※管理人はPS2版しかプレイしていません。続編のラタトスクの騎士の内容は一切知らないです。これはエンディング後の話です。




世界が統合された後、ロイドとコレットは二人で旅に出た。エクスフィア回収の旅である。新しい世界を見て回る二人。コレットはロイドとの二人きりの旅に胸がときめいていた。コレットは昔からずっとロイドのことが好きだった。好きな人と二人だけで一緒に旅できるのはこの上なく嬉しい。だが、二人の間には、特に恋人らしいやり取りは無かった。コレットはそれをひそかに寂しく感じていた。そうしている間に二年が経った。

コレットの胸中は悶々としていた。ロイドは自分のことをどう思っているのだろう。二人だけで旅をしているのだから、かけがえのない存在だと思っていてくれているだろうとは思う。しかしロイドのコレットに対する感情は果たして異性として意識したものなのか、それとも友情止まりなのか。
ロイドは非常に人望がある。男女問わず彼に惹かれる者達は多い。コレットはロイドにとってどのような存在なのだろうか。大勢の中の一人?それは嫌だ。何といっても二人だけで旅をしているのだからロイドにとって一番仲が良いのはコレットのはずだ。いつかきっとロイドと恋仲になり、そして――
コレットは胸に秘めた恋心を隠しながら、いつまで経っても進展しないロイドとの仲にもどかしさを感じていた。

そんなある日、ロイドとコレットはメルトキオに立ち寄った。元テセアラの首都であるメルトキオはそれまで以上に繁栄していた。そこでロイドとコレットは久しぶりにジーニアスとリフィルに出会った。ジーニアスとリフィルも旅をしていた。歴史上、長い間差別されてきたハーフエルフ。そのハーフエルフ達が少しでも世の中に受け入れられるように世界を回る。それがジーニアスとリフィルの旅であった。久しぶりの再会を喜ぶ四人。

ロイド「ジーニアス!先生!久しぶりだな!」
ジーニアス「ロイド!コレット!元気にしてる?」
コレット「うん、元気元気!」
リフィル「あれから二年。二人共成人したのね」

ロイド「先生、しばらく見ない間に綺麗になったなあ」
リフィル「あら、ロイドったら」
ロイド「先生は知らないかもしれないけど、昔イセリアに先生のファンクラブあったんだぜ。俺も入りたかったんだけど、恥ずかしくて言い出せなくて…」
リフィル「まあ」
ロイド「あれから二年か。この間、しいなにもあったけど、すっごく色っぽくなってたんだぜ。プレセアもあれから身体が成長し始めたんだ。将来きっと美人になるぜ」
ジーニアス「ちょっとロイド、コレットは?」
ロイド「ああ、もちろんコレットも前よりずっと綺麗になった。俺達の仲間ってホント美人が多いよな~」

コレットの表情が曇った。ロイドが他の女性ばかり褒めて自分はついでのように言われたように感じたのである。
そうして四人が話していると、メルトキオの女性達が集まってきた。

「キャー!見て見て!英雄ロイド様よ!」
「ミトスを倒してこの世界を平和に導いた英雄よ!」

メルトキオにはミーハーな女性が多い。中には昔ゼロスの取り巻きだった女達もいた。彼女らは一気にロイドを取り囲んでしまった。

「ロイド様、この間は助けて頂いてどうもありがとうございました」
「ちょっと、私がロイド様とお話してるのに割り込まないでよ!」

ジーニアス「うっわー。ロイド、モテモテだねえ」
コレット「ロイドはね、相変わらず困った人を見ると放っておけないの。それはいいんだけど、助けたのが女の人の場合…」
リフィル「その女性はロイドに惹かれてしまうのね。わかるわ。私達だって彼の持つカリスマに惹かれてずっと仲間として旅してきたんですもの」
ジーニアス「肝心のロイドは全く自覚が無いんだもんなあ」

コレット達はしばらくロイドに近づけなかった。コレットの目にはロイドが女性達に囲まれてデレデレしているように見える。彼女はさらに不機嫌になった。


やがてメルトキオの女性達が去っていくと、ロイドは照れて頭をかいた。

ロイド「いや~参ったな~。俺、すっかり有名人になっちまったんだなあ」

コレットの機嫌が悪いことに気づいているジーニアスとリフィルは困った顔をしていた。何も気づいていないロイドにそっと教えるべきか。

ロイド「そうだ。せっかくメルトキオまで来たんだから王様にも挨拶してかなきゃな。ヒルダ姫にも。ヒルダ姫もさぞかし綺麗になってるだろうな~」
リフィル「ちょっとロイド」

