葉っぱ 四季の漢方... ホームに戻る


まえがき

漢方薬、民間薬、食養生などを35年間勉強してきました。
同時に、4人の子供を育てた母親でもあります。
それらの経験から得た、ささやかな知識と知恵が
あなたの悩みを解決する糸口になれたら、嬉しいです。



これらの小話は、名古屋の「生きがいコープ東海」に連載させていただいています文章の一部です。
読みたい項目を、クリックしてください。

■  価値あるものを受け継ぐ
■  自然治癒力を生かす
■  風邪は万病の元
■  食事療法
■  体質改善の意義
■  自分の身体に聞く
■  例えば「のぼせ」
■  母子の健康を守りたい
■  東洋のハーブ  2003年4月
■  医食同源  2003年5月
■  陰と陽  2003年6月


■ 価値あるものを受け継ぐ

健康で長生きしたいと思うのは、すべての人々の願いです。
テレビや雑誌では健康情報が氾濫しています。 健康食品の代名詞のようにいわれるリノール酸も、いま摂りすぎの害が問題になっています。 話題のスギナ、杜仲茶なども、これで何かの病気が治るわけではありません。
また高価な薬膳料理もブームになっていますが、胃腸の弱ったときの おかゆにうめぼし、風邪に葛湯などは立派な薬膳料理です。 あふれる情報に振り回されないようにしたいものです。
漢方薬、民間薬は長い年月に淘汰され、価値あるものが受け継がれてきた祖先の遺産だと思います。

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■ 自然治癒力を生かす

人間には本来、自然治癒力が備わっています。
その力を十分発揮できるよう助けるのが漢方薬だったり、時には断食だったりするのです。 今は飽食の時代と言われ、カロリー過多、栄養過剰に加え 運動不足で糖尿、高脂血症などが急増し成人病の原因と なっています。若い人のコレステロール値は欧米を 追い越してしまったという報告もあります。
肉類、油もの、果物、甘い物を減らすだけで体調が よくなる人もいるのです。

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■ 風邪は万病の元

ひとくちに風邪と言っても様々です。
熱の出る人、出ない人。気管支が弱く痰咳が残る人。 おなかにくるひと、のどにくる人といろいろです。
発熱は意味があります。鼻水、痰咳も病気と闘う力の 現れです。目的を達する前に解熱しては何にもなりません。 解熱し、症状をおさえても本当には治っていないのです。
有名な葛根湯(かっこんとう)は熱のある人に使いますが 冷やす薬ではありません。体表の血行を良くして暖め その結果、発汗して熱が下がるのです。
  ネギ味噌、卵酒の熱いのを飲み、布団をかぶり汗をかくのと 同じ療法です。薬を飲んだら暖かくして休むことが大切です。
葛根湯がないときは葛湯にショウガ汁を入れて試してみてください。

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■ 食事療法

食療法に「身土不二」(しんどふじ) 、「一物全体」(いちもつぜんたい)という言葉があります。 その季節にその土地でできるものをまるごと食べるという意味です。 旬の物が一番です。
穀物もなるべく精白しない物、 大根なら葉も皮も。サンマなら皮も内臓も骨も食べるのが良いのです。
胚芽を取り除き野菜の皮を捨て、ビタミンEや食物繊維が足りないと 高い薬を求めています。
玄米菜食が身体に良いのは、穀物・野菜・海草を主に良くかんで 腹八分目に摂るからです。 白米を玄米に変えただけでは意味がありません。
イワシ、サンマなど新鮮な青身の魚が見直されています。 色の濃い野菜とカルシウムは不足しがちです。 油脂(特に酸化した物)の摂りすぎに要注意です。
なるべく種類多くバランス良く摂りたいものです。

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■ 体質改善の意義

民間薬に比べ漢方薬は、体質や症状に合わせて漢方の 原典にある処方を基本に選び投与されます。
自覚症状が重視され、病名が決まらなくても治療ができます。
また、慢性病の体質改善薬としても使われます。
漢方は体質を陰陽虚実で診断します。 それぞれ温薬、寒薬、補薬、瀉薬が使われます。 ただし、これは相対的な物でまた変化します。
漢方薬が合っていた、最近の2例です。
●47歳の主婦Aさん。 手足がだるく、頭重、肩こり、不眠、生理不順、手のひらの 湿疹があり、イライラして時々カーッと暑くなり汗をかき、 その後、寒くなるなどの症状が2年ほど続いていました。 時々膀胱炎も繰り返していました。 婦人科、皮膚科、泌尿器科、神経科をまわり検査をしても はっきりせず、更年期障害と言われ悩んでいました。
私の店で、漢方薬を続け、いま2ヶ月になりますが 自覚症状が改善されたのでしょう、ずいぶん明るくなりました。 来店ごとに1時間ほどお話ししていかれるのも、良かったのでは ないかと思います。
●25歳の男性Bさん。 難病に指定されている潰瘍性大腸炎と診断されています。 2年前からステロイド剤の大量投与でいったん治まり、 薬を減量すると再発悪化を繰り返していました。
私の店で漢方薬を続けた結果、今では最低量の ステロイド剤でも悪化していません。

