マールは最近ルッカがよそよそしくなったことに気づいた。何か嫌われるようなことをしてしまっただろうか。心当たりは――。ルッカの態度が変わったのはクロノとマールの結婚話が持ち上がってからだ。マールはクロノを一目見た時から非常に好きであった。クロノからはまだ返事をもらえていないが、できることなら結婚して欲しい。そのタイミングでルッカの態度がよそよそしくなったということは――。

ある日、マールはルッカを訪ねた。ルッカは慌てていた。せっかく今まで避けていたのに。そんなルッカにマールは問い詰める。

マール「ねえ、ルッカ。あなたもクロノのことが好きなの?」
ルッカ「なっ!ななななな何を言うのよ。いきなり。そりゃあね、あいつは幼馴染みだから、好きじゃないってことはないわ。そ、そう!弟みたいなもんよ!」
マール「嘘ばっかり。それじゃあどうして私を避けるの?態度も急によそよそしくなったし」
ルッカ「そ、そんなことないわ」
マール「ねえルッカ、正直に答えて。クロノのこと好き?」

マールの追及は容赦なかった。さりげなく話題をそらそうとしてもすぐに同じ質問を繰り返す。マールのまっすぐな目にルッカはたじたじとなった。

散々押し問答をした結果、ルッカは遂に折れた。やっとのことでクロノへの想いを口にする。

マール「やっぱり!」
ルッカ「でもどうせ無理よ。クロノからは何も返事はもらってないもの」
マール「まだ何も返事をもらってないのは私も一緒よ」
ルッカ「マールの方がよっぽど可愛くて女の子らしいわ。それに今までせっかく3人仲良くやってきたのに関係を壊したくないの」
マール「でもルッカもクロノが好きなんでしょう?クロノってカッコいいものね」

マールはルッカの気持ちをすんなりと受け入れた。恋敵であるという事実を知ったからといって彼女の態度は変わらなかった。その後2人はクロノに惹かれた部分についてお互い話し合った。マールは非常に素直な性格であり、話しているとルッカもつられてクロノのいいところを口にしていた。

マール「ねえ、ルッカ。私とあなたは友達よ。今でもそれは変わらないわ。違うのはこれからは恋のライバルでもあるってこと。私、クロノに振りむいてもらえるようにがんばるわ。だからルッカ、あなたもあきらめたりしないで。そしてクロノがどっちを選んでも恨みっこなしよ!」

そう言うとマールはウィンクをした。ルッカにとっては意外な言葉であった。友人として、恋敵として、友好的に宣戦布告されたのである。



その後、クロノはマールとルッカ、2人の熱烈なアタックを受けることになった。バレンタインはもちろんのこと、2人はことあるごとにクロノにアプローチをしてくる。マールとルッカ、2人の間でクロノの心は揺れ動いた。



カエル「この色男!モテる男は辛いねえ」
クロノ「そう言うなよ、カエル。俺は本気で参ってるんだぜ」

ラヴォスを倒した後もシルバードはそのままにしてあった。クロノは一旦2人の少女から逃げる為に中世のカエルの元を訪れていた。

カエル「まさに両手に花だな」
クロノ「うう〜〜」
カエル「ま、どっちを選ぶかはおまえさん次第だ。俺からは何も言ってやれないぜ」



そのうちにハプニングが起きた。シルバードが故障したのである。その日、ルッカは試運転だといってシルバードを操縦し、ガルディア王国を飛んで回っていた。そして操縦がきかなくなり暴走したままどこへとも知れず行方不明になってしまったのである。クロノはパニックになって探した。ルッカはシルバードに乗っていたということは他の時代へ行ってしまったのだろうか?リーネ広場のテレポッド装置はルッカの改造によりタイムマシンになっている。それで急遽仲間達にも連絡を取る。あらゆる時代のあらゆる場所を必死に探すクロノと仲間達。クロノはろくに寝ないでルッカを探し続けた。やっと見つけた時にはルッカは森の奥で遭難してボロボロになっていた。シルバードが暴走した為、修理の道具もなかったのだ。
ルッカを発見した時、真っ先に駆けだしたのはクロノであった。そしてしっかりと抱きしめる。

クロノ「バカヤロウ!心配させやがって!」

その様子を見ていたマールはクロノの気持ちを暗に悟った。



クロノはルッカを選んだ。幼馴染みの彼女を。

ルッカ「ねえ、教えて。どうして私を選んだの?」
クロノ「いなくなってわかったんだ。俺はルッカが好きなんだ。いつも知的で自信満々、それでいて臆病で素直じゃない幼馴染みをさ」
ルッカ「クロノ…」

紫の髪の知的な少女。才色兼備で年上でちょっとお姉さんであるルッカがクロノは好きなのだった。
ルッカはクロノに抱きついた。嬉しくて涙が止まらない。クロノの胸で泣きじゃくる。そんなルッカをクロノはしっかりと抱きとめた。



マール「残念だけど、私の負けね。ルッカがいなくなった時のクロノの様子を見ててなんとなくそんな気はしたんだけど」
ルッカ「マール…」
マール「私のことは気にしなくていいのよ。パパったらあれから毎日のようにお見合いを持ってくるの。これから新しい相手を見つけるわ。あなた達もお幸せにね!」



やがて、クロノとルッカは結婚した。ルッカは相変わらず機械に熱中している。クロノが何も知らずに機械をいじって怒られることもしばしばだった。2人は喧嘩をしながらも楽しく暮らしていった。

Happy End


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