リフィルがたしなめようとした時である。とうとうコレットは怒ってしまった。


コレット「もうロイドのバカ!そんなんだから、みんなに『攻略王』だなんて言われるんだよ!もう知らない!」


そう言うとコレットはどこかへ走り去ってしまった。

ロイド「コレット…?一体どうしたんだ?」
ジーニアス「まったくも~、鈍いんだから。わかんないの?コレットはロイドのことが好きなんだよ」
ロイド「ん?ああ俺もコレットが好きだぜ」
リフィル「あなたの『好き』とコレットの『好き』は同じなのかしら?一度よく考えてみることね」

ロイドは何のことかわからないようだった。ジーニアスとリフィルはため息をつく。

ジーニアス「も~!ロイドがあんなに女の人達に囲まれてデレデレしてたら、さすがのコレットだって怒るよ。焼きもちだよ、焼きもち!わかる?」

恋愛に鈍いロイドもこれだけストレートな表現をされればいい加減気づかずにはいられなかった。

ロイド「コレット……………ところで『攻略王』って何のことだ?」
ジーニアス「ロイドのあだ名だよ。みんな陰ではそう呼んでるんだ」
ロイド「何で陰で呼ぶんだよ。攻略王が俺のあだ名…?あっ!そうか、わかったぞ!俺が今までいろんなダンジョンを攻略してきたから『攻略王』なんだ!思えば精霊の封印の旅も、ディザイアンの人間牧場も、いろんな仕掛けばっかりだったからな~。そうか。俺は攻略王って呼ばれてるのか」
ジーニアス・リフィル「はぁ…」

ジーニアスとリフィルは深いため息をついた。
攻略王ロイド。自覚無しにどんどん女性を虜にしてしまう。いや、女性だけでなく男性もロイドの持つ人間的魅力に惹かれ、心酔してしまう。肝心のロイドは全く自覚がなく、恋愛にも疎い。そんな彼についたあだ名が『攻略王』。ロイドに『攻略』された者は数知れず。性別問わず、時には実の父親や、宿敵ですら彼に惹かれずにはいられなかったのだ。

リフィル「ちょうどいいわ。ロイド、コレットのことで話があるの」
ロイドどうしたんだよ、先生」

リフィルは場所を移した。

リフィル「ねえ、ロイド。あなた本当に鈍いからこの際はっきり言うけれど、あなたももう成人したのだから結婚を考えたりしてもいい頃よ」
ロイド「そっか。そうだな」
リフィル「あなた、コレットのことはどう思っているの?あれから二年も一緒に旅をしているのでしょう?」
ロイド「何言ってるんだよ。結婚するならコレットに決まってるじゃないか」
リフィル「・・・・・・・・・・」

けろりとした顔で言うロイドを呆れた表情で見るリフィル。

ロイド「どうしたんだよ、先生。俺にとって一番大切なのはコレットだ。それは昔から変わらない」
リフィル「あなたのその気持ち、果たしてコレットに伝わっているのかしらね?」

ロイドは黙ってリフィルの言うことを聞いていた。

リフィル「いいこと?ロイド、女の子の心を弄ぶようなことをしてはダメよ。自覚があっても無くても。それが本当に好きな女の子だったら尚更よ。特に女の子にとって結婚は一生の問題。好きな人と結ばれるのは夢なのよ。幸せについて考える時、一番に出てくるのが結婚というくらいなの。あなたのコレットを想う気持ちはどの程度なのかしら。中途半端な気持ちで告白したってコレットは振り向いてくれないわよ」


リフィルと話した後、ロイドはコレットを探した。

ジーニアス「ロイド、コレットはイセリアに帰るって。そう伝えてくれって言われたよ」
ロイド「イセリアに?あいつ俺に黙って…本気で怒っちまったのか?」
ジーニアス「ロイドがあんまり鈍いからいけないんだよ」

ロイドは頭をかいた。

ロイド「イセリアか…俺も親父に長いこと会ってないし、一旦帰るか」

ロイドはまず自宅へ向かった。





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