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2011年2月16日(水)に開催された「2010年度後期第5回 なごや環境大学愛知県技術士会講座」の報告

 以下の通り、なごや環境大学の愛知県技術士会講座"「楽しく」「わかりやすく」「面白く」地球環境の将来を語り合う夕べ"の2010年度後期第5回目が開催されました。

 ・日時 : 2011年2月16日(水) 18:30〜20:00
 ・場所 : なごやボランティア・NPOセンター 12階集会室
 ・講師 : 岡井政彦 (技術士(電気電子部門))
 ・題目 : 鉄道における省エネルギー技術


 受講者数24名と、多くの方々においでいただきました。受講された皆様、ありがとうございました。この講座では、主に次の3点について話題を提供しました。

1. 電気鉄道の概要と輸送エネルギー
 鉄道のうち、電気鉄道を対象に、その仕組みについて概要を紹介し、合わせて東海道新幹線におけるデータ等を元に、ここ20年ほどの間の電車の省エネ効果について経年変化のグラフなども交えてお話しした。日本の鉄道はJR、民鉄、地下鉄合わせその60%程度が電気鉄道によって運営されているが、特に都市部の地下鉄、近郊間を結ぶ民鉄の鉄道網と輸送量を考慮すると、恐らく鉄道輸送量全体の8〜9割分が、電気を使った鉄道で運ばれていると考えてよい。

2. CO2削減に向けて
 鉄道による輸送(旅客、貨物)は、運輸部門全体が出すCO2の内4%にも達しない。その多くは自動車によるものが大きい。鉄道が運ぶ輸送量を加味して、単位輸送(人キロ)当りのCO2で比較しても、鉄道は運輸部門全体の5%であり、80%が自動車となる。このことから、輸送システムを工夫することで、自動車の移動を低減できれば、運輸部門全体のCO2低減はもとより、合わせて国全体のエネルギー消費を抑えることが可能となる。

3.電気鉄道の省エネ化を進めているもの
 車両のモータ制御にインバータを組み込んだことが一番影響が大きい。また新幹線電車では、インバータ電車に加えて車両自体の軽量化を図ったことも省エネにつながっている。

 最後に質問、討論の時間にいろいろな提案がありました。
 ●市電だとかトロリバスなどによるエネルギー効率の良い交通機関を育成すべきでないか。
 ●スマートグリッドエネルギーを鉄道でも利用できないか。

 日本にとって、原子力も石油やLNGも99%が輸入でもたらされた貴重なものです。限りあるこれらのエネルギーを少しでも効率よく使うことが、当日本のエネルギー関係の産業に携わっている技術者にとっては大事なことではないでしょうか? 今後も交通網や輸送手段のあり方も含めて、皆様と新しい提案を出せたらと思います。参加された方々、貴重なご意見をありがとうございました。



 次回(2010年度後期第6回)は、2011年3月16日(水)の18時30分からです。技術士(機械・総合技術監理部門)の小島晋氏による講演「スマートグリッドとは何か?」です。皆様ぜひご参加いただきますようお願い申し上げます。

   (文責 岡井政彦)