そしてとうとうクロノ達は黒の夢に乗り込んだ。宿敵ラヴォスとの決戦ということで、仲間達は皆自分はどうしても行きたいという者ばかりで、最終的にシルバードを融通して7人全員で乗り込むことにした。
中に入ると、クロノと魔王の予想通り、ジールが待ち受けていた。そしてモンスターを召喚して消え去る。

クロノ「やっぱりジールが出てきたか…」
魔王「奥へ進むぞ。ジールはこの黒の夢はラヴォスへと繋がる道だと言っていた」
クロノ「ああ。この奥にジールとラヴォスが…」

黒の夢の中にいるモンスター達はいずれも強力な攻撃をしかけてきた。思わぬ反撃を受けたり、技とアイテムを使えないようにしてくるものもいたり、クロノ達の苦戦は必須だった。
黒の夢の内部は機械仕掛けになっており、メカ系の敵も多かった。奥に進んでいくと、海底神殿と似たような構造になっている部分もあり、やはり海底神殿が何らかの働きにより浮上したのが黒の夢ではないかと思わせる。しかし、真実の程はわからない。わかっているのは最深部にラヴォスとラヴォスの力に取り付かれたジールがいるということだけであった。

最深部まで進むとジールがいた。ジールはハレーションという、HPを1にする強力な攻撃をしかけてきた。クロノ達はカエルに回復を任せて攻撃する。その次は魔神器との戦いになった。やはりこの黒の夢は海底神殿から発展したものであるようだ。カエルのグランドリオンにエネルギーを吸収させながらなんとか撃破に成功する。そしてとうとうジールとの決戦の時がきた。

ジール「虫ケラ共が……わらわはラヴォス神と共に永遠にこの世を支配する女王なるぞ。そのわらわに、逆らおうというか」
魔王「愚かな……全ての存在は滅びの宿命から逃れる事は出来ぬ……ジールよ。ラヴォスに見入られた、悲しき女。せめてもの情けだ……この手で全てを終わらせてくれる!」

ジールの攻撃は強力だったが、プリズム装備をはじめとする武器防具を備えたクロノ達の敵ではなかった。

ジール「フフフ……ハハハ……ついにラヴォス神がお目覚めになる!貴様達虫ケラなぞラヴォス神の前では赤子同然。わらわはラヴォス神と共に永遠の生命を手にする事としよう!」

ジールはまだラヴォスの狂気に取り付かれたままだった。そしてとうとうラヴォスが現れる…

魔王「来る……」
ロボ「エネルギー値100!200……!まだ上がり続けマス!
魔王「さ、出て来い……!」
クロノ「これが……!」
魔王「待ちわびたぞ……!」
クロノ「ラヴォス……!」
魔王「今こそ、この私がお前を消し去ってやる……!」

ラヴォスはクロノ達が今まで倒した敵と同じ攻撃方法を使ってきた。次から次へと新しい敵の技を使ってくるラヴォス。それが永遠に続くかと思われたその時、ラヴォスは独自の方法で攻撃してきた。天から降り注ぐものが世界を滅ぼす。強力な装備で万全の状態でなければ即死はまぬがれないほどの威力。クロノ達はこまめに回復をしながらなんとかラヴォスの外殻を破壊することに成功した。

魔王「やったか……?」
クロノ「だけどこれでこいつが終わりとは思えないな……」
魔王「安心するのはまだ早いか……!」
ロボ「ラヴォスの体内からはさらに強力な生命エネルギーが感知されマス……!体内にシンニュウし、シンゾウ部を倒さねば!」
クロノ「よし、中に入ろう!」
魔王「息の根を止めてやるぞ。ラヴォス……!」

ラヴォスの内部に侵入するクロノ達。

魔王「……もう後戻りは出来んぞ」
カエル「うすッ気味悪いトコだぜ。魔王城より悪趣味だ……」
魔王「……悪趣味で悪かったな……」
クロノ「よせよ、こんな時に」
ロボ「センサーの反応によれば中心は近いデス!」
エイラ「!!ラヴォスの匂い、強くなる!!」
クロノ「よし!みんな!きっとこれが最後の戦いになる。気を引き締めていこう!」

ラヴォスの体内を奥に進むとそこには…

クロノ「こ、こいつがラヴォス本体!?」
ロボ「シ!信じられマセン……!この星に生命が誕生して以来のあらゆる生物の遺伝子を持っていマス!」
クロノ「全部の遺伝子だって?そ、そんなことが!?」
魔王「今度こそ……貴様の最期だ、ラヴォス……!」

ラヴォス本体は外殻よりさらに強力な攻撃を仕掛けてきた。皆、常に死と隣り合わせで背筋が寒くなる。身体中に冷や汗をかく。
7人は必死の激闘を繰り広げ、倒したと思ったその時――

