リディアとクオレはエッジの国エブラーナにやってきた。

クオレ「うわあ!私達の村と全然違うぞ!」
リディア「エッジの国はね、他の国と比べて独特の文化があるの」

建物の建築様式、人々が着ているもの、国全体の雰囲気がリディア達が住んでいるミストの村とは何もかもがちがう。
そこへエッジがリディア達を迎えに来た。

エッジ「よう!リディア!クオレ!よく来てくれたな!」

エッジの後ろからイザヨイ、ツキノワ、ゲッコウ、ザンゲツの四人が姿を現す。

「エブラーナへようこそ」

リディアとクオレは女なので、女性であるイザヨイが主に部屋を案内することになった。



リディアとクオレはエブラーナ城の来客用の部屋に案内された。豪華な和室である。イザヨイがまるで女中のように接待する。リディアとクオレはこういう場に慣れていないので、きょろきょろするばかりだ。
エッジは得意気に和室を案内する。

エッジ「いい部屋だろう?屏風とか掛け軸とか、最高級の逸品を飾ってるんだぜ」
クオレ「エッジの国は変わった窓だな」
エッジ「これは障子だよ。窓とはちょっと違うな」

クオレは障子に近づいてじっと見た。


ぶすっ


エッジ「あっ!コラ!障子に穴あけるんじゃねえ!」
クオレ「?」

クオレは意味がわかってないようだった。

リディア「クオレったら。エッジ、素敵な部屋をありがとう。あそこに飾ってある花もとても綺麗だわ」
エッジ「おう!生け花も格別だろう?」

リディア達がエブラーナに着いたのは昼だったので、昼食が運ばれてきた。エッジはもちろん一緒に食べる。エブラーナの懐石料理である。エブラーナの料理は見た目も美しく彩りを添えて作られており、食べてみても非常に美味である。リディアとクオレはエッジと楽しく会話しながら異国の料理を楽しんだ。

エッジ「今は夏だからよ、夜になると夏祭りをやるんだ。せっかくだから俺達も祭りに遊びに行こうぜ!」
クオレ「わーい!楽しみだ!」

クオレは子供らしくはしゃいでいる。リディアはクオレの面倒を見なければと思っているのか、少し一歩引いた態度のままである。
エッジは和室でクオレと遊びながらリディアを見ていた。リディアも喜んで楽しんでいるようである。エッジは夏なので風鈴を持ってきて紹介したり、和室の庭にある植木や池の鯉、鹿威しと呼ばれる水が流れてコーンと音を立てるものを紹介したりした。



一休みし、夜になると、エッジとリディアとクオレは夏祭りに出かけた。リディアとクオレはイザヨイが用意した浴衣を着た。

エッジ(おおおおお!リディアの浴衣姿!!!!!)

エッジはリディアの胸元に目をやる。

エッジ(…ちぇっ。胸の谷間がもっと露出していれば、見えそうで見えないところがいいな~とか思ったのに。イザヨイのやつ、きっちりと胸元も着付けしやがって)
リディア「エッジ、どうしたの?」
エッジ「いや!何でもねえよ!リディア、綺麗だぜ!今夜の君は一際魅力的だぜ~」
リディア「あはは!エッジったら!」

夏祭りではかき氷を食べたり、屋台を回ったりした。金魚すくいやヨーヨー、他にも綿菓子など、クオレは初めて見る世界に夢中だった。そのうち花火大会が始まり、夜空に美しい色彩の花火が次々と放たれる。リディアもクオレもとても喜んでいたので、エッジは得意気だった。



夏祭りから帰ると今度はエブラーナの温泉に入ることになった。イザヨイがリディア達を案内する。そして女湯を除こうとする不届き者がいないか見張る。
すると、エッジが女湯の外にいった。

イザヨイ「お館様、このようなところで何をしているのでございますか?」
エッジ「い、いや、リディアの風呂を覗こうとする野郎がいねえか見張ってたんだよ。俺が覗こうとしたわけじゃねえからな!」

イザヨイからは疑いの眼差しで見られたエッジは慌てて去って行った。



リディア「あーいいお湯だった~。ねえ、クオレ」
クオレ「とても気持ちよかったぞ!大きな風呂だった!」

風呂上がりのリラックスタイムではエブラーナの芸人が琴を奏でてくれた。他の国とはまた違う変わった音楽である。クオレははしゃぎ疲れたのか、リディアの膝の上で寝てしまった。



クオレは目を覚ますと、エブラーナ城のあちこちを探検してみたいと思った。案内された場所とは別のところをうろちょろする。それに気付かないエッジではなかった。

クオレ「何だここは?掛け軸とかいうやつの裏に抜け道があるぞ。ん?こっちは何だ?隠し扉?」
エッジ「コラ!クオレ!ここは忍者修行用の屋敷なんだ!勝手に知らないところに行くんじゃねえ!」

エッジはクオレを捕まえて部屋に連れ戻した。



一夜明けると、朝食をごちそうになったリディアとクオレは帰る準備をした。

エッジ「よう!エブラーナのお菓子を土産に持っていきな!金平糖だ!」
リディア「わあ!ありがとう、エッジ!」
クオレ「わーい!エッジの国は見たことないものばかりでとても楽しかったぞ!」
エッジ「そうか。またいつでも遊びに来いよ!」

リディアとクオレはエブラーナという異国情緒溢れる国を満喫したし、エッジも喜んでいた。





ミストの村へ帰ったところでリディアは幻獣王夫妻から言われたことを思い出す。

リディア(う~~~~~ん……………クオレと一緒に、たまに遊びに行くのは全然いいんだけど………結婚してずっとエブラーナで暮らすっていうと………う~~~~~ん……………)

たまに遊びに行くだけだったら何の抵抗もない。いつ行っても楽しめそうだ。だが、エッジと結婚するということはエブラーナ王妃になってエブラーナにずっと住むということだ。

リディアは物思いに耽った。

エッジのことは好きである。クオレも懐いている。一緒に暮らすのはさぞかし楽しい毎日だろう。しかしエブラーナ王妃になるということとと、ミストの村からエブラーナに引っ越しでずっと住むというところでリディアは考えが止まってしまった。ずっと住み慣れたミストの村とエブラーナはだいぶ違う国である。文化も独特のものが多い。それに、独特の文化が強いエブラーナで、王妃として、自分がエブラーナの民に受け入れられるのだろうか。そうなったらクオレの扱いはどうなるのか。

そこでリディアは逡巡し、それから先に一歩踏み出すということができなくなってしまったのである。





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