※管理人はSFC版FFYしかプレイしていません。これはエンディング後の話です。





最近のエドガーは眠れぬ夜が続いていた。
国王というものは孤独なものである。私情よりも、常に国のことを最優先にしなければならない。
そして、うわべは常に穏やかに、紳士的に振る舞う。臣下の前で疲れた顔は見せられない。
女性に対してもそうだ。常に紳士的な態度を崩さない。そんなエドガーは、女性達にはたいそう人気があった。
女性を見ると口説かずにはいられない。そうしないと失礼な気がするのだ。

しかし、そんなエドガーの本心は、孤独に包まれていた。王たるもの、誰にも本当の意味で心を開くことはできない。国王としての顔、女好きの顔は彼の表の顔、偽りの顔である。本心は常に孤独に苛まれている。
エドガーには共に旅をした仲間達がいた。彼らは信頼できる大切な仲間だ。だが、自分の孤独を表にさらけ出すことは出来なかった。実の双子の弟のマッシュでさえも。
そもそもマッシュに自由な生き方を選ばせたのは他ならぬ自分である。マッシュには己の様な孤独な常に国王としての体面に縛られる人生を送ってほしくなかった、エドガーなりの弟への気遣いである。

そんなエドガーは、女性を口説き、女性と戯れながら己の本性を偽った生活を送っていた。彼が口説いて落ちない女性はほとんどいない。皆エドガーの美貌と紳士的で優雅な物腰にうっとりとしてしまう。エドガーはそうやって女性と戯れながらも、頭の中ではある少女のことを考えていた。



ある日、エドガーは大臣から結婚話を持ちかけられた。

大臣「陛下、そろそろ妃を娶ってもよろしい頃なのではございませぬか?」
エドガー「…ああ…そうだな…」
大臣「陛下はこれまでにたくさんの女性を口説いていらっしゃいました。誰か心に決めた女性はおりますかな?」
エドガー「実はな…例の魔導の少女を妃に迎えたいと思っている」
大臣「な、なんと!やはり!」
エドガー「やはり、とは?」
大臣「城内の子供が申しておりました。陛下が例の少女が大人になったら結婚したいと言っていたと」

そして、エドガーは過去にある子供にそう言ったことを思い出した。

子供「陛下、ケッコン、ケッコン!」

どうやらその子供のおかげでティナに対する気持ちは皆に知れ渡っているようであった。





ここはサウスフィガロの町。夫婦となったロックとセリスはこの町に新居を構えていた。そして今、その新居にマッシュとカイエンを招いて相談事をしていた。

マッシュ「悪いな、ロック、セリス。そしてカイエン。集まってもらったのは他でもない。兄貴の結婚のことだ」
セリス「ティナと結婚したいと言っているそうね」
マッシュ「そうなんだ。あの女好きの兄貴だが、どうやらティナのことは本気らしい」
セリス「でもそう簡単には許せないわ。だってエドガーったら女だったら誰でも見境なく口説くのよ!同じ女としてそんな男とティナの結婚なんて認められるわけないじゃない!この間だって、ロックがいない時にまた私を口説いてきたのよ!」
ロック「何だって!エドガーのやつ、今度会ったらバリアントナイフ乱れ打ちだ!」

マッシュ「まあまあ、落ち着けよ。セリスはエドガーとティナの結婚に反対なんだな?」
セリス「そりゃそうよ!だってティナは今まで人を愛することがわからなかったのよ?モブリズの子供達と一緒に暮らすようになって、子供への愛情や、同じ人としての愛情には目覚めたわ。でも恋愛はまた別よ。ティナはまだ恋をしたことがない。そんな彼女にエドガーなんかと結婚させられるわけないでしょう?もし仮に2人が結婚したとするわ。そしてエドガーは今まで通り女を口説くのをやめない。普通の女だったら絶対に嫉妬で我慢ならないわ。でもティナは本来なら焼きもちを焼くことすらわからないまま。もし仮に恋愛感情に目覚めたとしても女好きの夫を持ったということでティナは傷つくわ。そんなの同じ女として見ていて耐えられない!」

マッシュ「じゃあ兄貴の女癖の悪さをなんとかすればいいんだな?」
セリス「そうよ!そうでなきゃ絶対に認められないわ!私、ティナには本当に幸せになって欲しいと思ってるの」
マッシュ「何かいい方法はないかな?」
カイエン「拙者がよく言い聞かせるでござる。夫は妻に対して常に誠実であり続け――ウンチク…ウンチク…ウンチク…」
マッシュ「兄貴は説教が嫌いなんだ。そんなやり方じゃ余計嫌がるぜ」

マッシュ達が話していると、突然天井から声が聞こえてきた。


「ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ!天知る 地知る ロビン知る!」


ロック「なっ、何だ?」

見ると、全身黒ずくめで覆面をした男が天井から降りてきた。

「久しぶりだな。俺だよ、ものまね師のゴゴ」
マッシュ「ゴゴ!?今度は何のものまねだ?」
ゴゴ「ついこの間怪傑ロビンという本を読んだんだ」
ロック「…それで、何だ?遊びに来たのか?」
ゴゴ「エドガーの女好きを治したいのなら俺に妙案がある」
カイエン「何をする気でござるか?」
ゴゴ「それはヒ・ミ・ツ!それでは今からフィガロ城へ行ってくる。さらば!」

ゴゴは颯爽として立ち去った。

ロック「一体何だったんだ…」
カイエン「とりあえずは妙案があると言うし、一旦ゴゴ殿に任せてみるでござる」





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