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2015年6月9日(火)に開催された「2015年度前期第3回 なごや環境大学 日本技術士会中部本部講座」の報告

 下記の要領で、なごや環境大学の日本技術士会中部本部講座"「楽しく」「わかりやすく」「面白く」地球環境の将来を語り合う夕べ"の2015年度前期第3回目が開催されました。

 ・日時 : 2015年6月9日(火) 18:30~20:00
 ・場所 : 花車ビル北館6階 会議室
 ・講師 : 鈴木 朗 (技術士(建設部門))
 ・題目 : 「もったいない精神を復活 林業・農業が観光立国を支える

 受講者は12名でした。受講された皆様、ご参加ありがとうございました。講演概要は以下のようです。
 ①日本は経済大国になったことにより、明治維新以来の大きな国家目標であった「欧米先進国に追い付き追い越す」を達成した。明治維新以来続いてきた中央集権国家はその役割を概ね終えたと言える。東日本大震災維新では「中央集権国家」や「文尊理卑」は間違いなく卒業し、「地方主権国家」や「理尊文尊」を基本とする』と外部発信してきた。
 ②明治維新以来の大きな国家目標が達成されたのだから、日本本来の国家体制に戻る。地方主権国家に戻る。江戸時代こそが日本人のDNA。藩(県)主体の地方主権国家、日本の本来の姿に戻る。農業・林業の復活なくして日本の地方を元気にすることはできない。
 ③基本的な考え方は国土保全と「食糧・エネギーの安全保障」である。外国に頼らず、できるだけ自前で食糧・エネルギーを確保する。国土を有効に活用するために、農地・林地を適切に管理する。従事員を確保して、耕作放棄地をなくし、林地は人工林をサイクルで回す。
 ④戦後復興・高度経済成長を通じて、林業・農業が衰退してきた。「大都市一極集中」、そして地方の衰退によって、高度経済成長という成果を得ることができた。反面、林業・農業が衰退して工業化社会、大量生・大量消費社会になることにより、 「もったいない精神」が見失われてきた。
 ⑤地方主権国家になることにより、林業・農業が復活し、もったいない精神も復活させる。今の状態は国土の多くが死んでいる。これはもったいない。耕作放棄地はもったいない。林業の端材を産業廃棄物にするのはもったいない。端材はバイオマスエネルギー、地元でエネルギーとして使う。地産地消、農業復活。基本は地産地消。顧客相手に自販する、道の駅で観光と協力。「端材」野菜を加工食品として販売する。
 ⑥日本は地方主権国家になるで、日本本来の持ち味を活かすことによって、「観光立国日本」を中心として世界の役に立つ。
 ⑦地方主権国家の主役は県である。構成は県庁所在地などの都市、農業地、林業地、観光地(全ての都道府県に観光財産はある)。地方主権国家・県では、必然的に農業地、林業地、観光地が主役となる。農作物、基本は地産地消。観光地があれば、新鮮な野菜は旅館・ホテルの「売り」にする。林業は端材利用によるバイオマス発電で農・林業地に電力などを供給する。

 発表後の質疑では、岐阜県の方からの「棚田でのイベントで多くの人が楽しんでいた」との紹介や、重機利用の山の管理の問題点に言及するなど、多くの方が発言され、それに対するやりとりが盛り上がったことに満足しています。本当にありがとうございました。




 次回(2015年度前期第4回)の日本技術士会中部本部講座は、2015年7月14日(火)の18時30分から、花車ビル北館6階会議室での開催です。技術士(機械部門)の吉川豊行様による講演「『足尾鉱毒事件』と「『フクシマ』からみる環境保全における課題」になります。ご参加いただきますよう、お願い申し上げます。

   (文責 鈴木朗)