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■ 自分の身体に聞く

宇宙飛行士が宇宙から地球を見たとき、まるで一つの生命体の ように見えたと言います。
人間も身体内にたくさんの腸内細菌などと 共生している生命体です。
必要以上の抗生物質や添加物をなくし、発酵食品(味噌・酢・納豆・漬物 ヨーグルトなど)を上手に摂り、おなかを丈夫にすることが大切です。
また、ミネラルも不足しがちです。 わたしは自分でもクマササのエキスを飲んでいますし、お薦めします。
今は情報があふれ、頭だけで考えてしまう人が多いようです。 自分の身体は自分が一番よく分かっているはずです。
自分の身体に耳を傾けてみてください。

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■ 例えば「のぼせ」

例えば、東洋医学には、血の道・冷えのぼせという考え方があります。 婦人科の異状から下半身が冷え、上にのぼせる症状です。
ほっておくと、以下のように数々の病の要因になります。
 [下半身(足腰)の冷え]・・・不妊、流産、膀胱炎、痔 etc
 [のぼせ]・・・・・・・・肩こり、頭痛、動悸、顔面紅潮、イライラ、不眠、不安感 etc
一口に「のぼせ」と言っても、個人差があります。 のぼせを冷やす薬が合う人、下腹部を暖めてのぼせを下げる薬が合う人と。
のぼせに限らず、この「個人個人の体質に応じ・・・」が、漢方薬の特徴なのです。

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■ 母子の健康を守りたい

赤ちゃんの身体の基礎をつくる妊娠中。
ママが、万全にしていても、かぜなどひいてしまうことが多々あります。
そんな、一般薬を飲めない時期に、漢方薬は安心して服用できます。
安産を願い、産後の母体も早く快復して欲しい。
そんなママたちのお手伝いをしたいのです。

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■ 東洋のハーブ

先日、テレビで腹痛や虫下しの為に薬草をのむチンパンジーを見ました。
私がベトナムで食べた生春巻きには、エビ、肉、未熟なパパイヤなどを、ドクダミや香草と合わせてありました。
毒消しだけでなく、下痢止めまで考えて作られていることに感心しました。
「薬」の語源は草根木皮をのむと身体が楽になる、ところから来ていると言われていることに納得です。

最近人気のハーブは欧州に伝わった薬草です。
日本では薬味として生姜、ワサビ、ネギ、紫蘇などが使われ、消化を促進し雑菌の繁殖を抑える効果があります。
わたしたち人間は親から貰った先天の元気と、口から入れて食から得る後天の気からなっています。
以前は、砂糖、果物、卵、乳、茶なども立派な薬でした。
しかし、現代はそれらを摂りすぎないほうが、体調が良かったりもします。 論語に五十にして天命を知り、六十にして耳順い、七十にして心の欲する所に従えども矩をこえず、とあります。
溢れる情報に振り回されず、自分の身体の声に耳を傾け、食を楽しみたいものです。

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■ 医食同源

漢方薬に甘麦大棗湯という処方があります。ヒステリー、ひきつけ、てんかんの発作チックなどに使います。
処方内容は、甘草、小麦、大棗(なつめ)と簡単な物ばかりで、みな甘味の剤です。
甘草と大棗は緩和の薬で切迫した筋の拘れん、神経の興奮、諸疼痛などを緩解し、小麦も緩和鎮静の効能があります。 甘草だけで作られる甘草湯は胃ケイレンによく効きます。 また甘草はしょうゆの甘味料などにも使われています。
ただしいずれも、量が多すぎたり、精白したものでは又違ってきます。
また、風邪薬として有名な葛根湯も麻黄と芍薬以外は、吉野葛、なつめ、シナモン、甘草、生姜などほとんどが食品です。 風邪の初期段階に、ご家庭であるもので作ってみてください。
医食同源の考え方をうまく生活の中にとりいれていきたいですね。

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■ 陰と陽

よく、あの人は陰気だとか陽気だとか日常的にも使われます。
陰陽説のお話です。
陰と陽は相対的エネルギーです。
「冷と熱」「暗と明」「消極的と積極的」など。
東洋医学でも陰陽の調和の乱れから病気になるとし、その均衡を取り戻すことによって、健康を回復させます。
【陽証】
○症状・・・活動的で発陽性で外部に現れやすい。
○感冒・・・発熱、頭痛、身体の痛み、のどの渇き、強い咳、顔色が赤くなる。
【陰証】
○症状・・・静的で沈降性で内部に隠れて現れにくい。
○感冒・・・ただ何となく元気がない。青い顔をしている。高熱も強い咳も出ない。
陰証は陽証に比べて治療が難しく治りにくいのですが、大切なのは身体を温め補うことです。
〜気と血と水〜
そして、「病は気から」と言われる気。気血水という考え方が加わります。
気の衰えや滞りを改善するものを気剤といって、桂枝、シソ、ハッカなどがそれにあたります。香りの良いものが多いですね。
生理不順、血の道(冷えのぼせ)といわれる症状、血の滞りを鬱血(オケツ)といいます。
これには駆鬱血剤を用います。アブやヒルの仲間に血を吸わせるのも含まれます。
代謝が悪くなって水の流れに偏りが生じると、浮腫や頭痛、頭重、めまい、耳鳴り、関節痛、排尿異常などの症状が出ます。 これには利水剤を用います。

全身のあらゆる症状を証(陰と陽)としてとらえ診断し、処方されるのが漢方薬です。

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