2014年9月9日(火)に開催された「2014年度前期第6回 なごや環境大学愛知県技術士会講座」の報告 | ||
下記の要領で、なごや環境大学の愛知県技術士会講座"「楽しく」「わかりやすく」「面白く」地球環境の将来を語り合う夕べ"の2014年度前期第6回目が開催されました。 ・日時 : 2014年9月9日(火) 18:30~20:00 ・場所 : 花車ビル北館6階 会議室 ・講師 : 木村正彦 (技術士(建設部門)) ・題目 : 「日本再生から見た原発論 -『再稼働か廃炉か』よりまず『除染』を」 受講者は29名でした(アンケート回収20名)。受講された皆様、ご参加ありがとうございます。当日は、まだまだ9月になっても暑い中、午後7時に冷房が停止する暑い室内にも拘らず、ご清聴いただいたことに深く感謝申し上げます。また、スタッフの方々の講座開催に対するご支援・ご協力に対して、厚く御礼申し上げます。 今回のテーマは除染と廃炉でした。電力会社勤務33年3か月の経験を踏まえ、福島第一原発の事故から既に約3年半が経過して、未だ今まで住んでいた場所に帰れない人も多く、「除染」が進んでいない状況です。また福島第一5,6号機も「廃炉」が決定となって、我が国も廃炉の原発が11基にもなり、「廃炉」の問題がますます重要な課題です。今回「除染」と「廃炉」について、お話をさせていただきました。 以下に、私が当日取り上げた6つの論点を示します。 1 世界の原子力発電所の現状 2 放射線物質の除染 3 原子力発電所の廃炉 4 原子力発電技術の輸出 5 今後の除染・廃炉技術 以上の論点について、私の現在の福島第一原子力発電所1~4号機(大熊町)周辺の現状を踏まえ、11種類の配布資料を用いて、ご説明いたしました。以下に、上記の各項目についての当日の論点を挙げます。 1 世界の原子力発電所の現状 世界の原子力発電所(2014年1月1日現在)は、稼働中(426基、38,635.6万kw)、建設中(81基、8,398.7万kw)、計画中(97基、10,922.0万kw)、廃炉(159基、6,186.6万kw)です。世界の原子力発電所は、建設中・計画中の原子力発電所の基数・出力も増え、増加している趨勢にあります。我が国だけ、世界の趨勢と全く違った方向です。 2 放射線物質の除染 福島第一原子力発電所1~4号機から出た放射性物質の放射線を食い止めるのがまず「除染」です。産官学民の除染事業は百家争鳴状態で、全く進んでいません。泣くのが被災者の方々では非常に残念です。「故郷に帰れない。帰っても職がない。それでは食っていけない。」 3 原子力発電所の廃炉 もう既に多くの原子力発電所が廃炉(日本の場合:11基、641.9万kw)になっています。それらの原発を安全に終焉に向かわせることが我々技術者の使命です。今は水面下で動き、我が国のお家芸になって欲しいと思います。ドイツは専門の会社を作って廃炉を進めています。 4 原子力発電技術の輸出 原子力発電技術は技術立国である我が国の輸出の大きな柱に十分なり得ます。今回の福島第一原発の事故を契機に、除染・廃炉技術も含め、原子力発電技術で全世界をリードしていってもらいたいと思います。日本ならできます! 5 今後の除染・廃炉技術 除染技術と廃炉技術は表裏一体の技術です。放射性物質の除染技術の進歩が、原子力発電所の廃炉の進捗に大きく影響します。産官学民の技術研究開発体制の構築と継続が非常に大切です。しかし、「官」の役人(キャリア組)が替わり過ぎで、政策が持続・継続できません。
2014年度後期も愛知県技術士会講座"「楽しく」「わかりやすく」「面白く」地球環境の将来を語り合う夕べ"を続けます。次回(2014年度後期第1回)は2014年10月14日(火)の18時30分から、花車ビル北館6階会議室での開催です。奥本忠興氏(技術士(応用理学部門))による講演「自然の叡智に学ぶモノづくり」です。ご参加いただきますようお願い申し上げます。 (文責 木村正彦) |