長い旅を経て、クリスタルを手に入れたコスモスの戦士達は仲間と合流していく。オニオンナイト、ティナ、クラウドの3人は途中でセシルと出会う。彼もまたクリスタルを手にすることができたのだ。そして、今はバッツ、スコール、ジタンの3人と合流するところである。


ジタン「おーーーい!!!!!」
オニオンナイト「あ!ジタン達だ!」

コスモスの戦士達はお互い手を振りながら合流する。



ティナ「みんな無事クリスタルを手に入れられたみたいね」
セシル「ティーダはまだ来てないのかい?僕は彼に背中を押してもらったからクリスタルを手に入れられたようなものだ。早く会いたいな」
クラウド「きっとそのうち会えるさ」
ジタン「こっちはクリスタルを手に入れるまでいろいろあったぜ。まずバッツが罠にかかってそれから――」


お互いクリスタルを手に入れた経緯を話す戦士達。


オニオンナイト「それで、最初に罠にかかった挙句、ジタンまで罠に巻き込んじゃったの?呆れたなあ」
バッツ「なんだよ!そっちこそエクスデスなんかに媚を売ったりして」
オニオンナイト「あの時は戦うのは得策じゃないって判断したんだ!いいじゃないか!ちゃんとクリスタルは手に入れたんだから!」
バッツ「それならこっちだってちゃんと手に入れたさ。結果オーライでいいんじゃないか?」
オニオンナイト「ホント、お気楽だねえ。もう少し危機感持ったら?」
セシル「まあまあ2人共。それより僕達はティーダ達より先にクリスタルを手に入れた。待っている間、ここで少し休まないかい?」
クラウド「甘いな。敵がまた狙ってくるかもしれない。剣の腕を磨いておいた方がいいだろう」
ジタン「それなら適度に戦って肩慣らしして、適度に休んで、今後の戦いに備えておこうぜ!」



ジタンの提案通り、コスモスの戦士達はお互いに練習試合をしたり、休息をとったりして他の仲間達の合流を待っていた。

ある時――

バッツ「あれ?ティナはどこに行ったんだ?」

仲間達の中にティナの姿が見えないことに気付いたバッツは少女を探し始めた。

バッツ「ティナって練習試合もあまりやりたくなさそうだったよな…やっぱ仲間同士だからかな?…っと、いたぞ!」

次元城の一角で、ティナは1人空を見上げていた。

バッツ「ティナ!こんなところで何をしているんだ?」
ティナ「あ…バッツ…」
バッツ「みんなとはぐれちゃダメじゃないか。ティナに何かあったらオニオンナイトのヤツ、取り乱すぞ」
ティナ「そ、そうね…ごめんなさい」
バッツ「で、どうしたんだ、一体?」
ティナ「ちょっと1人になりたくて…」
バッツ「やっぱり仲間内で戦うのは苦手か?」
ティナ「うん、そうね…だって仲間だもの」
バッツ「他にも何か悩んでいるのか?」
ティナ「ええ、いろいろと…」

ティナは言葉少なに黙り込んでしまう。

ティナ「無事クリスタルを手に入れることができたけれど、まだ、不安なの。また力を暴走させてしまったりしたらと思うと、自分が怖くて…」
バッツ「ティナ!」
ティナ「え?な、なあに?」
バッツ「踏み出す勇気、これ大事な!今まではティナは辛い思いをしてきた。だけどこれからは違うんだ。ティナはティナらしく自分の生き方を探せばいい。恐れずに前に進んでいけばいい」
ティナ「前に進めば自由になれる…?」
バッツ「立ち止まってもいいことないだろ?」
ティナ「そうね……バッツ…あなたは強いのね」
バッツ「ん?そうか?」
ティナ「なんだかとても自由に生きてるみたい」
バッツ「そうだな。俺も元いた世界の記憶はあんまりないけど、当てのない旅は好きだぜ。何が待ってるかわかんねえからわくわくするな!」
ティナ「自由…」
バッツ「ん?どうした?」
ティナ「私は今まで自由とは無縁で生きてきた…いつも拘束されて操られて…ッ!」

ティナは頭を抱え始めた。

バッツ「ティナ!?しっかりしろよ!今はティナは自由じゃないか!君を束縛するような奴はどこにもいない!」
ティナ「ケフカは私を破壊の化身だと言ったわ」
バッツ「そのケフカって奴とも決着をつけてきたんだろ?もう大丈夫だって。もしまた君の自由を奪おうとするような奴がいても俺達仲間が一緒に戦ってやる!」
ティナ「バッツ…ありがとう…」



ティナ「ねえ、バッツ。聞いてもいい…?」
バッツ「何だ?」
ティナ「あなたの元の世界の記憶…あなたが今までどんな生き方をしてきたのか、できるだけ知りたいの」
バッツ「いいぜ!」

バッツは満面の笑みを浮かべながら、記憶に残っている部分を全て話し始めた。





オニオンナイト「ティナ!今までどこへ行ってたんだ!」
ティナ「ごめんなさい。ちょっと1人になりたくて…」
バッツ「大丈夫。俺がすぐ見つけたから。敵にも襲われなかったし、ティナも元気になったし、これにて一件落着だな!」
オニオンナイト「……ふ〜ん………そう…?」
ジタン「バッツ!ティナと2人きりだからって何か変なことしてねえだろうな?」
バッツ「ん?別に何も」
ジタン「………まあいいや。ティナはコスモスの戦士の紅一点なんだからな!抜け駆けは許さないぜ?」
オニオンナイト「何言ってるんだよ、ジタン!誰が何と言おうとティナは僕が守るんだから!」





それ以来、ティナの視線は自然とバッツに向くようになった。

ティナ(バッツ…今まで自由奔放に生きてきた人。私と違って世界中を旅してまわっていろんなことを知ってる人…)
オニオンナイト「ティナ?どうかした?さっきからずっとバッツばかり見て」
ティナ「ううん、なんでもないの」

ティナの記憶の断片には、常に監視下の元、自由を束縛されながら育った記憶しかない。そして操りの輪をはめられ…

ティナ(自由って何だろう…私、もっとバッツのこと、知りたい…彼のことを知ればわかるようになるかもしれない。自由とは何か…)

ティナの心の中で何かがざわめき始めた。一方、そのきっかけを与えたバッツはまだ何も気づいていない。
1人の少女に心惹かれていることを。



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