世界に平和が戻った後、エッジは時々ミストの村にいるリディアとクオレを訪ねていた。リディアが引き取って一緒に暮らしている少女クオレはエッジに懐いており、訪ねていくたびに毎回遊んでやっていた。

ある日、エッジがリディアの元を訪ねると、リディアは悲しそうな顔をしていた。それを見てエッジはいてもたってもいられなくなった。

エッジ「リディア!そんな悲しそうな顔をしてどうしたんだ!何かあったなら俺に言ってみろ!」
リディア「…あ…エッジ…」

リディアは落ち込んだ表情で話し始めた。

リディア「…私…寂しいの………幻王様と王妃様は私にはもう幻界には来てはいけないって………これからは人間の世界で暮らしなさいって………」
エッジ「そうか…おまえにとって幻獣達は特別な存在だからなあ」

エッジはリディアと幻獣達の関係についてしばらく考えていた。

エッジ「リディア、元気出せよ!俺がついてる!寂しければいつでも慰めてやるぜ!さあ、遠慮無く俺の胸に飛び込んでこい!」

それを聞いてリディアはくすりと笑った。

リディア「あはは!エッジったら。……でも、ありがとう」





その後、エッジは幻界に幻獣王リヴァイアサンと王妃アスラに会いに行った。

幻獣王「ほう。エッジ君と言ったね。君は、リディアが幻界に来れないなら、わしらの方からリディアに会いにいけばいいと言うのだね」
エッジ「はい。リディアは寂しそうでした」
アスラ「そう。それではこれからは私達の方から時々リディアに会いにいくことにしましょう。ところで…」

幻獣王妃アスラはエッジをじっと見つめた。

アスラ「あなたはリディアのことがとても好きなのね」
エッジ「えっ!?い、いえ、その………あいつは一緒に戦った仲間ですから。た、ただそれだけで、その………」
幻獣王「ほう。君はリディアのことを………そうだったのか」
アスラ「リディアのことを好きになってくれる男の人がいるのは嬉しいわ」

幻獣王夫妻はエッジのことをじっと見つめた。エッジの想いはバレバレである。エッジはたじろいだ。

幻獣王「エッジ君、君は確かエブラーナという国の国王だったね」
エッジ「は、はい」
アスラ「将来、リディアをお妃にどうかしら?」
エッジ「え、ええっ!?」
アスラ「私達にとってリディアは実の娘も同然。本当にリディアのことが好きで大事にしてくれる男の人と結婚して欲しいわ」
幻獣王「エッジ君、リディアが本当に好きなら、考えておいてくれたまえ」

エッジは一呼吸置いてはっきりと答えた。

エッジ「はいっ!





幻獣界から帰った後、エッジは頭を抱えた。幻獣王夫妻にはエッジの気持ちは完全にバレバレであった。長年の歳月を生きてきた幻獣王夫妻にはエッジの心の中など全てお見通しである。意外だったのは二人ともあっさりとリディアとの仲を認め結婚について考えるように勧めてきたことだ。エッジはリディアに惚れている。親代わりの幻獣王夫妻に気に入られたことはエッジにとって良かったことではあるのだが………
リディアに対し、今一歩踏み出せずにいるうちに、リディアはクオレと一緒に暮らし始めた。クオレは戦いの後、リディアが引き取って一緒に暮らしている少女である。クオレはエッジにも懐いており、リディアの元を訪ねるたびに毎回一緒に遊んでやっている。それはいいのだが………この状況はいわゆる『こぶ付き』。そう考えると、エッジは更にリディアに対して今一歩踏み出せないままになってしまったのだった。

エッジ「リディア~好きだぜ~リディア~Love~ベイベ~………さて、どうすっかなあ~」

こうなると単にエッジとリディア、クオレだけの話では無く、幻獣王夫妻にもきちんと返事をしなければならないし、エブラーナの大臣達も当然黙ってはいない。エッジは頭を悩ませた。





ここはミストの村。幻獣王夫妻はエッジの言った通りリディアに会いに来た。リディアが幻界に来られないなら私達が会いにいけばいい。それを聞いてリディアは喜んだ。これからは幻獣王夫妻の方が時々リディアに会いに来てくれる。リディアは嬉しさでいっぱいになった。

ひとしきり再開を喜んだ後、幻獣王夫妻は早速エッジのことをリディアに尋ねた。

幻獣王「わしらの方がリディアに会いにいけばいいと提案してくれたのはエッジ君なのだよ」
リディア「まあ、そうだったんですか」
アスラ「リディア、あのエッジという男の人、あなたのことが好きなんじゃない?」
リディア「えっ?」
幻獣王「エブラーナという国の国王だそうだが、リディアのことをとても好いておるようじゃのう」

リディアは思わず真っ赤になった。

アスラ「リディア、あなたのお母さんがお父さんと出会って結婚し、あなたが生まれたように、あなたも好きな男の人がいたら結婚すればいいのよ。エッジさんはリディアのことがとても好きなようだし、あの人だったらリディアをとても大事にしてくれると思うわ」
幻獣王「国王という立場から、なかなかリディアに自分の気持ちを言い出せずにおるようじゃのう」
アスラ「リディア、もしあなたもエッジさんのことを好きだと思っているなら、彼のこと、ちょっと考えてみて。一生を共にする相手として。それともただの仲間の一人で、そういう関係にはなれないのか」
幻獣王「エッジ君も国王じゃからのう。いずれは妃を娶らなければならないのう。気になる女性がいるなら、はっきりさせておかねばならんだろう」

リディアはしばらく黙っていた。

アスラ「リディア、結婚は一生の問題だからきちんと考えなければダメよ。毎日一緒に暮らす相手なんですからね」
リディア「毎日エッジと一緒………」

リディアは毎日エッジと楽しく暮らす光景を思い浮かべ、思わず頬を染めた。

アスラ「あらあら、リディアも満更でも無いようね」

アスラは慈愛に満ちた表情で笑った。隣の幻獣王も優しい表情である。

幻獣王「リディア、わしらはおまえの真の幸せを願っておるぞ」

そう言うと、幻獣王夫妻は帰っていった。





クオレ「リディア、どうした?」
リディア「う~ん、ちょっと考え事」

リディアはクオレを膝の上に乗せながらエッジのことについて考えていた。

リディア(エッジと私が結婚したら、私はエブラーナ王妃になるの!?私とクオレはこのミストの村からエブラーナに引っ越すことになるの!?……………う~~~~~ん……………)

クオレ「エッジは今度はいつ来るんだ!また遊んで欲しい!」
リディア「う~ん、そうねえ………そういえば、クオレはまだエブラーナに行ったことがなかったわね」
クオレ「エブラーナ?どこだそれは?」
リディア「エッジの国。エッジはエブラーナという国の王様なのよ」
クオレ「そうなのか!エッジの国か。行ってみたい!」

クオレははしゃいでいた。

リディア「よ~し、それじゃあ今度、私とクオレでエッジの国に遊びに行きましょう!」
クオレ「楽しみだ!」

リディアはクオレとエブラーナに向かうことにした。





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