意図は逆効果になりました。 |
結論 | 結論としては全く問題ないものが、行政のミスとマスコミの無知よって公害問題となったわけです。それを解決したこちらは大変な苦労をさせられ、社会の矛盾を痛感しました。ただ坂出市は市長が終始誠意をもって対応して頂き、大変大きな支えになりました。私は本件解決の責任者として、大変貴重な経験をしました。途中の漁協との交渉は短時間ではご説明できませんが、要点を掴んでお話しします。 |