ラヴォス本体から人の形をしたものが現れた。

クロノ「な、なんだこれ?に、人間の形……ま、待てよ、もしかして……こいつこの星の生き物全ての力を備えてるんじゃ……」
ルッカ「わ、わかったわ。こいつの狙いが……星に寄生して長い時間をかけて、その星の生命体の優れた部分をよりすぐって集める……その遺伝子を持った子供をあの死の山で生みまた別の星へ……」
魔王「……太古の時代より地下に眠り、この星の全ての生命の進化をそのまま我がものにして来たのか……言わばラヴォスの餌にすぎなかったというわけだ。我々人間、いや……この星の生命全てな……」
クロノ「俺達はこいつの為に生きてきたっていうのか!?冗談じゃねえ、おまえの糧になる為にみんな生きてるわけじゃない!」
ロボ「戦闘能力値は……ケ、計測不可能!センサーが壊されそうデス!!」
ルッカ「そんな……そんなふざけた進化なんて私はみとめないからッ!」
クロノ「そうだ!ここは俺達みんなの星だ!おまえの為に俺達は生きているわけじゃない!!」
ロボ「ワタシは人間によって作られた命……シカシ命は命デス!ルッカや他のミナサンと同じ……この星の多くの命の一つデスッ!!」
エイラ「エイラ負けない!エイラ達 この大地の命!お前この大地の命違う!!」
魔王「……今度こそ、貴様を倒し……我が長き闘いに決着をつけてやる……!」

7人はラヴォスコアと戦い始めた。人型の人形の他に左右にビットが2つ。時空転換で様々な時代に飛び、それぞれの時代で固有の攻撃をしてくる。強力な攻撃を仕掛けてくるのは人型である。ある時は巨岩を落とされマールとルッカが倒れた。またある時は夢無という魔法を使われ、魔法防御の低いロボが倒れた。戦っているうちに本体は右のビットだと気付くが、防御が高く、なかなかダメージを与えられない。人型や左のビットを破壊すれば復活させる為に防御を解くので、攻撃のチャンスはその時だけである。
何度も傷つき、倒れながらも戦い続けるクロノ達。この星の全ての生命の為に戦い、なんとしても未来を救ってみせる。その想いだけで必死に戦う戦士達。想像を絶する死闘が長く続いた。

そしてとうとう、クロノ達はラヴォスコアを倒した。





クロノ達の活躍はガルディア王をはじめ、全ての時代の人に知れ渡った。未来のドンに中世のガルディア王、原始のキーノ達。そしてクロノ達現代の時代では千年祭の締めくくりとしてムーンライトパレードが開催された。クロノ、マール、ルッカ、ロボ、カエル、エイラ、そして魔王。星を救った7人の勇者はそれぞれパレードを楽しむ。クロノはしばらくマールをエスコートした後、魔王を探した。

クロノ「こんなところにいたのか。せっかくのパレードなんだからもっと楽しそうにしたらどうだよ?」
魔王「…悪いな。私は心の底から何かを楽しむという感情を失ってしまっているようなのだ」
クロノ「…そうか…だけどこれからはおまえは自由に生きていいんだぜ。おまえの人生を狂わせたラヴォスも倒したし」
魔王「そして母であるジールもようやくラヴォスから解放された。私のただ一つの心残りは姉のサラだけだ」
クロノ「サラか…古代のどこかで生きているのかな…?」
魔王「サラは私の全てだ。これから一生かけてでも探しだす。私の…たった1人の姉…」
クロノ「それがおまえの新しい目標なんだな」
魔王「おまえはこれからどうするのだ?」
クロノ「そうだなあ。今のところ何も考えてないけど、俺なりに好きなことやって、気ままな日々を過ごしたいよ」
魔王「マールはおまえに気があるようだが」

魔王がそう言うと、クロノは恥ずかしそうに頭をかいた。

クロノ「マールの気持ちには…気づいてるけど…どうしようかな…」
魔王「まあ、おまえの人生だ。おまえの好きにするがいい」
クロノ「ラヴォスを倒したからもうすぐゲートも消える。…おまえともお別れだな」
ルッカ「ざーんねーんでした!」
クロノ「わっ!ルッカ!びっくりするじゃないか!」
ルッカ「ふっふーん、ちょっと来てよ!テレポッド装置を改造したの。これでゲートがなくても時空を超えて仲間達に会いに行けるわ!」
クロノ「ルッカすげー!」
ルッカ「オホホホホ!」
クロノ「それにシルバードもあるし、これからはいつでもみんなに会いに行けるんだな!」
魔王「クロノ…」
クロノ「何だ?」
魔王「私の方からも……………たまにおまえに会いに行ってもいいか?」
クロノ「何言ってんだよ。当たり前じゃないか!」

クロノはにこやかに笑った。

ルッカ「あんた達、いつの間にそんなに仲良くなったの?」
クロノ「ん?なんとなく」
魔王「…私には今まで友と呼べる存在がいなかった…クロノ、おまえをわが友と呼ばせてくれ…」
クロノ「今さら何言ってんだよ!俺達みんな仲間なんだからな!」
ルッカ「そうそう!ところでそろそろみんなと一旦お別れよ!もうすぐゲートが消えてなくなるの。その前に、ね」
クロノ「よし!みんなのところへ行こう!」

星の未来を救った7人の勇者達は別れを告げ、それぞれの時代へ帰る。そしてたまにシルバードや改造テレポッド装置で仲間に会いに行った。
魔王はサラを探しながらも、時々クロノに会いに行った。魔王にとっては理想の女性は姉のサラである。そして数奇な運命を辿ってクロノと出会う。復讐という呪縛から解き放たれた魔王は理想の女性であるサラを求めながら徐々にクロノとの友情を築いていく。時代を超え、2人はいつしか無二の親友同士になった。そして、他の仲間達とも、魔王は徐々に心を開いていった。

ラヴォスに対する復讐のみで長い間孤高に生きてきた魔王。その復讐を果たした彼は徐々に人間らしさを取り戻して行く。共にラヴォスと戦った仲間達や親友のクロノとの絆を深め、今日も彼は古代世界を放浪する。いつか姉と再会できることを願いながら。





(終)





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