2012年9月19日(水)に開催された「2012年度前期第6回 なごや環境大学愛知県技術士会講座」の報告 | ||
下記の要領で、なごや環境大学の愛知県技術士会講座"「楽しく」「わかりやすく」「面白く」地球環境の将来を語り合う夕べ"の2012年度前期第6回目が開催されました。 ・日時 : 2012年9月19日(水) 18:30〜20:00 ・場所 : 花車ビル北館6階 会議室 ・講師 : 長谷川欽一 (技術士(経営工学部門)) ・題目 : 「天災と気候変動及び環境との関係 ●受講者 21名 (アンケート回答数) ●内容 天災という言葉の由来や、気候変動のもたらす自然災害の種類と今までの被害状況及び対策を、環境への影響や先人の知恵を交えて解説しました。 1.天災という言葉の由来 天災(てんさい)という言葉は自然災害の意味で使われていますが、言葉の由来は古典落語からきた言葉で、落語の落ちを「面白く」紹介しました。 また、古くは鴨長明、日蓮や新井白石が記述した江戸から見た富士山の噴火の様子や、和辻哲郎、夏目漱石と寺田寅彦、宮澤賢治、幸田露伴の娘の幸田文から4代続く作家の綴った自然災害の文芸作品などを紹介しました。 2.気候変動のもたらす自然災害の種類 自然災害(しぜんさいがい、natural disaster)とは、危機的な自然現象(natural hazard, 例えば気象、火山噴火、地震、地滑り)によって、人命や人の社会的活動に被害が生じる現象を言います。日本の法令上では「自然災害」は「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害」と定義されています(被災者生活再建支援法2条1号)。 単なる自然現象が人的被害を伴う「自然災害」に発展したり、災害が拡大したりするには、現地の社会条件が大きな影響を及ぼすことを解説しました。また、気候変動のもたらす自然災害の種類について紹介しました。 3.環境への影響 気候変動のもたらす自然災害は環境へも大きな影響を及ぼしており、その事例を交えて紹介しました。( エルニーニョ/ラニーニャやダイポールモード現象など) 4.先人の知恵と防災・減災について 津波てんでんこの「てんでんこ」は、「てんでんばらばらに」の意。もともとは自分だけでも高台に逃げろという考え方を示しますが、現在の三陸地方では自分の命は自分の責任で守れという教訓として使われています。 明治三陸津波から2011年で115年、石碑に残る戒めで「此処(ここ)より下に家を建てるな」と刻まれた同地区の石碑は、今回の東日本大震災でも残っていました。先人の知恵と防災・減災について解説しました。 ●まとめ、感想 天災における科学技術の話を、技術的な専門とは少し角度を変えて、歴史や文芸作品を中心に”過去に起こった事実”を正しく学び認識することが大事であると考え、不得意な分野であえて文学をとりあげて作者と綴られている作品とどのような事実が綴られているかを紹介しました。 特に寺田寅彦は物理学者らしく、過去に起こった自然災害の事実は人々が忘れたころに必ず起きると警鐘を多くの作品の中で記述しています。事実として現在の我々が心がけなければならないことは、天災の歴史は繰り返すという事実を認識して、今どうしたらよいかという減災の心がけが必要であると思われます。今回は不慣れで内容が羅列過ぎたということや、解説の焦点が絞られなかったと反省しておりますが、少しでも防災・減災意識の向上が図れたらと思っております。
次回より2012年度後期になります。引き続き、毎月第3水曜日になごや環境大学愛知県技術士会の講座を開催します。次回(2012年度後期第1回)は2012年10月24日(水)の18時30分から、花車ビル北館6階会議室での開催です。技術士(農業・総合技術監理部門)の跡部昌彦先生による講演「食品のおいしさを科学する」です。皆様ぜひご参加いただきますようお願い申し上げます。 (文責 長谷川欽一) |